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中編6
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封印解かれし刻〜融合〜

遂に化け物と対峙した匠。

トメの仇を目の前にし、その感情を露にした匠の一撃が化け物に風穴を開ける。

その一方で、トメと同じ匂いがする匠に対し、化け物は困惑を見せる。

そんな化け物に対し、匠は自らを宿御一族 一七代当主と名乗った。

今、弔合戦がその幕を開ける。

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匠「いいか?蛍!

絶対に気を抜くんじゃねぇ!

コイツは並の相手じゃねぇ。

恐らくさっきの術も然程効いちゃいねぇ筈だ。」

匠はいつの間にか背後に戻っていた蛍にそう告げる。

蛍は匠の言葉に静かに頷く。

その目はひと時も化け物から離さない。

「また…また…また…また…」

化け物はその場から動かずブツブツと何かを呟き始めている。

匠「蛍?

良く分からねぇが、アイツは何やら動揺してやがる。

出し惜しみしてる余裕はねぇ!

アイツが油断してやがる間に一気に行くぞ!」

匠はそう蛍に告げると、印を結び始めた。

「また…ま…た…また…」

化け物は依然として呟いたままその場を動こうとはしない。

匠はそんな化け物を見据えながら、印を結び続ける。

そして、印を結ぶ匠の背後で蛍は両腕を広げ、ゆっくりと宙へ舞う。

匠「蛍行くぞ!」

印を結び終えた匠が蛍と同じ様に両腕を広げる。

そこへ宙を舞う蛍が匠と重なる様に匠の中へと吸い込まれて行く。

?!

途端に眩いばかりの光が辺りを包み込んだ。

「さぁ…行こうぜ。」

青い光に体を包まれた匠が言う。

その顔は間違い無く匠のものであったが、時折、ダブる様に蛍の顔が見え隠れしていた。

本来、宿御一族は八百万の神々の中より術者に合った神を選び、その力の一部を借りているに過ぎない。

故に神の力全てを借りる事など不可能。

だが、蛍は違う。

蛍は蛍自身が匠を選び、それを守護すると決めたもの。

人間である匠と、それを守護する蛍が、互いの霊力とその体を融合させた、匠と蛍のみに可能な術であり、長い宿御一族の歴史の中で、人間と神との融合をこれ程までに完成させた術者は匠以外に存在しない。

だが、そんな匠を目の前にして尚、化け物はその場を動こうとはしない。

匠「まぁいいや…。」

?!

匠はそう呟いた瞬間、化け物の眼前まで迫り、その顔を蹴り上げた。

力なく宙を舞う化け物。

匠「まだだぜ?」

いつの間にか化け物の更に上へと飛び上がっていた匠。

そして、その両掌を化け物の胸に宛がった。

ブゥン…。

化け物の胸に宛がわれた匠の掌から激しい光が放たれる。

ドンっ!

空中で化け物の体がブレ、凄まじい速度で地面へと落下していった。

匠「蛍!!!!」

未だ宙を舞う匠が印を結んだまま化け物を見据え叫んだ。

?!

一際眩い光が匠の印を結ぶ手より放たれた。

その光は徐々に形を作りながら化け物へと向かっていく。

そしてそれは、青く美しい羽を持つ、まるで女神の様な姿へと形を変えた。

凄まじい速度を保ちながら、その身を変化させた蛍が化け物との距離を詰めていく。

そして…。

ドド―ン!

まるで地震に見舞われた様に辺りが激しく揺れる。

辺りを土煙が包み込み、化け物の様子が見てとれない。

ようやく視界が晴れた時、化け物が落下し、蛍が追撃を加えたその場所にポッカリと大きな穴が口を開けていた。

匠はゆっくりとその穴へと歩を進め、中を覗き込む。

匠が覗いた先、およそ十メートルはあろうかと思われる穴の底に化け物はいた。

匠と蛍の連撃により、頭部の半分を失い、体に至っては、ほぼその原型を留めてはいない。

それでも尚、化け物は体をピクつかせ、未だその命が途切れていない事を告げていた。

匠「チッ…。

化け物が…。

これでもまだ死なねぇのかよ。」

匠は穴を覗きながら化け物に対し、悪態をつく。

そんな時…。

?!

匠は不意に身を震わせた。

生きているとはいえ、目の前の化け物は体の大半を失った瀕死の状態。

ここからの反撃など、絶対に有り得ない状態である。

だが、そんな化け物の口から微かに聞こえた言葉に匠は体の震えが止まらなくなっていた。

「また…また…また…」

化け物は匠の攻撃を受ける以前から口走っていた言葉を今も尚、繰り返していた。

?!

