中編4
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Uホテル

心霊スポット。

皆さんは行ったことはありますか?

僕は正直、怖い話等は好きですが

実際にそのような場所に行くのはとても怖いです。

なので、実際に行った友人から話を聞くことで

満足しています。

この話も、友人から聞いた話の一つです。

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その日、友人(次からはAとします)が

サークルの身内で心霊スポットに行ってみよう

という提案を持ちかけられ、快く了承したそうです。

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メンバーは

A

Y男

C子

Kちゃん

の4人でした。

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場所は地元でのみ広く知られたUホテル。

俗にいうラブホテルです。

十数年前に閉鎖されたというそのホテルは

行為中に、ふと鏡を見ると軍服を着た男が立っている。

誰も入っていない部屋からシャワーの音がする。

プレハブのお湯が真っ赤に染まる。

など、そんな噂がよく流れていたそうです。

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当然噂の影響もあり次第に客足は減少。

いつの間にか閉鎖するにまで至っていたそうです。

しかし閉鎖された後も、噂は絶えないどころか

新しいものがどんどん追加されていくようになりました。

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Y男がワゴン車を走らせ1時間ほどで

Uホテルに着きました。

辺りは当然ながら人気はなく

暗くジメッとした不気味さに包まれており

内心かなりビビりながらも4人で固まりつつ

ホテル裏口から中に入っていく事にしたそうです。

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草木が生い茂る中

開け放たれたドアを発見したA達は

周りの草をかき分けながら

そのドアへと直進しました。

すると突然C子が

「きゃっ!」

と悲鳴を上げたそうです。

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驚いたY男が

「な、なんだよ!びっくりさせんなよ!」

と言うとC子は

「ねえ帰ろうよ・・・やっぱあたし行きたくない」

そう言って妙に帰りたがりました。

しかしここまで来たのに何もせず帰るのも嫌だと

Y男が言うため、渋々先に進むことを了承しました。

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中に入ると、懐中電灯に照らされ

無数のホコリが宙を舞っていました。

「こういうとこ、不良がよくいるイメージがあるけどなぁ」

そう呟くY男にAは相槌を打ちながら

「落書きとかも全然無いしなぁ、もう十数年になるのに」

と同意してたそうです。

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その後部屋を調べたり、やってはいけない事と言われるものを

一通りやってみるなどしたそうですが

何も起こらなかったそうです。

ちょっとガッカリ気味に、車に戻ろうと踵を返すと

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Aは一瞬違和感を感じたそうです。

何にかはわからない違和感。

しかしそれはY男のすくんだ声と共に

違和感の正体がすぐにわかったそうです。

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懐中電灯を当てた廊下の突き当たり。

そこには倒れた物品などの影と共に

ヘルメットのようなものを被った人型の影が

横向きで見えたそうです。

Aの違和感の正体はその影自体ではなく

明らかに移動してきているという事でした。

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しかも

自分がまばたきをする度に少しずつ

前へと移動していました。

Y男やC子、Kちゃんも4人とも体がすくんで動けません。

その影があるのは自分達が帰るために通る1本の廊下。

このまま行けば絶対に鉢合わせてしまう。

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後ろを確認すると

なんとか一人入れそうなくらいの

窓があることに気が付きました。

Y男にそれを伝えると、そこから逃げるしかない

という結論に至り

いっせーのの合図で窓から1人ずつ

逃げ出すよう2人に伝えました。

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「いっせーの・・・今だ!」

Y男の合図と共に、まずAが外に出ました。

その次にC子、そしてY男。

最後にKちゃんを助けようとしたその時。

「きゃああああああぁあぁああ!!」

と耳をつんざくような悲鳴が聞こえ

窓が

ピシャリ

と閉まったそうです。

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少し唖然とした後、Y男が

「おい!急いで戻るぞ!」

と言いました。

俺とC子は

「Kちゃんはどうするんだよ!」

と反論しましたが、その次のY男の言葉で逃げ出しました。

「中で軍隊みたいな奴らがどんどんさっきの裏口に向かってる!」

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急いで車に戻り

エンジンをかけ

一気にその場を逃げ出しました。

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車の中でA達はKちゃんのことを後悔していました。

置いてきてしまった。

あんな状況で助かるのか。

そんなふうに言い合ってる時

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「うーん・・・あれ?まだ着かないの?」

最後部の座席から

先程あのホテルへ置いてきてしまったはずの

Kちゃんが寝ぼけ眼をこすりながら

声をかけてきたそうです。

3人は、非常に驚きました。

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その後、ガソリンスタンドに入り

Kちゃんに話を聞くと

A達が行きの車中でわいわい話してるのを聞いている内に

途中で異様な眠気に襲われたそうです。

我慢できそうなものでもなく、まだ着くまでに少しあるからと

最後部に移動して横になっていたそうです。

そして起きたら先ほどの状況だったと。

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その話をしながらAは

「ホントによかったよ、Kちゃんが無事で・・・。

でも、よく考えたら最初からおかしかったんだ。

だって、今思い返すとKちゃん、最後の悲鳴以外は一言も喋らなかったんだから」

普段から明るいKちゃんが、1時間近く何も喋らないなんて

おかしいもんな、とAは言っていました。

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以上が、僕が友人Aから聞いた話です。

車から出て

一緒にホテルを見て

一緒にホテルへ入り

最後に悲痛な悲鳴をあげたそのKちゃんは一体

どこの誰だったんでしょうか?

今ではそんなこと、知る由もありません。

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