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中編3
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魚釣り

先日、友達と釣りに行く事があった。

本当は海に釣りに行きたかったのだが、あいにくその友達はあまり予定を開けられない。

それでやっと取れた休日は日曜日であった。

日曜日であるから電車でも車でも道が混雑してしまい、釣り気分じゃなくなってしまうということで、

手軽に釣りが楽しめる近くの川に行くことになったのである。

近くと言ってもその場所は1時間ちょっとかかる。

ただ山の麓なので人通りも結構少ない。

そうして、その日は寒かったということもあって、目的の場所にはスイスイ行けたのであった。

友達は、あゆを釣ると言って釣る前から興奮気味に、いかにあゆを釣るのが難しいか、コツはああだとか、こう見えて昔はあゆを1日で10匹も釣った!

と自慢げに話をしていた。

そうこうするまに、目的の場所に着いて暫くゆったりと釣りを楽しんだ。

自分は3匹ほどヤマメを釣った所でお腹が空いたので、調理道具などを用意して火をたいていた。

すると向こうの方で「こっちに沢山あゆがいる!!」と友達は大声をあげこちらに手招きしてきた。

火がついてから呼び声の方向に足を向ける。

友達のいる場所は、滝壺がある場所で多分水深は3m以上あるだろう場所だった。

水は透き通っていて、底まで見通せて青色がとても綺麗。

中を除いていると、なるほど沢山の魚が泳いでいる。

するとその中でも一際大きな魚が泳いでいるのに気が付いた。

その魚は 少し小さめの鮭ぐらいの大きさのものだった。

友達は「あの魚をつって今日は豪勢にいこう!」とつるきまんまんだ。

その魚の大きさを見れば、誰もが釣りをしたくなるだろう、かくいう自分もその魚を釣って皆に自慢したいという欲求が出てきた。

けれど、先程火をつけたことが思い出されて、悔しくも火の番をしに元の場所に戻った。

友達は「俺が釣ったらお前も食べられるからいいだろ!」と背中に叫んでくる。

自分で釣る魚がどんなに美味しいかあいつはわかって言ってるのだろう。

くやしいので、友達が川のなかに落ちないかと心のなかで思い始める。

暫くたってふと顔を上げ友達の方向を見る。

友達は、まだあの魚と格闘中なのか水のなかを、ひたすらのぞいている。

そこでおかしいことに気が付いた。

その友達は、手には釣竿を持たず、小さい黒い魚?みたいなのを持って何事かをぶつぶつ言っている。

「おーい!釣れたか?」と呼び掛けてもこちらに目も向けない。

しょうがないので近くに言って見ることにした。

行ってみると滝壺は先程と何らかわりなく、青色を浮かべている。

「なんも釣れなかったからって黙り混むなよ」と友達の肩に手を置いた。

瞬間、鳥肌が今までにないくらい立った。

その友達の手に持っている物は、魚ではなくよく見ると黒い髪の束だった。

急速に体から体温が抜けてくのを感じた。

青ざめながら顔おを友達の顔をみると、白目を向いて口があき、ヨダレを垂らしていた。

頭の中が真っ白になっていく。

早くそこから友達と逃げなければと思うのだが、足が動かない。

冷や汗は目の前の滝のように流れ、だらだらと地面におちていく。

すると目の前の滝壺が勢いよく水しぶきを上げた。

驚いた瞬間に足を崩し地面に尻を強かにうつ。

水しぶきの上がった方向に勢いよく顔を向けたら、

首が「グキッ」と嫌なおとがした。

けれど、それも気にならないくらいの状態に目を剥く。

滝壺のちょうど真ん中に先程泳いでたと思われる魚が顔を出している。

その顔は魚のそれとは違かった。

正真正銘人間の顔だった。その魚?は友達の方に顔を向け口をパクパクしている。

それに応じて友達も口をパクパクしている。

なんの冗談かと思い、次第にその気持ちは恐怖から怒りに変わってきて、近くにあった石を思い切り川に投げ込み、パクパクしている友達の頬に思い切り張り手を食らわす。

さうして、急ぎ足で車に戻り荷物を全部閉まって、

家に帰った。

家に帰る車のなかで自分が何をしたのかは、全くといっていいほど覚えていない。

後日その友達にも話を聞いたのだけど

「俺お前と釣りなんかいったっけ?」とのこと。

あの日1日まるごとの記憶は友達のなかで消えていた。

そんな話です。

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友達の記憶が消えているのか?それとも自分の記憶だけおかしいのか?はたまた一緒にいた友達は友達出ない何かだったのか・・・・。

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