一瞬、化け物と目が合った気がした。

たったそれだけの事で匠は瞬時に穴から距離をとる。

いや、正確には匠の意志では無く、本能が危険を感じ、化け物から避難したのだ。

誰の目から見ても、圧倒的有利なこの状況で、匠の本能が化け物に恐怖し、逃げる事を選んでしまったのだった。

自身のとったこの行動に、匠は困惑していた。

そして、匠と融合する蛍も又、この状況を理解出来ないでいた。

そんな二人が、何も出来ずただじっと穴を見つめていると、急に場の空気が張り詰めて来た。

空気の変化に、二人の表情が険しくなって行く。

「また…また…また…またまたまたまたまた」

穴から聞こえる声が徐々に大きく、はっきりとしたものになっていく。

そして…。

?!

突然、穴の中から凄まじい勢いで、化け物が這い出して来た。

髪は宙を舞うが如く広がり、その目は真っ赤に血走っている。

そして、二人に向けられた顔には、浮きあがった無数の血管がピクピクと脈打っていた。

その姿は、先程までの化け物とは明らかに違う。

そして、二人が更に驚愕したのは、吹き飛ばされた筈の化け物の体が、何事も無かったかの様に全て再生されていた事だった。

匠「おい…。

こいつは…。」

匠は化け物を目の前にし、言葉が出ない。

そんな匠をじっと睨み付けていた化け物が口を開く。

「また…また…

また貴様ら一族は我の邪魔をする"がぁ"〜!!!」

?!

化け物が叫んだと同時に、匠の両足が宙へと跳ね上がる。

何が起こったのか理解出来ない匠は自らの足元を見る。

そこには、足首に巻き付く無数の髪が。

匠は、必死に巻き付いた髪を取り除こうとするが、髪は足首に深く食い込み、ビクともしない。

両足を縛られたまま、匠の体は上昇を続けていく。

?!

必死に髪を取り除こうと匠が空中でもがいていると、今まで上へと引っ張っていた力が、今度は下へと変わる。

どんどんと速度を上げ落下していく匠。

そして…。

自由の効かない匠の体は、成す術なく、地面へと激突した。

匠「ぐぁ…」

蛍「きゃっ!」

先程の化け物同様、地面へと叩き付けられた匠の体は地中へと深く埋まっている。

その衝撃から、匠の口元より真っ赤な鮮血が吹き出した。

体の感覚が無く、呼吸をするのもやっとの状態の匠。

そんな匠を穴の上から化け物が見下ろす。

「……………………(笑)

お前……弱いねぇ?」

化け物は匠を見下ろしながらそう言うと、ニタニタと嫌な笑みを浮かべた。

匠「く…くそが…」

匠は自分を見下ろす化け物に対し、悪態をついて見せるがその体は動かない。

そんな時。

蛍「匠…?

やっぱり無理かも知れない…。

アイツ……今の私達じゃ勝てないよ…。」

匠と融合した蛍が、不意に弱気な発言をする。

だが、匠はそれに対して何の反論もしない。

蛍の言う事は正論であり、匠自身にもそれは良く分かっていた。

だが…。

未だ力の入らぬその体を震わせ、匠はゆっくりと立ち上がる。

少しでも気を抜けば、すぐに膝が折れ、地面へと這いつくばってしまいそうだ。

そんな体を必死に支えつつ匠は言う。

匠「あぁ…。

お前の言う通りだ…蛍。

俺じゃアイツには勝てねぇだろうな…。

でもよ…。

バアサンは俺の腕の中で死んじまったんだよ…。

バカ見てぇに最後まで俺の心配をしながらよ…。

そんなどうしようもねぇバカなバアサンをアイツは…。

アイツは手にかけやがったんだよ!!

俺は生きよう何て思っちゃいねぇ。

でもよ…ただじゃ死んでやらねぇ!

あのバケモンぶっ飛ばして笑顔で死んでやるよ!」

そう叫ぶ匠の目に再び光が戻る。

その時…。

「相討ちには共感できませんが、ぶっ飛ばすと言うのはいいですねぇ(笑)」

Concrete
コメント怖い
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ふたば様。

まだ安心するのは少し早いかと…。
何分、カイというヤツは少々変わっております故…。

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セレ―ノ様。

え?!Σ(゜Д゜)
お…お前はまさか?!Σ(゜Д゜)
て、言うヤツが出て来るかもですよ?(笑)

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むぅ様。

悪霊化?!Σ(゜Д゜)
本当にメンタルが弱ければ悪霊にすらならないと思いますが?(笑)

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月舟様。

来たえ〜(^-^)v

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珍味様。

彼?!Σ(゜Д゜)
一番いらんヤツですやん!(笑)

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