中編5
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防空壕

music:1

ある日中学校の遠足で防空壕に行くことになった

防空壕とは戦時中に空襲から逃れるために人々が逃げ込んだ穴や洞窟のことである

みんな防空壕なんか退屈だろうと言ってグチグチ文句を言っていた

俺もそのうちの1人だ

沖縄では幼稚園の頃からずっと戦争に対する教育をさせられている

なのでみんな飽き飽きしていた

防空壕につくとみなそれぞれのグループに分かれてどんどん中に入っていった

俺は友達のKとJと一緒に中に入った

防空壕の中は薄暗く、そしてとても狭かった

中を進んでいくと、横に真っ暗な抜け道を見つけた

この抜け道に言い知れぬ好奇心が湧き上がり、友達2人を誘って入ってみることにした

Jは最後まで反対していたのだがKが押し切りなんとか3人で入った

music:2

外から見た通り中は真っ暗で手伝いでわかる壁の感触だけが頼りだった

この時Jは少し怯えており、Kはそれを面白がっていた

一方俺はというと、好奇心と恐怖心で心臓がが破裂しそうだった

しばらく中を進むと壁に頭からぶつかった

どうやら行き止まりらしい

Jが心配して声をかけてくれたので壁にぶつかっただけだと話すとKがクスクスと笑った

俺はムッとしKを小突いた

そうこうしていると突然、

だああああああああああああああん!

と大きな音がした

嫌な予感がしたのでさっきまでの道を走って戻った

だが無駄だった

俺はまたさっきと同じように壁にぶち当たった

2人は言葉を失っていた

俺達3人は呆然としているとまたあの音が聞こえてきた

それも絶え間なく、、、、

時間が経つにつれどんどんお腹が減り、喉が急激にかわいた

そして息苦しくなってきた

「助けて。 怖い、、怖い、、

苦しい、、 もう嫌だ、、、

誰か 、、 誰か、、、助けてよ」

そんな思いが頭をいっぱいにした

するとKとJが同時に

『死にたい』

とつぶやいた

その途端に音が鳴り止んだ

俺はばっと起き上がった

すると目の前に大勢の子供達がいた

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周りは先ほどと変わらず暗いのだが子供達の姿ははっきり見えた

そしてあいつらは皆ニヤニヤと笑っていた

俺は怖くなり2人の名前を大声で呼んで起こそうとした

だがいくら呼んでも2人は起きない

するとあいつらのうちの1人が俺に手を伸ばしてきた

俺は恐怖に耐えられずすぐさまそこから逃げだした

music:1

しばらく走ってると防空壕の外にいた

そこにはクラスのみんながいた

何時間もの時間をあそこにいたはずなのにここでは数分しか経っていなかったらしい

俺はすぐに待機していた先生にこのことを相談するとバカにするなと怒られた

誰もあの音を聞いてないと言った

そして、抜け道など知らないと言った

だがしばらくして2人が戻ってこないことがわかるとすぐに警察が呼ばれた

遠足は最悪の日となった

そしてこの日を境に夢には寂しそうな目をしたあの子供達と助けを求める2人が現れるようになった

夢の中の俺はあいつらから必死に逃げ続けた

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あの日から一年半経った

親から二人の遺体らしきものが見つかったと聞いた

それは通常では行けないような場所にあったという

防空壕を管理していた市役所役員のNさんという人が俺の話を信じ、防空壕の通路近くに空洞がないか調べあげ、そしてそこを通路側から掘り進めてようやく見つけたらしい

Nさんが言うにはそこはすごい腐乱臭がし、多くの骨があったらしい

さらにそれに混じってばらばらになった人の体らしきものもあったという

それがあの二人の遺体だ

周りにあった骨は形と古さからして戦時中の子供のものらしい

だがしかし、子供の遺体以外にもいくつかの年代の骨もあった

そしてそれは行方不明者のものと一致していたという

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music:4

何日かたってNさんとあった

Nさんは自分はあの場で亡くなった子供達にいざなわれ、彼らの記憶を見せられたのだと言う

そしてあの二人はあいつらが諦めなかった命をいらないと、死にたいと言ったから彼らに連れてかれ、おもちゃにされたらしい

Nさんは「実はあの防空壕、発見当時からずっと心霊現象が耐えないんだ。僕もなんだけど霊感ある人は必ず何かを感じとって不用意に近づかない。そしてさらには、近くで行方不明者が異常な数だったんだ。君が生きててくれたおかげで行方不明者たちの無念が晴らされたと思う。あの2人も含めてね。彼らを救えなかったことを引きづらないでいい。君は彼らの分も濃い人生を生きなさい」そう言ってニッコリ笑った

別れ際に夢のことを話すとNさんは顔を険しくし、「君はまだ狙われているのかもしれない。近いうちに必ずお寺に行きなさい。」と言われた

俺はゾッとした

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そして翌日、言われた通り地元で有名なお寺に行った

すると入るやいなや、お寺の住職に手をつかまれある部屋に連れていかれた

そして住職はすごい剣幕で「君はいつ連れ去られてもおかしくない状態だ。今何もないのがおかしなくらい。すぐに除霊を行う。今から何があっても彼らに飲まれるな!!」と言いすぐさまお経を読み始めた

music:6

するとその途端に空腹そして喉の渇き、息苦しさが襲ってきた

そしてどんどん周りが暗くなりあのうるさい音が聞こえてきた

やがてあの子供達がでてきて口を揃えて言った

『遊ぼう』

頭に直接響いてくる

あのうるさい音が耳から、子供達の声が頭に絶え間なく聞こえてくる

そして俺は大声で「やめてくれ」と叫んだ

するとKとJが現れた

二人は俺に手を差し伸べてきた

俺はすぐさま手を取った

music:5

握ったその手はもろかった

俺が手を取ったその瞬間に2人はボロボロに崩れ落ちた

そしてあの時手を伸ばしてきた子供が顔を出してきた

子供はニヤつきながら言った

「逃さないからね」

俺は言ってしまった

「もう死んだ方がいい!!」

その瞬間子供たちは俺の手を、足を掴み

俺の体をばらばらにちぎってった

END

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