これは私が高校2年生のときのお話です
持病の関係で手術することになり
担当医からは出血が多いから
輸血するかもしれないこと
血が止まりにくい体質だから
最悪の場合もあること
などなど言われた上での手術でした
そして、いざ手術室へ
酸素マスクから麻酔を流して
5秒も掛からず瞼が落ちて眠りにつきました
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目を覚ますと見渡す限りの白
よくみると霧というか
もやもやーっとしたものがある感じ。
あぁ私死んだのかあ
まだやりたいことあったのになあ
ここが天国というか
この世の場所じゃないんだなって
なんとなく思っていました
とりあえず歩こうかって思い
真っ直ぐずっと歩いていると
着物を着たお婆ちゃんっぽいのがいる
(これって脱衣ババアみたいなやつなのかな
捕まったらあの世いきなんだなー)
なんて考えていました
顔が認識するところまで近付くと
死んだ婆ちゃんだった
この時改めて
あ、わたし死んだのか。と確信
婆ちゃんは死ぬ前から体調悪くて
会話もまともにできなかったから
話しかけようと近づいたら
来るな!!!!
と鬼のような形相でそう言った
なんで?どうして?
私死んだんでしょ?
と聞いても
来るな!まだ早い!戻れ!絶対振り向くな!
一方的にそう言い放ち霧の向こうに消えてしまった
一瞬追いかけようと思ったけど
素直に戻ろうと来た道を戻ることにした
あたり1面白くてもやもやしてて
どっちが来た道かもわからなかったけど
ひたすら歩いていた
しばらくすると足音がする
私がゆっくり歩けば
足音もゆっくり
早く歩けば
向こうも早く歩く
だんだん早歩きになる
…って…
声がした
思わず立ち止まる
「待って」
今度ははっきり聞こえた
耳元で言われたような
すぐそばにいる
婆ちゃんの声だった
思わず振り向きそうになった
けど直感で声は同じだけど
婆ちゃんじゃない気がした
ひたすら走った
もう来た道なんてわからない
けどひたすら走った
足音も私に合わすように
バタバタバタ…!!!!
ひたすらひたすら走った
待って…!!!!
婆ちゃんの声がそう言う
更にスピードをあげる
婆ちゃんは生前足が悪かった
歩くのもやっとなのに
あんなに早く走れるはずがない
待って…!!!!
待てえええええええ!!!!
声が変わった。
低くて怒りに満ちた声
そんな声がした瞬間
目の前から光が迫ってきて
眩しくて思わず目を瞑った
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再び目を開けると病室だった
話を聞くと
手術中に急変して心臓が止まったらしい
心臓は動き出したけど
意識が戻らなかったらしい
あの時もしも
婆ちゃんについて行ったら…
振り向いてしまったら…
私はこの世にいなかったかも知れません
作者とっぽ
その日の夜
夢に婆ちゃんが出てきました
婆ちゃんは笑顔でした
ただただ笑ってるだけで
すーっと消えてしまいました
何も言わなかったけど
婆ちゃんありがとう。