中編5
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○○の看板

〈注意事項:音揺れなしです。文字のみ〉

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 友達と一緒にドライブへいった夏の昼のことでした。

 友達のAは運転をBは助手席、CとDとぼくは後ろに乗りました。

 特に行く宛てがなかったので、遠いですがAの実家がある家に遊びに行こうという話になり車で走らせました。

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 しばらくして山の中に入っていくのが見えました。

 そこはうっすらとしており人は誰一人見かけないのですが路面はきちんとしており綺麗でした。ただ、きれいな道なのに誰もいないというのはぼくの印象としては不気味でした。

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 山のふもとに乗りかかろうとしたとき、一つの看板が見えました。

「この先、危険。○○がでる」

 と書かれていたんです。

 ぼくはその○○というのがなんなのか知りたくて友達にそのまま走るように言いました。

 というよりも友達Aは無言でそのまま走り続けていました。

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 山を越えたあたり、急にスピードを上げたんです。

 ぼくはちょうどDとCで話していたので、AとBのことは気づいていなかったです。

 このときBは寝ていたため、仕事で疲れていたのだと思いそっとしておいたのです。Bはキレると手が付けられなくなるので。

「ど、どうしたんだよ!? 何か見えたのか?」

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 ぼくがひょいと顔を上げると、そこにいるはずのAの姿がないのです。

「え」

 ぼくは呆気取られました。真っ白いになったのかもしれません。

 Aは消えていたのに、スピードは加速しており、ハンドルも左右に動くもまっすぐと進んでいました。

 目の前に徐々に交差点が見え始めていました。

 そこに車の出入りが見え、ぼくは慌ててAがいた席に移動して、ブレーキを押しました。

 が、ブレーキはピクとも動かず、ただアクセルが徐々に踏まれていきます。

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 ぼくは必死に抵抗しました。

 しかし、なにかがそこにいないなにかがアクセルを強く踏み、ブレーキを踏むぼくの足を遮るかのように止めている何かの力がありました。

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 交差点に入るなり、車は建物の壁に激突し、止まりました。

 奇跡的にも車の損傷が激しいものの、ぼくと他の3人も無事でした。

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 Aを除いて。

 Aは消えたまま、いません。

 Bは寝ていたから知らないが、乗った記憶はあると言っていました。

 CとDもぼくが運転席に移動するまで気づかなかったようです。

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 じゃあ、Aはどこに行ったのだろうか。

 それに、あれほどまでアクセルを強く引いていたのは誰だったのか不明です。

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 結局のところ、Aなしで実家に行くのは困難を極めました。

 場所はぼくとDが知っていたのですが、Bが運転する形でぼくは助手席で待機することで運転していったのですが、道がまったくわからなず焦るとともにBがキレそうで怖かったのを覚えています。

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 正常の道を渡っていたはずが急に細道になり用水路に落ちたのは笑い出すCとDとは別に道案内をしたぼくにBがキレるというのは笑い話ではすまなかったです。

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 でも幸いに用水路と思われていた道は地元に人の手によってつくられた小川のようなものだったのを知り、地元の人の道案内でなんらく脱出することができました。

 1時間ぐらいしてからか、少し大きめのガソリンスタンドにいました。

 BとDが休憩中、Cとぼくとで周りを調べていました。

 途中で大きな神社に入った際に、Bが気分が悪くなったと言い早々神社を離れ、このガソリンスタンドまで来ていたのです。

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 あの神社の名前は覚えはないのですが、地図で見る限り大きな神社でU字に通り抜けることはできる構造となっていました。

 ただ、神社よりもさらに一歩奥の道がAの実家がある道につながっていたのは知りました。

 その道へ行くには少し大回りしていく必要があるらしく、さすがに疲れ切ったBではもう運転することができなくなっていました。

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 かわりに僕が運転していくことになり、Aの実家に着いたころには夕焼けが近い時間となっていました。

 実家は古臭く古民家のような家だが、田舎のようなどこか懐かしい感じがしてぼくは好きでした。こう言葉で言い表せないような不思議な感覚がとにかくぼくは魅力で好きでした。

 実家に着くとAがいました。

 Aは「おせぇーぞ!」とかいいなり、Bがキレて行動起こそうとするのを必死で止めるのは苦労しました。

 Aは何事ないように涼し気な表情で「おつかれさん」とか、言いながらぼくらを実家に入れてくれました。

 ぼくらが探検したこととAが探検したこととそれぞれ違うことだとAは言っていました。

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 以下、Aからの話。

「俺は運転している夢を見たんだ。お前らを乗せて実家へ行こうよ」

 と話ししていたのは記憶にあった。

 けど、なんだか体がフワフワしていておかしいなと思っていたらしい。

 しばらく走らせていると妙な看板を見かけ、「ああ、これはヤバい」と悟ったらしいが、すでに遅しで引き返す道がなく、そのまま走らせることにしたそうです。

 すると、周りが徐々に霧のように消えていき、走らせる車より後ろからもう一台の車が来て、「なんだよ」と振り向くと、黒く崩れ落ち、4人の骸骨姿が楽しそうに乗っていたのを見え、恐怖としたそうだ。

 仲間に誘われそうな気がして、怖くなって、スピードを上げて逃げようとしたそうだ。

 けど、なぜかわからないが急にブレーキを踏まれるような感じがしてさらに焦りが爆発したそうだ。

 そのとき、ぼくはブレーキを踏むときと同じ状態だったらしい。

「なんだよこれは!? おい、みんな起きろよ!!」

 ぼく(E)とB、C、Dは寝たままで動かない。

 もう焦る気持ちでいっぱいだったそうだ。

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 突然だった――目が覚めたのだ。

 Aは実家にいたそうだ。

 車に乗る感覚と逃げる感覚はあった。けど、目が覚めた先は実家だった。

 祖父に話しかけられ、寝ていたのだと伝えられ、「ああ、夢だったんだな」と知ったそうだ。

 友達から連絡があって、実家へ行くよという連絡があったそうだ。

 ちなみにぼくらは誰一人Aの実家へ連絡していない。電話番号も知らないのだから。

 それにサプライズの感じで向かっていたから、あえてAも連絡していなかったらしいのだ。

 それを聞いて、ぼくの身に起きたことを明かすと「不思議だよな」とAも言っていた。

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 その日、何事もなくAの実家で過ごし、ぼくらは帰路についた。

 途中、迷い寄り道した神社へ向かったが、そこは人がにぎわう渋滞が起きており、よらなければよかったと思った。

 Bは絶好調でいたが、あのときなぜ、気分が悪くなったのかBも覚えていないのだとか。

 これで体験した話は終わりです。

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