おうひと -第一章- 卒業旅行

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おうひと -第一章- 卒業旅行

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警察は私の置かれている状況を理解してくれました。そして近辺の巡回を強化すると約束して下さいました。

それからしばらくは外に出ても誰かに見られている気がして、気持ち悪さを感じながらも残りの余暇を飲みに行ったり、バイトをしたりで過ごしました。

そしていつしかその出来事も過去のものとなり記憶から消えていきました。

このまま何事もなければ話のネタの一つで終わることが出来たのですが。

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奇妙な出来事から3年後、私は就職先を決め、卒業旅行で旅サークルの仲間数人と夏に長野県に車で向かうことになりました。

運転手は私で、仲間と盛り上がりながら敢えて夜の峠をドライブしながら目的地のホテルに向かいました。

峠の途中に展望台があり、あえて車のライトを消し、そこで煙草をふかしながら昼であれば山々が見渡せるであろう何も見えない暗闇の景色を眺め感慨にふけっていたところ、

仲間の一人が寒くなってきたからもうホテルに向かおうと言い出しました。

確かに夏といえど山の夜の気温は冬のそれと変わりません。他の皆も同意し、車に乗り込みました。

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さて、それでは行きますか。とエンジンをかけ出発しようとしたのですが、車が動かない・・・

エンジンはちゃんと入っているし、バッテリーが問題ではない、故障か?

とその時でした、車のライトに照らされた道の端にあの男がちらついたのです。白と黒のボーダーシャツをきて、以前と同じようにこちらを見ています。

おい、皆、あそこに人がいる、昔俺が話したやつだ、道の端にいるだろ!?

仲間は笑って、どこにもいないよと、怖がらせるにしてもベタすぎだなどと茶化されてしまいました。

私ももう一度よく見てみるとそんな男はいませんでした。

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ただ私の怖がりようが尋常ではなく、あの男のせいなのか身体が痺れているということもあり、運転を仲間の一人に代わってもらいました。車は普通に動き、私の勘違いということでこの話は終わってしまいました。

楽しいはずの旅行も頭からその男のことが離れず、ぼんやりとしながら旅行をしていました。

リュックサック!そうだ、昔リュックサックがどうとか言ってたな、何か男への手がかりがあるのかもしれない。

家に着いたら探すと決め、旅行を楽しむことに専念しました。

おうひと -第一章- 卒業旅行

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