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中編7
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三体の化け物〜喰〜

遂に匠さんの中に宿る何者かが、その力の暴走を始めた。

救う事は叶わぬとサクラさんは匠さんの命を奪うべく、全身全霊を込めて神の槍を匠さんへ放つ。

だが、神の力をもってしても今の匠さんには歯が立たなかった。

サクラさんを苦しめる匠さん。

僕はただそれを見ている事しか出来ない。

そして遂に匠さんの手がサクラさんの首にかけられた。

絶体絶命のその時…。

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「闇に堕ちちまえよ?

てめえ。」

僕「あ…あぁ…。」

サクラさんの首にかけられた匠さんの手。

その手にかけられたもう一つの手。

そこには見覚えのある、少しあどけなさの残る横顔。

長めの黒髪を後ろで束ねた青年の姿。

僕「あ…葵さん…。」

葵「てめえはやり過ぎた。

今すぐ闇に堕としてやるよ。」

葵さんに捕まれた匠さんの腕がみるみる黒く変色していく。

サクラさんから手を離す匠さん。

そして変色した自分の腕を眺めている。

葵さんはサクラさんを抱えその場を離れている。

ピッシャ―!!

?!!

葵さんがサクラさんを連れ、その場を離れた瞬間、匠さんを雷が襲った。

僕「あぁ…。」

雷に襲われた匠さんの背後にその人は静かに佇んでいた。

僕「紫水さん!

紫水さん!!」

僕は窮地に現れたこの二人に感動を覚え涙ぐんでいた。

紫水「本当に…。

貴方は少しやり過ぎましたねぇ。」

葵さんは口調が変わっている。

そして紫水さんは雷を操っている…。

二人共、最初から本気だ…。

葵「カイ。

サクラさんを連れて出来るだけ遠くへ離れてろ。」

いつの間にか僕の側に来ていた葵さんがそう言った。

紫水「出来れば山を降りて頂いた方が…。」

気が付くと紫水さんも僕の側に立っていた。

やっと二人が来てくれた…。

この二人が来ればもう…。

紫水「葵さんの占い通りの結果でしたねぇ。」

僕「占い?」

葵「あぁ。

俺達はサクラさんから教えて貰った場所へ行ったが、そこに術者はいなかった。

宛の無くなった俺達は、ただ闇雲に探しても仕方ねぇと術者の居所を占ったんだ。

まぁ、術者に関しては何も分からなかったがな。

代わりに…。

サクラさんと…カイ。

お前達に死の暗示が見えた。

だから急いで戻って来たって訳だ。」

紫水「戻ってびっくりですよ…。

探していた術者が此処にいて、しかも暴走を始めている。

それに何故かカイさんまでが此処にいたのですから。」

僕「まぁ…色々ありまして…。」

紫水「まぁいいでしょう。

それよりも早く此処を離れて下さい。」

葵「あぁ。

早く。」

そういう二人の額から汗が流れている。

そしてその目はプスプスと黒煙を立ち上らせている匠さんの方へ向けられていた。

葵「これは相当だな…。」

紫水「えぇ…。

これ程の存在とは…。」

僕は二人の忠告も忘れ、匠さんの方を伺う。

?!

風で流されて行く黒煙の向こう側…。

先程と変わらず、変色した腕を眺め佇む匠さんの姿。

紫水さんの雷が全然効いていない…?

僕達の不安を他所に、匠さんは何事も無かったかの様に自分の腕を眺めている。

そして、その視線をこちらに向けた。

!!!!

何が起こったのか分からない。

匠さんがこっちを見た瞬間、僕達は後方へ吹き飛ばされた。

僕とサクラさんは運良く草の上に飛ばされたが、紫水さんと葵さんは背後にあった巨木に体を打ち付け、ゆっくりと崩れ落ちていく。

僕「紫水さん…。

葵さん…。」

落下した時に背中を打ったせいで、上手く言葉が出なかったが、僕は二人の名前を呼んだ。

葵「今こそ目覚めよ闇の王…。

その力、我に示さん。」

崩れ落ちた体制のまま葵さんが呪文を唱えている。

葵「その荒ぶる力を今こそ解き放て…。」

葵さんがそう言い、地面に手を着くと匠さんに向かって地面を這うように闇が拡がって行く。

そして闇が匠さんの足元に及んだ時、匠さんの体がゆっくりと闇の中へ沈んで行く。

だか、匠さんはそれすらも気にする様子は無く、ただじっとそこに留まっている。

葵「ちっ!

余裕かよテメエ!」

そんな匠さんに動揺を隠せないのか葵さんが叫ぶ。

紫水さんは?!

僕は紫水さんが飛ばされた方角を見たが、そこに紫水さんの姿は無い。

辺りを見渡すと、匠さんの斜め後方でしゃがみ込み、地面に掌を当て何やらブツブツと呟いている様だ。

そしてそれを丁度、匠さんの四方を囲う様に繰り返した後、両手を強く地面に叩きつけた。

ブゥン。

微かだが、一瞬そんな音が聞こえた気がした。

僕「あ、葵さん?

紫水さんは一体何を?」

葵「あぁ…あれか?

あれは、俺の術の上に更に結界を張ったんだよ。

あれでヤツは二重の結界で縛られた。

もう動けねぇ。」

す、凄い。

葵さんの結界の上に更に結界…。

やっぱりこの二人は凄い!

葵「紫水!

