お願い[占い師? 棗シリーズ]

中編6
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お願い[占い師? 棗シリーズ]

私は、人が苦手です。

人とは違う眼をしているから…

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最近、見続けてる夢の話です。

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私の大事な○○を探してください!

男性か女性かもわからない中性的な子供…

だと思われる方にお願いされる夢…

今日で4日連続になります。

満足に睡眠もとれずに精神的にも少しまいっていました。

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ストレスも溜まり、休憩中に風香さんに愚痴ってしまうほどです。

「やっぱり、顔色悪いですもん…棗さん。」

と、風香さん…

「わかる?」

「仕事中なら暗めの照明だけですから、わからないとは思いますけど…」

いつも明るい風香さんが深刻そうに言うからには相当酷い顔なんだろう…

「探せって言うんだけど、何を探せば良いかわからないだよね…」

ですよね…と風香さんの相づち

「棗さん、わからないって言ってますけど…」

一呼吸おく風香さん…

「聞いてみました?捜し物なんなのか…」

目から鱗でした…

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今日で5日目…記録更新です。

「貴方、何を捜してほしいの?」

私は夢の住人に訪ねます…

疲れとストレスから口調もきつい…

「教えてくれなきゃ捜せないよ」

お人形…リ○ちゃんのお人形…

お母さんがプレゼントしてくれたお人形…

一人で寂しいって泣いてるの…

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捜して欲しい物がわかりました…

それ以上の情報はありません。

「カノンさん助けてください…」

助けを求めたのは同僚のカノン(仕事名)さん

私と違い本物の占い師…

「30分5000円…」

冷たい事を言うカノンさん…

「か…夕食を一回分!棗の手作りで…」

嬉しい事を言うカノンさん…

「ふ…風香さんと3人なら…」

「おーけー」

ニヤニヤ笑いながらですが了承してくれて一安心…

茶化されたと気づいたのは一週間後でした…

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カノンさんの専門は水晶玉を使った占い…

基本は私に似ていますが、過程と結果…精度が段違いです。

依頼者の纏っている気を水晶に移して、

カノンさんの必要な情報を読み取るらしいです。

読み取る情報量や質、そして相手からの信頼度によって難易度は変化する…

これは、カノンさんから事前に聞いた内容です。

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以下はカノンさんの占い…

赤と黒の扉…

全部で三箇所ある…

一つは建物、アパートの地下…

一つは神社、大きくは無い神社…

一つは…

この店?

