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すれ違い様にオッサンが……

短編2
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すれ違い様にオッサンが……

子供のころの話。下校中だったと思う。

その道はいつも人通りが少なく、しかもその日は他の生徒の姿も見えなかった。(よく覚えてないが居残りか何かで下校時間に遅れたのかも)

そんなわけで静まりかえった道を1人で歩いてたわけだが、暫くすると前方からこちらに向かって歩いてくる人影が見えた。

俺は普通に挨拶してすれ違おうと思ったんだが、近付いて徐々に姿がはっきりしてくるにつれ、そんな気は失せた。

その人影、オッサンだったんだが、俺の事を真っ直ぐ見つめながらずっとニヤニヤしてたんだ。

一本道なのでルートを変えることはできない。

かといって、いきなり後方に逃げるなんてことは、オッサンを刺激しそうだし、何より背を見せるのが怖いので出来なかった。

ほとんど頭が真っ白で、うつむきながら歩く。

どんどん足音が近付いて来る。

そしてついに、

下向きの目線の先にオッサンの足が現れ、

すれ違うその瞬間に「ドンッ」とぶつかった。

オッサンは何事も無かったように歩いていく。

俺も怖くて普通に歩いていく。

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そのちょっと後から俺は全力で走り出した。

オッサンからなるべく離れたかったからだ。

でも走っている途中で違和感に気付いた。

ズボンが、正確に言えば右ポケットが軽くなってる。

(今日はそこに財布をいれてたんだ。もしかして、さっきスられた?)

俺は焦ってポケットに一気に手を突っ込もうとしたが、何となくピタッと手を止め、再びゆっくりと手を入れポケットを探った。

(あれ、なんかある。)

何だか小さい物がたくさん入っている。

そおっと手に触れた物を一個出す。

小さいガラス片だった。

…ヒヒ……ヒヒヒ、

声が後ろからする。

ヒヒヒ……ヒヒヒヒ、

笑い声だ!俺はハッと後ろを見た。

さっきのオッサンが、電柱の影からこちらを覗いてた。

もちろんニヤニヤしながら。

・・・・

・・

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その後、俺は近くの家に泣きわめきながら助けを求めて、オッサンから逃れた。

やっぱり大事になり警察も学校にやって来たし、しばらくは集団下校にもなった。

翌週にはそのオッサンは逮捕された。

たくさんのパトカーや救急車がそのオッサンの家に集結したらしい。

さすがに大げさでは?と思ったが、あの時周りの大人は詳しい事を教えてくれなかった。

きっと俺を怖がらせないように配慮したんだろう。

オッサンの家から、数人の子どもの死体が出てきたのはずいぶん後になってから知った。

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