生憎、俺は浄化の術は使えねぇ。

これでも呪術師なんでな。

後は任せた!」

紫水「えぇ…。

分かっていますよ(笑)」

そういうと紫水さんは、身動きのとれない匠さんの前方に立つと、両手を拡げ、舞う様にその周りを歩き出した。

暫く紫水さんの舞が続いていたが、突然その動きが止まった。

葵「嘘…だろ?」

横でそう呟く葵さん。

僕は訳が分からず紫水さんの方を見た。

?!!

紫水さんは舞を止め、じっと一点を見つめている。

勿論、その視線の先は匠さんなのだが…。

二重の結界で動けない筈。

動けない筈の匠さんが、まるで何事も無かった様に葵さんの作り出した闇から這い出ている…。

葵「紫水!」

葵さんが叫ぶとほぼ同時に、紫水さんが後方へ飛ばされた。

すぐに紫水さんの元へ駆け寄る葵さん。

葵「紫水!

紫水!!」

倒れ込む紫水さんの体を起こし叫ぶ葵さん。

紫水「だ、大丈夫ですよ…。」

葵さんの呼び掛けに反応した紫水さん。

だが、その口からは血が流れ落ちていた。

葵「カイ!

コイツはやべぇ!

今すぐに逃げろ!!」

葵さんが必死で叫ぶ。

葵さんに支えられてゆっくりと立ち上がる紫水さん。

紫水「カイさん…。

これはもはや暴走を止めるどころではありません…。」

この二人でも止められない?

僕「と、止められないって…。

じゃあどうなるんですか?

匠さんはこのまま暴走を続けるんですか…。」

葵「いいから早く逃げろ!

何も手がねぇとは言ってねぇ!

暴走は止められねぇが、消す事は出来るかも知れねぇ!」

消す?

消すって…?

紫水「残念ですが、私達の力では彼の暴走を止める事は出来ません…。

ですが…彼をこのままにしておく訳にもいきません。

不本意ですが…それしか手はありません。」

消す?

不本意?

もしかして匠さんを殺すって事…か?

葵「今から俺達は本当に全力を出す。

そうなったらまだ俺達自身も力をコントロール出来ねぇんだ!

間違いなくお前達にも被害が及ぶ!

だから今すぐ離れろ!」

いやだ…。

匠さんが死ぬなんて嫌だ…。

あの人はこんな形でいなくなる様な人じゃない!

あんなに優しくて、あんなに哀しみを背負っているあの匠さんが死ぬなんて…。

葵「紫水!

来やがった!」

完全に闇から抜け出した匠さんが、ゆっくりと二人に向かっている。

紫水「カイさん!

もう時間がありません!

早く逃げて下さい!」

葵「紫水!

始めるぞ!」

葵さんはそう言うと、両手を地面にそっと当て、静かに目を閉じた。

それを見た紫水さんは手を胸の前で組み天を仰いだ。

数秒後…。

ビリビリビリビリ。

辺り一面の空気が震え出す。

二人はまだそのままの体制で動かない。

?!

動く事の無い二人を見ていた僕の目に、二人の体を包んでいく気の様な物が見え始めた。

葵さんは黒い霧の様な物に体を包まれていく。

紫水さんは青い光に体を包まれていく。

そして二人の体を包む物の色がはっきりと濃くなった時、葵さんはゆっくりと立ち上がり、紫水さんはその顔を下ろした。

僕「い"っ!」

二人が動き出した瞬間、先程までの空気の震えが一層激しくなり、それと同時に僕の右腕に切られた様な傷が走る。

いや、右腕だけでは無かった。

頬、左腕、右足、左足。

体の至るところを切り刻まれて行く。

見れば、周りの巨木にも無数の傷が付き始めていた。

二人が言った通り…。

ここに居れば間違いなく僕も無事では済まない…。

でも…このまま匠さんが死んでしまうなんて…。

やっぱりそれだけは許せない!

その時、僕は自分でも何を考えているのか分からなかった。

ただ、匠さんを助けたい一心で、気が付けば二人と匠さんの間へ走り出していた。

そこへ近付くにつれ、深く切り刻まれていく僕の体。

体中を血が流れて行くのが分かる。

意識も少し朦朧としだした。

だが、そんな僕の行動に紫水さんも葵さんも気付いてはいない。

恐らく二人共、理性を失っているのだろう。

僕は朦朧とする意識のまま、三人の間に入る事が出来た。

だが、その時には立っている事も出来ず、ゆっくりと膝から崩れ落ちていく。

うっすらと見えた僕の視界のその先。

紫水さん、葵さん、二人を包む物が一気にこっちへと飛んでくる。

ソレが近付く毎に更に深く体を切り刻まれる…。

そして遂にソレが僕の目の前に…。

あぁ…。

僕はこのまま…。

Concrete
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mami様。

まさかまさかのお詫び?!Σ(゜Д゜)
あのぉ〜(^^;
以前に言った筈ですよぉ〜。
あくまでもわたくしの作品は暇潰し程度に。と(笑)
一ヶ月後でも、二ヶ月後でも、どうしようも無く暇になった時にチラ見程度に読んで頂ければ宜しいかと(笑)

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はと様。

いえ!
カイ君は助かりません!
誰一人助かりません!
そして匠の暴走も止まりません!
これがこの話の全てです!(笑)

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月舟様。

やっぱりイライラします?(笑)
もうお前いっその事…。
とか思ってしまいます?(笑)
でもこういうタイプも何となく必要でしょ?(笑)

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むぅ様。

あきまへんでて!(笑)
こてこてやん!(笑)

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セレ―ノ様。

読むんはやっ!Σ(゜Д゜)
まだ投稿したとこですよ?(笑)
しかも続き早くって!(笑)
大人しく療養して下さい!

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