皆さんは家を見る時などに、なんとなく
「なんか嫌だな」
と感じたことはありませんか?
僕の家系は霊感こそないものの
何かしら“ある”家に嫌悪感を示す感性が鋭いそうです。
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かくいう僕も上京したての頃ですが
物件を見て回っている時に
「ここには住みたくないなあ」
と感じて不動産屋に相談したところ
曰く付きであることがわかったことがあります。
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しかしその時の家などもまだ可愛いもので
僕の記憶に残っている中でも
頭一つ抜けている家があります。
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それは僕が幼少期~小学校まで住んでいたアパートです。
現在は耐震テストに引っかかったとかで
取り壊されてしまった為、既に存在しませんが
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僕や家族だけではなく
泊まった全ての人が霊体験をするという場所で
クラスの友達からは
“幽霊アパート”
と言われるほど周りにも知られていました。
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両親が、小学生の兄を連れて福岡から
実家のある青森へと帰ってきた時
父が家を探す最中に見つけたのが
そのアパートでした。
家賃も特別変わっているわけでもなく
いたって普通のアパートだったそうです。
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母もその時点では問題なく了承しました。
しかし母はそのアパートを実際に見た途端
「ここは絶対に嫌だ、他のところにしよう」
と言って聞かなかったそうです。
学校や保育園が近かったり
そろそろ家探しを落ちつかせたいと考えていた父は
なんとか母を説得し、そのアパートを借りました。
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最初の霊現象は、父が友人に送ろうと
使い捨てカメラで家の写真を撮った時でした。
家族は特に問題なく撮れているのですが
アパートの2階部分の周りに
異常な量のオーブが写っていたそうです。
1階は綺麗に写るのに、2階だけがそんな風になるため
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流石の父も気味が悪くなったそうです。
しかし借りてすぐに解約するのも
敷金が勿体無いと思ってそのまま借り続けました。
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それから1週間ほど経ち
母方の祖母が、兄の子守りをするため泊まりに来ました。
父はその日は徹夜、母もかなり遅くなるということで
祖母が兄と2階の寝床に入っていました。
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兄を寝かしつけ、自分もウトウトしだした頃
ガラガラ、と扉の開ける音が聞こえたそうです。
「あ、母が帰ってきたのかな?」
そう思って祖母が声をかけました。
すると階段を上がって来る音が聞こえました。
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「母、外は寒かったろうから布団にお入り」
と自分の布団に招き入れた瞬間
びちゃ、と水に濡れた感触があり、驚いて振り向くと
確かに布団を上げて入ってきて
濡れた手で触られた感触もあったのに
祖母の隣には誰もいなかったそうです。
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気持ち悪くなったその直後に
「ただいま~雨降ってきちゃった~」
と言いながら母が帰ってきたそうです。
それからというもの
祖母は子守はしても
絶対に泊まることはなかったといいます。
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それからしばらくは
何か起こってもラップ音だけだったりと
特に酷い現象もなく、父と母も慣れていったそうです。
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それから2年ほど経ち
僕が産まれました。
しかしそれと同時に
また霊現象が起こり始めました。
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その時は、両親と従姉妹が僕の子守りをしていました。
深夜1時をまわった頃
従姉妹が、ふと部屋の一角にあるふすまを見ました。
そして
「ひっ」
と声を上げ、両親を起こしたそうです。
両親が寝ぼけまなこで従姉妹が指したふすまを見ると
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そこには、白いワンピースのような服の
スカートと足が見えたそうです。
うわっ、と父が声を上げると
その足は
スーッ
と消えていったそうです。
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それからというもの
やはり従姉妹も泊まりには来たがりませんでした。
しかも
母の友人が泊まりに来ても
みんな同じ幽霊を見たと言って
その後家に来なくなっていくのです。
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そんな事が起こっているとはつゆ知らず
僕はすくすくと育っていきました。
やがて5歳にもなるころのことです。
母はその時、内職も行っており
家でも少々忙しそうに過ごしていました。
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そんな中僕の姿が見えなくなり、探してみると
僕は階段の前に座っていました。
それも笑いながら、おもちゃを動かしながら
それでもそこで遊んでるだけなら問題ないのですが
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その時の僕は
真っ暗な階段上、2階に向かって
話したり、笑いかけたりしていたそうです。
母が
「なにしてるの?」
と話しかけると
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「お姉ちゃんと遊んでるの!」
と言ってまた2階を見上げました。
母がぞくっとして
「◯◯(僕)お母さんと一緒に遊ぼ?」
と言うと僕は
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「うん!」
と言っておもちゃを持って母の元へ駆け寄りました。
その時に
「あ、お姉ちゃんあっち行っちゃったー」
と、僕は隣人の家に指差して言ったそうです。
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次の日、母が仕事を終えて帰ってくると
隣人が騒がしくなっており、話を聞くと
隣人の息子が突然ノイローゼになり
「女の人が、女の人が」
と呟き続けるため、お祓いをしている。
との事でした。
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母は昨日の僕が言った言葉を思い出し
その場で吐きかけるほど気持ちが悪くなったといいます。
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結局その後も頻繁に金縛りにあうようになったり
2階で寝るとベッドの足元から視線を感じるなど
様々な現象が起こるため
母は1階しか使わなくなりました。
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それから2年近く経ち、僕が小学4年生に上がる前
父が単身赴任で大阪に
兄は既に上京して県外へ行ったため
2階を使うのは僕だけとなりました。
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そんなある日
僕が2階の部屋で漫画本を読んでいると
唐突に1階の母から怒鳴られました。
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「2階で走って遊ぶな!」
そう言われて僕は、えっ?と思いつつ
1階に降りて母になにもしてないことを告げました。
すると母は青ざめた表情で
「だって、今さっき笑いながらあんたの部屋走り回る音聞こえたから・・・」
と言っていました。
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正直今思えば
とっとと引っ越せばよかったのに(笑)。
それからしばらくして
僕の家が耐震に引っかかって取り壊されました。
やはり、初めて見た時の己の感覚、直感というのは
なるべく信じて行動した方がいいのかもしれません。
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music:2
ここからは余談なのですが。
これを書いていて気付いたことがあります。
僕がコワバナで書いた一作目。
「母」という作品があります。
それは既に引っ越したあとの話なのですが
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今回に出てきた
「白いワンピースのような服の幽霊」
「母」に出てきた
「白いワンピースを着た長い髪の女」
そして僕の遊んでいた
「お姉ちゃん」
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全部同一の幽霊にも思えますね。
もしかしたら
今でも僕は
その女性と一緒にいるのかもしれません。
作者黒人形
うーん、文章下手くそか!