中編3
  • 表示切替
  • 使い方

仲間

wallpaper:3016

「今日の朝方、路上に何十箇所も刺され死亡した、〇〇さんの遺体が発見されました。」

最近、テレビでは通り魔事件のことばかりやっている。

おかげで私の好きなド〇えもんも、通り魔特集で潰れてしまった。

「お母さん、買い物行って来るから。」

母さんが買い物に行くみたいだ。

「行ってらっしゃーい。」

母さんが行ってから一時間ほど経った。遅いな。

プルルルル…

電話だ。

「もしもし、〇〇(私の名字)です。はい…はい。え?」

気付いたら警察が周りにいた。

「ご家族の方だ。」

「大丈夫かい?」

この人達は何を言っているんだ。

そうだ。思い出した。

母さんが死んだんだ。

通り魔に殺られて。

通夜が終わった。

父さんが泣いている。

これは現実なのか?

「大丈夫?〇〇ちゃん。」

リナが話しかけてきた。

リナは私の昔からの親友。

優しいけどいつもつまらなそうにしている。

「大丈夫。」

そう答えたら急に涙が溢れてきた。

「絶対にブタ箱にぶちこんでやる。」

「私も手伝うよ。〇〇ちゃん。」

リナが言った。

とりあえず、今まであった通り魔の現場に行ってみた。

結果から言うと、何の手がかりも得られなかった。

いや、一つだけ行っていない所がある。

母さんが死んだ所だ。

行く途中にお婆さんがいたからその日のことについて聞いた。

「怪しい人とか通りませんでしたか?」

「いや、通らなかったよ。あなたのお母さん?と、学生さんだけしか通らなかったよ。」

「そうですか…」

そうやっているうちに暗くなってきたのでその日はそれで帰った。

またしばらくしてからリナと一緒にそこに行った。

「リナが来ても、何にもなんないよ。」

「えへへ」

着いた。

トンネルだった。

「懐かしいなー」

リナが言った。

「え?リナ、ここに来たことあるの?」

「うん。」

「へ〜」

しばらく手がかりを探していると赤黒いシミがあった。

「ここで母さんが…」

「どうしたの?」

リナが駆け寄って来た。

「ああ、まだこれあったんだ。」

「え?」

「こないだここで遊んだんだ。」

「まさか…」

「そう。人で遊んだんだ。」

「お前が…。仲間だと思ったのに…。殺人鬼め!」

私は泣きながら叫んだ。

「え?なんでそんなこと言うの?私は遊んだだけ。」

「フザケンナ!お前しかいねーだろ!」

「違う!違う!違う!違う!違う!違う!違う!違う!違う!違う!」

そう言ってリナはポケットからナイフを取り出した。

「違う!」

リナがこっちに向かって来る。

リナは私に掴みかかると私の腕を刺し始めた。

「ガッ!やめろ!痛い。」

意識が遠のいていく。

「おい!何をやっている。」

その声が聞こえた時、意識が途切れた。

気付くと病院だった。

テレビをつけると通り魔が捕まったことが報道されていた。

ああ、捕まったのか。

後で知ったのだが叫び声を聞いたお婆さんが通報したらしい。

なんだか虚しい。

どちらにせよ、母を失った悲しみは消えなかった。

Normal
コメント怖い
0
2
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