中編5
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アパート

皆さんは家を見る時などに、なんとなく

「なんか嫌だな」

と感じたことはありませんか?

僕の家系は霊感こそないものの

何かしら“ある”家に嫌悪感を示す感性が鋭いそうです。

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かくいう僕も上京したての頃ですが

物件を見て回っている時に

「ここには住みたくないなあ」

と感じて不動産屋に相談したところ

曰く付きであることがわかったことがあります。

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しかしその時の家などもまだ可愛いもので

僕の記憶に残っている中でも

頭一つ抜けている家があります。

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それは僕が幼少期~小学校まで住んでいたアパートです。

現在は耐震テストに引っかかったとかで

取り壊されてしまった為、既に存在しませんが

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僕や家族だけではなく

泊まった全ての人が霊体験をするという場所で

クラスの友達からは

“幽霊アパート”

と言われるほど周りにも知られていました。

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両親が、小学生の兄を連れて福岡から

実家のある青森へと帰ってきた時

父が家を探す最中に見つけたのが

そのアパートでした。

家賃も特別変わっているわけでもなく

いたって普通のアパートだったそうです。

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母もその時点では問題なく了承しました。

しかし母はそのアパートを実際に見た途端

「ここは絶対に嫌だ、他のところにしよう」

と言って聞かなかったそうです。

学校や保育園が近かったり

そろそろ家探しを落ちつかせたいと考えていた父は

なんとか母を説得し、そのアパートを借りました。

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最初の霊現象は、父が友人に送ろうと

使い捨てカメラで家の写真を撮った時でした。

家族は特に問題なく撮れているのですが

アパートの2階部分の周りに

異常な量のオーブが写っていたそうです。

1階は綺麗に写るのに、2階だけがそんな風になるため

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流石の父も気味が悪くなったそうです。

しかし借りてすぐに解約するのも

敷金が勿体無いと思ってそのまま借り続けました。

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それから1週間ほど経ち

母方の祖母が、兄の子守りをするため泊まりに来ました。

父はその日は徹夜、母もかなり遅くなるということで

祖母が兄と2階の寝床に入っていました。

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兄を寝かしつけ、自分もウトウトしだした頃

ガラガラ、と扉の開ける音が聞こえたそうです。

「あ、母が帰ってきたのかな?」

そう思って祖母が声をかけました。

すると階段を上がって来る音が聞こえました。

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「母、外は寒かったろうから布団にお入り」

と自分の布団に招き入れた瞬間

びちゃ、と水に濡れた感触があり、驚いて振り向くと

確かに布団を上げて入ってきて

濡れた手で触られた感触もあったのに

祖母の隣には誰もいなかったそうです。

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気持ち悪くなったその直後に

「ただいま~雨降ってきちゃった~」

と言いながら母が帰ってきたそうです。

それからというもの

祖母は子守はしても

絶対に泊まることはなかったといいます。

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それからしばらくは

何か起こってもラップ音だけだったりと

特に酷い現象もなく、父と母も慣れていったそうです。

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それから2年ほど経ち

僕が産まれました。

しかしそれと同時に

また霊現象が起こり始めました。

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その時は、両親と従姉妹が僕の子守りをしていました。

深夜1時をまわった頃

従姉妹が、ふと部屋の一角にあるふすまを見ました。

そして

「ひっ」

と声を上げ、両親を起こしたそうです。

両親が寝ぼけまなこで従姉妹が指したふすまを見ると

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そこには、白いワンピースのような服の

スカートと足が見えたそうです。

うわっ、と父が声を上げると

その足は

スーッ

と消えていったそうです。

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それからというもの

やはり従姉妹も泊まりには来たがりませんでした。

しかも

母の友人が泊まりに来ても

みんな同じ幽霊を見たと言って

その後家に来なくなっていくのです。

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そんな事が起こっているとはつゆ知らず

僕はすくすくと育っていきました。

やがて5歳にもなるころのことです。

母はその時、内職も行っており

家でも少々忙しそうに過ごしていました。

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そんな中僕の姿が見えなくなり、探してみると

僕は階段の前に座っていました。

それも笑いながら、おもちゃを動かしながら

それでもそこで遊んでるだけなら問題ないのですが

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その時の僕は

真っ暗な階段上、2階に向かって

話したり、笑いかけたりしていたそうです。

母が

「なにしてるの?」

と話しかけると

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「お姉ちゃんと遊んでるの!」

と言ってまた2階を見上げました。

母がぞくっとして

「◯◯(僕)お母さんと一緒に遊ぼ?」

と言うと僕は

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「うん!」

と言っておもちゃを持って母の元へ駆け寄りました。

その時に

「あ、お姉ちゃんあっち行っちゃったー」

と、僕は隣人の家に指差して言ったそうです。

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次の日、母が仕事を終えて帰ってくると

隣人が騒がしくなっており、話を聞くと

隣人の息子が突然ノイローゼになり

「女の人が、女の人が」

と呟き続けるため、お祓いをしている。

との事でした。

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母は昨日の僕が言った言葉を思い出し

その場で吐きかけるほど気持ちが悪くなったといいます。

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結局その後も頻繁に金縛りにあうようになったり

2階で寝るとベッドの足元から視線を感じるなど

様々な現象が起こるため

母は1階しか使わなくなりました。

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それから2年近く経ち、僕が小学4年生に上がる前

父が単身赴任で大阪に

兄は既に上京して県外へ行ったため

2階を使うのは僕だけとなりました。

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そんなある日

僕が2階の部屋で漫画本を読んでいると

唐突に1階の母から怒鳴られました。

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「2階で走って遊ぶな!」

そう言われて僕は、えっ?と思いつつ

1階に降りて母になにもしてないことを告げました。

すると母は青ざめた表情で

「だって、今さっき笑いながらあんたの部屋走り回る音聞こえたから・・・」

と言っていました。

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正直今思えば

とっとと引っ越せばよかったのに(笑)。

それからしばらくして

僕の家が耐震に引っかかって取り壊されました。

やはり、初めて見た時の己の感覚、直感というのは

なるべく信じて行動した方がいいのかもしれません。

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music:2

ここからは余談なのですが。

これを書いていて気付いたことがあります。

僕がコワバナで書いた一作目。

「母」という作品があります。

それは既に引っ越したあとの話なのですが

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今回に出てきた

「白いワンピースのような服の幽霊」

「母」に出てきた

「白いワンピースを着た長い髪の女」

そして僕の遊んでいた

「お姉ちゃん」

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全部同一の幽霊にも思えますね。

もしかしたら

今でも僕は

その女性と一緒にいるのかもしれません。

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>ロビンⓂさん

コメントありがとうございます。

ポジティブ・・・(;^ω^)

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