眠い、ひどく眠い。
たぶん自分はいま眠っている。眠っている感覚がわかるから、恐らく目が覚めかけてるのだと思う。
nextpage
あたりまえだけど、ものすごく暗い。暗い。少し寒い気もするな。そういえば、あいつが買ってきてくれた新発売のジュース不味かったな。あれのせいで身体冷えたかな。あれ、どこのジュースだ?
nextpage
ふわふわした感覚。このまま覚めたくないな。睡眠と覚醒の間のこの感覚って凄く不思議。起きてるのに身体は動かない。脳だけ起きてるって面白いな。
nextpage
そんな事よりお腹空いた。それも物凄く。そろそろ起きようかな。いや、でもまだ深夜だったら損だよな。でもどうせ朝早いしな。
nextpage
……あれ?なんで朝早いんだっけ?
そうだ。遊びにきたんだ。旅行で日本を離れてるんだった。帰るまであと何日だっけ?……ん?どこに旅行に来たんだっけ?
まぁ、いいや、そろそろ起きよう。
nextpage
やっぱりまだ夜か。もう少し寝てればよかったな。……おかしいなフワフワした感覚が抜けない。
あれ?なんか一箇所だけ光ってる?懐中電灯?なんで?あれ?光が動いてる。誰か……いる?
nextpage
……そうだ。違う。違うよ。
水だ、水の中だ。
旅行先でダイビングしてたんだ。
あの光は救助か。水の中で寝るなんて、相当長いこと潜ってたんだな。
そうか。これで夢にも納得がいった。よし、やっと目が覚めた!ここだ!早くあげてくれ!
nextpage
さっきから光がチラチラしてる。まだここを見つけられないのか、水上から誰か懐中電灯を振っているようだ。
あぁ、早く引き上げてくれないかな。
nextpage
……違う。違うだろ。やめてくれ、違う、
あそこに浮いてるのは、嘘だよ。夢だろ?
一緒に潜った中野じゃないか。
さっきから光ってるのは
nextpage
あいつの頭のライトか。
あぁ、そうか。
中野、俺達は、そうなのか。
nextpage
ゆっくり、
ただただゆっくりと落ちていく。
いや、浮いているのか?
もう、どっちが上なのか下なのかもわからない。
なんか……背中が軽いな。
もう酸素も……そうなのか。
そうだ……少しでも中野の傍にいこう。
せめて2人で。
nextpage
あぁ……眠いな。
なぁ、中野。
作者杏奈-3
ちょっとした夢の話を簡単に