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「今日の朝方、路上に何十箇所も刺され死亡した、〇〇さんの遺体が発見されました。」
最近、テレビでは通り魔事件のことばかりやっている。
おかげで私の好きなド〇えもんも、通り魔特集で潰れてしまった。
「お母さん、買い物行って来るから。」
母さんが買い物に行くみたいだ。
「行ってらっしゃーい。」
。
。
。
母さんが行ってから一時間ほど経った。遅いな。
プルルルル…
電話だ。
「もしもし、〇〇(私の名字)です。はい…はい。え?」
気付いたら警察が周りにいた。
「ご家族の方だ。」
「大丈夫かい?」
この人達は何を言っているんだ。
そうだ。思い出した。
母さんが死んだんだ。
通り魔に殺られて。
。
。
。
通夜が終わった。
父さんが泣いている。
これは現実なのか?
「大丈夫?〇〇ちゃん。」
リナが話しかけてきた。
リナは私の昔からの親友。
優しいけどいつもつまらなそうにしている。
「大丈夫。」
そう答えたら急に涙が溢れてきた。
「絶対にブタ箱にぶちこんでやる。」
「私も手伝うよ。〇〇ちゃん。」
リナが言った。
。
。
とりあえず、今まであった通り魔の現場に行ってみた。
結果から言うと、何の手がかりも得られなかった。
いや、一つだけ行っていない所がある。
母さんが死んだ所だ。
行く途中にお婆さんがいたからその日のことについて聞いた。
「怪しい人とか通りませんでしたか?」
「いや、通らなかったよ。あなたのお母さん?と、学生さんだけしか通らなかったよ。」
「そうですか…」
そうやっているうちに暗くなってきたのでその日はそれで帰った。
またしばらくしてからリナと一緒にそこに行った。
「リナが来ても、何にもなんないよ。」
「えへへ」
着いた。
トンネルだった。
「懐かしいなー」
リナが言った。
「え?リナ、ここに来たことあるの?」
「うん。」
「へ〜」
しばらく手がかりを探していると赤黒いシミがあった。
「ここで母さんが…」
「どうしたの?」
リナが駆け寄って来た。
「ああ、まだこれあったんだ。」
「え?」
「こないだここで遊んだんだ。」
「まさか…」
「そう。人で遊んだんだ。」
「お前が…。仲間だと思ったのに…。殺人鬼め!」
私は泣きながら叫んだ。
「え?なんでそんなこと言うの?私は遊んだだけ。」
「フザケンナ!お前しかいねーだろ!」
「違う!違う!違う!違う!違う!違う!違う!違う!違う!違う!」
そう言ってリナはポケットからナイフを取り出した。
「違う!」
リナがこっちに向かって来る。
リナは私に掴みかかると私の腕を刺し始めた。
「ガッ!やめろ!痛い。」
意識が遠のいていく。
「おい!何をやっている。」
その声が聞こえた時、意識が途切れた。
。
。
。
気付くと病院だった。
テレビをつけると通り魔が捕まったことが報道されていた。
ああ、捕まったのか。
後で知ったのだが叫び声を聞いたお婆さんが通報したらしい。
なんだか虚しい。
どちらにせよ、母を失った悲しみは消えなかった。
作者山サン
たまにはこういうのもいいかなと思って投稿しました。