中学生になった頃だった。
自転車通学になって浮かれていたのだ。
しかし中学がある校区には実は今まで行ったことがなく学校の帰り道も家まで通じる道を一つしか知らなかった。
しかし入学して一週間経ったある日。私は別の道から帰ってみようと思いいつもはまっすぐ行く道を右に折れてみた。
そこの道は閑静な住宅街だった。
なんだか知らない道を通るのにワクワクした私は次の曲がり角をまた曲がった。そうして知らない道を自転車で走っていたのだが、ふと気づけば小さな道に出ていた。両方に小川があるが道の先は真っ暗だ。なんだか不気味な
やばい!!
得体の知れない恐怖が襲い慌てて私は引き返すために自転車を方向転換させた。そして元来た道を戻るが、行っても行っても一本道しかなく曲る道がない。確かここに来るまでに曲がり角を曲がったはずだったのに…
そう思いながらもとりあえず一本道を進むが、なんだかその道も不気味で怖い。大体、周りに家があるのに人の気配すらしないのだ。早く抜けたいと思うが曲がり角が全くない。汗だくになって自転車を走らせているとやっと右に曲がれる場所を発見した。
右に曲がると初めに入った閑静な住宅街の小さな道に出た。向こうには大通りまで見える。
良かった。出られた。そう思い家に帰ろうと思い、小道わ抜けようとした時だった。
同じ中学の制服を着た女の子が二人私をジロジロ見ていた。
なんだろう?と思ったがその子達は私を見ながら前を通り過ぎて行った。
気持ち悪い…そう思い何気なく後ろを振り返った時だった。
「え?」
確かに私はこの道を右に曲がって今の場所に出たのにその道には右に行く場所などなかったのだ。
突き当たりには家があり、右も左も家がある。
道の先は行き止まりなのだ。けど確かに私はこの道に出る前に右に曲がったしさっきやっと抜け出せたのだ。まっすぐな道から…
しかし考えてみればどうやってあの小さな道に出たのかわからない。
私は怖くなってその場を慌てて後にした。
家に帰るともう六時を回っていて私は、二時間以上も迷子になっていたことに気づき余計に怖くなった。
そして次の日。
私は中学の近く住んでいる友達のクラスに来ていた。
「お願いがあるんだ」
「なに?」
友達、リカは首を傾げている。
「この辺りを案内して欲しいんだ」
「え?」
リカは不思議そうな顔をする。
「実は昨日道に迷ってさ…二時間以上この辺りを彷徨ってたみたいで…」
「道に迷ったってこもちゃん…どこに入ったのさ!」
リカは私の手を握ってくる。
「え?リカちゃんが帰ってる道を進んで曲がり角を曲がってその次の曲がり角を曲がったんだ。私、この辺りを知らないし…探検したくて」
私たちが通う中学は三つの小学校が集まっている。
しかし私が通っていた学校区は中学から一番遠くて辺鄙な場所にある為、比較的中学近くの場所を知らない子が多い。
「それで迷ったの?」
「そう見たい。小さな小川が流れる小道に出たんだ。けど先が真っ暗で慌てて引き返したんだけど住宅街なのに人が居なくて…やっとその場所抜けだしたら、同じ中学の人にジロジロ見られるし、振り向くと…」
「道がなかったんだろ?」
「え?ぁ…」
リカに話していると後ろから別の人の声がして振り向くと私と同じ小学校で小学校の頃は仲良しだったタクがいた。
「タク?」
「リカだっけ?こいつ借りてく」
「ちょっ、タク!!」
私はタクに引っ張られて人の来ない場所に着いた。
「お前、迷い込んだんだよ。なんかこの辺りじゃ有名らしいぜ。迷い込み」
「迷い込み?」
「ああ。なんかよくわからないがあの辺りは迷い込む奴が多いんだと。で、迷い込んだら抜けるまでが大変らしくてな。抜け出した時は暗くなってるとかで…」
「っ…」
そう言いながらタクは私の頭を触る。
「俺たちはこっちに土地勘がまだない。それにお前小学校の頃から嫌な体験してるだろ?」
「知ってたの?」
「長い付き合いのやつならわかるって…そういうのに遭いやすいんだから、変な場所に入り込むな」
「むー」
「リカだっけ?あいつは塩小の出身だろ?とりあえずあいつに途中まで付いて行って貰え。わかったか?」
「わかった。けどタクはなんで知って…」
「俺も迷い込んだから…で、この辺りの奴に聞いたらそう言われた。いいか、絶対だぞ?俺やリュウもお前を前にみたいには守ってやれない」
「は?なにそれ?」
守るとはいったい?そう思ったが問い詰めれなかった。
仕方なくリカのクラスに向かうとみんながコソコソ話してたし、リカは私に道案内をすると言ってくれた。
しかしリュウとタクが私を守るという理由を知ったのはこの先に起こる恐ろしい体験の日まで私は知らなかったのだ。
そして迷い込みから私はある心霊現象に巻き込まれていたこともこの時は知る由もなかった。
続く
作者木漏れ日
この物語はフィクションで、続きものになります。