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長編8
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思い出を追いかけに

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 私は、何かを追いかけている。それがわからない。

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いつの間にか病院のベッドにいて包帯を頭に巻かれて、腹部には鈍い痛みを感じた。そして鏡を見た。これは誰?そして私の名前は?

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自分が誰なのか、分からなかった。名前はベッドの横に書いてある。『鈴木美香』これが私の名前?知らない。全てが。

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私は、何を持ってこの世に生まれたのか?分からない。全てが。でも自然と好きなもの、嫌いなものは、わかる。私の『お母さん』と名乗る人が、病院に、お弁当を作って持ってきたのだ。嬉しかった。私にお母さんなんていたんだ。でも何より嬉しかったのは、『お弁当』を作ってくれた。病院のご飯は不味かったからあまり食べられない。

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私は、久しぶりにご飯というご飯を食べた。美味しかったんだ。だからおにぎりを頬張りながら、エビフライ、をがっつくように食べた。そしたら、目から何か温かいような冷たいようなものが出てきた。まるで水。私は、分かった。その冷たいものは『涙』だ。

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涙が出ている。名前も知らないような女の人の作った物を食べて涙を流している。悲しくもないのに、一言もしゃべらないで涙を流し続ける私をみて、その人も涙を流しながら、「美香ちゃん」と言って私の手を握りしめた。暖かい。私の冷たくか細い手をふくよかで、温かい女の人の手で、包み込んだ。

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「うぅ」私は、涙をこらえきれなかった。何でだろう。別に記憶が、よみがえった訳じゃない。

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女の人は私に「いつか記憶が戻ってくるって信じてるよ」こう言って私の頬を優しく撫でた。

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そして、お腹が鳴った。お腹が空いていたから、次は、お母さんが私に食べさせてくれた。唐揚げ、エビフライ、

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春巻き、卵焼き、きんぴらごぼう。私に色々食べさせてくれた。全て私が好きなもの。残さず三段のお弁当を全部食べた。

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そして、帰るときに私の頬にチューをした。「また来るね」そう言って出ていった。

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ある日、私は退院することになった。お母さんと、まだ、どこかで会ったことのある、お父さんという人と、見たことのない妹と言う人。

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お父さんは私を冷ややかな視線で見つめてきた。

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それから家に帰り、家を紹介された。私の部屋は意外と、広かった。

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妹と共同部屋らしく、妹が「よろしくね」と言ってきた。いかにもバカらしい言い方だ。髪の毛を左右対象に縛って、ニコニコと笑いかけてくる。

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そしてリビングに行き、ソファに座った。ふわふわで気持ち良くなっているのに、妹が「お姉ちゃん遊ぼう」と言ってくる。「遊ぶきない」と少し強めにいったら、女の子が泣き出した。そしたらお母さんが「江美お姉ちゃんは今疲れてるから仕方ないでしょう」と言って、妹をあやし始めた。まず8歳(2年生)にもなって

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泣き出すのもどうかと思うんだけど。と思いながら、ふかふかのソファで寝た。起きたらもう6時。晩ご飯を食べる時間らしく、

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食卓には酢豚やポテトサラダが並べられていた。そして、お母さんが「いただきます」というと、皆も会わせて「いただきます」といった。私も会わせていただきます。といった。そしたら、江美(妹)がいきなり「お姉ちゃんの隣りで食べたくな~い」と言い出した。

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妹はさっき私が言った事をまだ怒っている。本当にめんどくさい妹だ。お母さんはそんな妹を私の隣りからどかせて、違う席にした。

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そしたら妹が、私の足を蹴飛ばした。お母さんは、「謝りなさい」と妹にいった。そしたら妹は泣き出して、こう言った「お姉ちゃんが悪いんだもん、お姉ちゃんなんて帰って来なければよかったお姉ちゃん昔っから冷たい記憶が無くなったから

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優しくなったと思ったのに」私が冷たい?そう言うイメージがあったんだ。そしたらお母さんは形相を変えて、怒りだした。妹もびっくりしたようで、また泣き出した。お母さんは「ゴメンね」といって妹を抱きしめた。

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私は、ご飯を食べ終わった後、お母さんに聞いてみた。「どういう子だったの?」

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お母さんは口を開いた「優しい子だったわよ」「でも江美は私の事冷たいって言ってた」お母さんは考え込むと、「江美がそう感じているだけよ」といった。

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「そうかな~」と私が言うと「早く寝なさい」と言われた。

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部屋に行くと、妹がいたのでどういう子か?と聞いてみた。

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でも妹は無視してきた。

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少しムカついたが、我慢した。

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朝がきた。爽やかな日差しと、お母さんの作る朝ごはんの香り。初めて自分の家で迎えた朝。足早に階段を降りた。

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ご飯を食べて、お母さんと一緒に学校へ行った。私が「妹と一緒にいかないの?」と聞くと「今日はママと行くのよ」私は「何で?」と聞くとお母さんは「学校の道とか分からないでしょう後、色々手続きとか必要だからね今日は

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1日中、一緒にいるからね」私は、「分かった」と言った。

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学校に着いた。下駄箱からお母さんが私の上靴を、取ってくれた。それを履いて、職員室に向かった。

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先生が「後は任せてください」と言って、お母さんは校長先生とどこか、違う教室に行ってしまった。

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私は、先生と一緒に教室へ行った。教室に入ると、先生は転校生を紹介するように、こう言った

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「皆も知ってるように、美香さんは事故を起こして記憶が無くなってしまったのでみんなの事を覚えていません、優しく教えてあげてください」

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そしたら、ある男の子が「でも記憶が何か印象的な事があるとうっすら蘇るってドラマでやってたよ」

