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中編3
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父方の池

俺の親父の実家には、池がある。周囲を木々で囲まれていてるが、山や森ほどの広さはなく角度によっては木々の間から池がみえる。斜面を下ったところにあって、昼間でも木々の影響で光が少ししか入らず薄暗い印象があった。

父方の家では小さい子どもにこの池での怖い話をするのが、恒例というか伝統になっていて俺も小学校低学年の頃に話を聞かされた。

池に小便をしたおじさんが真夏に毛布に掛け布団を被りだし汗だくになりながら寒いと繰り返して言ったが、お経を唱えてもらえば治ったとか、池に投げた石が池に背を向けた途端に返ってきたとかだった。

小学生の時は怖かったが、中学・高校にもなれば、「危ないから近づけさせないようになんだな」って理解した。そこで、高校生の時にお正月で親戚の人に池の話について詳しく聞いてみても、ほとんど小学生の時に話した事を喋って退屈していたが、1人のおじさんが違う話をするというので、話を聞きました。

以下おじさんの話。

「あの池の話をするのは、小さい子供が事故にあわないようにするためともう1つ意味がある。それは呪われないようにする為だ。あの池で絶対に作り出しては行けない状況がある。深夜の寝静まった夜に池に行き、池にいる何かに自分の顔を見られて存在を認識される事だ。こちらが気付いて相手が気付いてなければ大丈夫らしいが、実際のところは分からん。昔から伝わっていてほんとか嘘かも分からんが、あそこには冗談半分で行くな」

そんな話をされた高校生が大人しくするはずはなく、俺は深夜2時に池に向かったよ。実際に親父の実家から徒歩2~3分の距離だから池を隠している木々の間からとにかく様子を探った。

暗くて分からないのが余計に怖かった。ただ、人間暗闇になれるもんで目が慣れた時に雲に隠れてた月も出て池の景色が見えたよ。見たのを後悔した。

池の中に誰かいるんだよね。池の中から出てくるとかじゃなくて、すでに池の中に立ってんのよ。

立てないレベルじゃないけど、170cmの自分で深いなって思ったのに立つってことは無理だと思った。もう、この世の者じゃないって分かって慎重に逃げ始めた。幸いにそいつは後ろを向いていたので振り向かないように願いながらほふく前進のまま後退した。木々を抜け切って一目散に逃げたよ。

ただ、逃げてる時に走って逃げたてる時に「次はないからね」って、女性の声で生暖かい吐息とともに耳元で囁かれた。

帰ったら話をしたおじさんが玄関前に立っていた。おじさん「見たのか?」

俺「………」

おじさん「どんな姿だった。」

俺「池の中に立ってけど、顔は見てない。汚れた着物みたいなの着てた」

おじさん「そうか良かった。他になかったか?」

俺「逃げてる最中に次はないからねって女の声で囁かれた。」

俺が、言った瞬間おじさんは驚愕した顔をしたよ。

そのままお寺まで直行。お祓いをうけた。

坊さん「あなたは、あなた自身の顔がばれなかったけれどあれに認識されてしまいました。興味を持たれた可能性があります。今後、あの池と家にも行っては行けません。」

いきなり頭のなか真っ白だった。記憶の欠落がみえたけど、お坊さんにあれのことについて聞いたのは覚えてた。

以下、お坊さんの話。

「あれは、この世に深い恨みをもった女の霊です。いつから、どうしてあそこにいるのかは分かっていません。分かっているのはあの池の周囲の木々から先にはあの霊は出てこれないことと、男性しか呪わないという事です。過去に顔を見てなくても呪われて池で自殺した人がいますから近づかないで下さい。何とかしたいのですが、あれは恨みが強すぎて祓いようがないのです。」

もう親父の実家に怖くて行けないんでどうなってるか知らないけど、女のいとこの話ではまだ池はあるということです。今もあいつは池でこの俺を待っているのだろうか。

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