私は紫音。
そして、この子は有斗。現在7歳の小学1年生だ。
私たちは、久し振りにここに来た。
ここに来た理由は・・・
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息子の有斗が小学生になり、学校でパパの話になり、友達に『有斗ってパパがいないんだろ?』と言われ
『一緒に住んでいないだけで、パパはいるもん』と答えたら
『うっそだー。ぼくのママが有斗はパパがいない子なんだよって言ってたもん。ぼくのママが嘘つくはずないもん。』と言ってきて喧嘩になったそうだ。
家に帰って来た有斗に『ねぇママ。ぼくにもパパはいるよね?会って一緒に写真撮りたい。友達に見せてやるんだ。』と言われ、パパであるロビンに電話をかけた。
『久し振りね、ロビン。ごめんなさいね、忙しい時に。そっちで8月6日は花火大会があるじゃない?有斗が学校でパパの事で友達と喧嘩になったみたいなのよ。でね、有斗がパパと会って写真を撮りたいって言うのよ。だから、花火大会の日に有斗に会ってくれないかしら?』と言うと、
ロビンは『その日は花火大会が終わればお客さんがたくさん来るだろうから、店は休めないんだ。店に来るなら構わないけど、それでもいいか?』と言うので
『ええ、それでも構わないわ。私も土日祝祭日じゃないと仕事休めないし。じゃあ、8月6日にお店に有斗を連れて行くわね。』と約束をして、電話を切った。
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8月6日になり、私たち親子は約6年ぶりにここへ来た。
ロビンと離婚をして、この地を去ったのだ。離婚の原因は本当に些細な事だった。
その些細な事がどんどんと2人の仲を険悪にしていき、有斗が6ヶ月の時に離婚をしたのだった。
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駅を出て、すぐ近くにロビンの店はあった。
店に入ると若い女性に『いらっしゃいませ~、こちらへどうぞ』と席に案内された。
ちょうど席に座った時に、厨房からロビンが顔を出してきた。
『おっ、紫音に有斗。久し振りだな。有斗はパパに似てイケメンになったな。』と言いながら、椅子に座った。
若い女性が『オーナー?こちらは?』と聞いてきて、
ロビンが『こいつは元妻の紫音。こっちは俺の息子の有斗だ。どうだ、俺に似てイケメンだろ?ハハハハハ』と答えると
『この方が紫音さんですか。へぇー』と言いながら私を睨んできた。
私が怪訝そうな顔をしているとロビンが『あっ、こいつはアルバイトの千寿子ちゃん。まだピッチピチの女子大生だ。』と言うので『はいはい、あなたは若い子が好きですもんね』と話していると、外で『ドーン、ドドーン』と花火大会が始まったようだ。
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アルバイトの千寿子ちゃんが『オーナー、花火大会行ってきていいですか?』と言い、スマホを握り締めながら外へ出て行った。
ロビンはその光景をポカーンとした顔で見ていた。
有斗が『ねぇねぇ、パパ。ぼくと一緒に写真撮って欲しいんだ』と言うと、ロビンは我に返って『おっと・・・そうだったな、有斗。客もお前たちだけだしちょっとだけ花火大会見に行って写真撮ろうか』と言って、3人で外に出た。
とても綺麗な花火だった。ロビンも有斗もとても楽しそうな顔をしていた。
久し振りの家族って感じだった。
『じゃあ、写真撮りましょうか』と言い、ロビンと有斗が顔を寄せてニッコリと笑っているところをカメラにおさめた。
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店の中に戻り、外でひときわ大きな音が響いた。
その時ロビンが店のガラス窓のほうを驚愕の表情で見つめていた。
何か見てはいけないものを見てしまったのだろう・・・
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アルバイトの千寿子ちゃんも戻ってきて、少しずつお客さんが入って来たので
『じゃあ、私たち帰るわね。また電話するわね。』と言い、ロビンの店を出た。
有斗は『パパかっこいいね。ぼくもパパみたいにみんなに美味しい料理を作る人になりたいな』と笑顔で話していた。
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現像を頼んでいた写真を受け取りに写真屋さんに行って、ロビンと有斗が写っている写真を見た。
2人ともいい笑顔だ。
ただ・・・花火大会の模様も撮影していたのだが、そこには写るはずのない、現代の子どもではない子が写っていた。
そうだ・・・8月6日は広島に原爆が投下された日だったのだ。
作者紫音-2
初めての創作物です。
ハゲゴリラ・・・基、ロビンがパパ役で出てます(´゚艸゚)∴ブッ
綿貫さま、ロビンに乗っかって、綿貫さまと同じ題名で投稿してしまいましたm(_ _)m