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「それはドラマの話よそう簡単にはも戻らないわよ」

皆は、ざわざわしていた。

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初めて見るクラスメート。私は、静かに席に座ると隣の女の子が「私みち子よろしくね覚えてないと思うけど(笑)」なにが、面白いんだか分からない。

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そのまま授業は始まった。大体の問題は分かった。でも

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隣のみち子が「分かる?」とか聞いていて、分かるに決まってるでしょ。

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と思う。放課になると席に座って本を読んでいたら、いろんな子が集まってきて、

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「私の事覚えてる?」「俺の事知ってる?」とみんなが話しかけてきて、うっとうしかった。だから私は「知ってる分けないでしょう」と冷ややかに返した。

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皆はドラマの見すぎだと思う。まず仲の良いこなんていない。

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でも気になる子が一人いる。私が教室に入った時に「記憶がうっすら蘇る」と言った子。少しヤンチャっぽいが、種に交わらない。という感じが、少し惹かれたのだ。

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皆には、話しかけなかったけどその子には少し聞きたいことがあったから、話しかけてみた。

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「私ってどういう子だったの?」と聞いた。

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そしたら「言って欲しかったら俺んち来てよ美香の家の隣だから左っかわの方だよ」といってどこかへ行ってしまった。

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学校が終わってそのまま帰った。お母さんがいたので

「友達と遊んでくる」といった。そしたらお母さんが、「もう友達が出来たの?」と言われて、驚いていた。そのまま家を飛び出し隣の家へ言った。

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「お邪魔します」というと、男の子が出てきた。「今母さん居ないから」といわれその子についていった。

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男の子の部屋に入ると、缶ジュースを投げられた。そしてお菓子を置いて話し出した。「で、何を聞きたいの?」といってきたので、「まずその前に名前を聞かせて」そしたら「優斗だよ

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本当に覚えてないんだね、で、本題は?」「私がどういう子だっだったのか聞きたいの」

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そしたら「良いよ」といってきた。缶ジュースを開けて私のコップに注いだ。そして話し出した。

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「えっとどこから話せばいい?」「私が事故を起こす前ぐらい」「分かった」そしてジュースを一口飲むと、話し始めた。

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「まず美香が小五に上がった時の事から話すね俺は、小五で初めて同じクラスになった。でもその前から家が隣だからよく遊んで公園に行ったりした。

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でも、美香はイタズラしても無反応で冷たいからだんだんつまんなくなってきたんだ」私は、疑問に思った。何でかって?お母さんが私は、優しい子だって言ってたから。「私って優しい子じやなかったの?」

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そしたら男の子は目を丸くしてそして笑ながら言った。「そんなわけないじゃん美香、幼稚園のあだ名雪の女王だよ無反応で美人だから(笑)」「そうなんだ」

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「じゃあ、話戻すね小五で同じクラスになったから、話す機会も増えてよく宿題を見せてもらったりしてたんだ友達のいない美香はよく家に来ててこの缶ジュースを

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よく飲んでた。ある日二人で公園に行って、遊んでた。美香、運動神経良いからソフトボールとか得意でよく公園でやってたでも美香が、ソフトボール飽きた

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って言うから仕方なく滑り台やブランコ、シーソー綱渡りをやって遊んでた。そしたら喉が乾いてきてジュースを買いに行こうとしたら

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美香が「私が買ってくるよ」って言うから任せて買いに行かせたんだそして数分経って戻ってきた…いややっぱり

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やめとこ」私が「何で?」と聞くと「これは退院したばかりの人には刺激が強すぎる。」私は、「良いよ真相が分かるなら」

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「じゃあ分かった。話すよ」

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ごくりと唾を飲み込むと。話を聞き始めた。

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「戻ってきたと思うと、缶ジュースが転がっていて、下り坂を走る美香がいたんだ。止まって危ないよって俺が叫んでも

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気づかないで無我夢中で走っていた。運悪くトラックが走ってきてもう手遅れだと思うほどそのトラックはもうスピードで美香に突進

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してきた…」私は、優斗の声も聞けないほど記憶が頭の中を走馬灯(そうばとう)のように脳裏を駆け巡る。

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あぁそう言えば灼熱のように暑い日に優斗がジュースを買いに行こうとして、「私が買いに行くよ」と言って、優斗が私にお金を渡したんだ。公園の外にある。

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自販機まで走っていって優斗の好きなジュースをかって私のジュースを買おうとして手に持っていた

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優斗のジュースを落として拾おうと思ったら、そのまま下り坂に転がっていって私が追いかけた。

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無我夢中で優斗が何かいってるけど無視して、追いかけたんだ。

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そしたらトラックがこっちに向かってすごい勢いでぶつかった。「そうだ!」私は、いきなり声をあげた。優斗はびっくりして「何?!」と私の話を、聞き出した。

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「トラックの運転手の顔が覚えてるの。」優斗は「ホント?!」「うん、、えっとそうよ、お父さんよ」「えっ」優斗はホントにびっくりしたようで、言葉を失った。

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「その後の記憶が無いの、優斗何か知ってることある?」「うん、分かった。えっとその後トラックはすぐに、いなく

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なったんだそれから救急車がきて1週間目を覚まさなかったんだ。

shake

もう死んじゃうのかと思ったくらい。でも本当にお父さんなの?毎日お見舞いに来てたし」

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「間違いない顔がはっきりと覚えてるの」

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「NEWS速報です。○○県××市で起きたひき逃げ事件の犯人が分かりました。被害者の父親、鈴木直人さん。犯行理由は、恐くなって逃げたそうです。」

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そうだ私が追いかけていたのは思い出でもなく、憎しみでもない。

缶ジュースだ。

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