この店にあるか、関係者が持っているか…

人形一体に対して三ヶ所なのはバラバラになってるから…

相手の言葉を100%信頼しない方が良い…

相手が嘘をついてる…

か、こちらの思い込みが真実を曲げてしまっている…

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「まあ、こんな感じだね」

大きく息を吐き汗をぬぐった姿はやっぱり格好良いです。

某巨大事務所のアイドルとは違う神秘的な格好良さに私も魅力される…

そんな男性。

「……………………………」

思わず返事も忘れ見とれてしまいます。

「棗………どうした?」

恥ずかしさで顔が赤くなってる私…

「棗、なにやってるんだお前…小学生じゃあるまいし」

救いの夜叉が女神の仮面をつけながらやってきました。

「さっきの話、店の中は私が探してやる。他はお前が探せよ!」

「店長!ありがとうございます。」

嬉しくて軽く涙ぐむ私と対照的にカノンさんは白けた顔で余計な一言を呟きます…

「店長~あんた…頭でも打ったのか?気持ち悪い…」

腹を押さえながら床に沈んでいくカノンさん…

私を救ってくれた夜叉は、女神の仮面を外して崩れ落ちたカノンさんに留めを刺すのを尻目にお店を後にしました…

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カノンさんの占いの結果の一つ…

心当たりのあるアパートに向かいます。

先程の話を聞いた時に私の頭によぎったのは自宅のアパートでした。

ブーンと重低音が支配する地下1階…

地下1階は機械室や倉庫のある場所になります。

その一つに、赤錆びがついた扉…

渋る管理人さんにお願いして鍵を開けてもらい中を確認させて貰いました。

「棗ちゃん…早く終わらせてよ」

愛想笑いをしながら室内を確認していきます。

室内にある掃除用具や防災用具が整頓され置いているなか…

「これかな…」

室内の用具の影に人形の下半身…

「これは、リ○ちゃんじゃないよね…」

棗ちゃーん、まだかなー

部屋の外からの管理人さんの急かす声が…

急いで部屋を見渡し、怪しいものが無いのを確認して部屋を後にしました…

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お店は店長が請け負ってくれた以上は問題は無いはずです。

残りは、神社…

私の住んでる地区は昔ながらの寺社仏閣が多数残っている場所…

こじんまりとした神社は私が思い付くだけでも片手の指ほどはある位です。

「情報が少なすぎるな…」

独り言を呟きながら、思考を整理していきます。

神社やお寺は基本は神域…鳥居や狛犬などに護られ、邪悪なものや異物を排除するようにできているんです。

これは、信仰心が薄くなってしまった現代でも変わりません…数千年かけて築いた人の想い、歴史の力です。

建物の大小は関係ありません…

ただ、結界が強力であるからこそ、内から招き入れた異物には弱い…

管理されていないなら尚更です。

日も暮れてしまい夕方から夜に…

私は今日の探索を止めて明日に探す事にしました…

もしかしたら、夢で情報がえられるかもしれない…

都合の良い事を考えながら、早めに就寝しました。

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6日目です。

お姉ちゃん…私のリ○ちゃんが泣いてるの…

寂しい…体が痛いって泣いてるの…

早く見つけてあげて…

私を見つけて…

私達を見つけて…

早く…早く…早く!

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目が覚める直前にフラッシュバックのように景色が頭にはじけました。

店、神社、マンション…

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あそこ…k神社だ。

凄い寝汗をシャワーで流し、k神社に向かいます!

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K神社までは自転車で15分強…

荒れ果てはいませんが無人の神社になります。

「えーと…夢にでてきてのは…」

記憶をたどり夢にでてきた場所へ

近づいていくと木の根本から淡い光が見えます。

誰も気にしない、気がつかない光…

「あった…人形の頭と右上半身…」

リ○ちゃんとは違う布製の人形…

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見つけた人形の各部を持って店に向かいます。

店では店長がすでに人形の左上半身を見つけたくれていました。

「で、裁縫はできるのか?」

店長が私に尋ねてきます。

「バラバラじゃ駄目ですよね?」

無言でバラバラの人形を見つめて固まっていると…

「店長も棗さんも、女子力低いですね~

店長なんかお子さんの裁縫とかどうするんですか?」

出勤してきた風香さん苦笑しながら裁縫セットをとりだし、人形を修復してくれます。

「風香さん、裁縫なんてできたんだ…」

「たしなみですよ!た・し・な・み…」

「私の家、男は仕事!女は家庭!みたいな昔の考え的な家庭だったんですよ。

だから、家事なんかはお母さんに仕込まれましたし、躾もきびしかったんですよね…」

ぶつぶつ呟きながら人形を修復していきます。

「まあ、だからこそお金で困った事はありませし、何かあった時はお父さんが全部責任をとってくれました…

私にとっては理想の家庭なんですよね~

と、できた~♪」

見事に修復された人形を確認して、

はい!棗さん…と渡してくれます。

「ありがとう…風香さん」

「いえいえ~♪今度、夕食ご馳走してくれるんだから軽いもんですよ!」

カノンさんから聞いてますよ~♪

と、くるくる踊りながら…

「わたしは~棗さんの~ごはん~大好きなんですよね~」

びしっと私に指を指しながらポーズをとって静止…

「で、棗…その人形どうするんだ?」

と、店長…

「解らないで、枕元に置いて寝てみます…」

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7日目…

夢を見ます。

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母娘が手を繋ぎながら歩く後ろ姿…

おねーちゃんたちに捜してもーらった…

おねーちゃんに治しても~らった…

おかーさんとみいちゃんと○カちゃんと仲良く帰えろう~

遠ざかる後ろ姿を見ながら夢は終わりました。

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枕元には人形の姿はなく、何で私の夢にあの娘がでてきたのかはわかりません…

だけど、幸せそうな後ろ姿をみれたからか…

「まあ、良かったのかな?」

と、外をみながら思いました。

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後日に開催したお食事会が緊張と恐怖と羞恥で大変な事になったんですか、それはまた別のお話です。

Concrete
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