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中編6
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転校生〜二〜

来夢が僕のクラスに転校してから一週間が経っていた。

だが、未だに休み時間ともなれば、来夢の周りには色めきだった女子達が押し寄せてくる。

まぁこの容姿じゃ無理もないけど。

来夢が転校して来た日、先生から告げられたまさかの隣席。

それから一週間。

僕にとっては地獄とも言える日々だった。

表立った事はせず、付かず離れず、平凡な日々を過ごしたい僕にとっては、どちらかと言えば迷惑な話しだった。

だが、幾ら僕が冷たい人間とは言え、転校して来て間もない生徒に冷たくする訳にはいかない。

転校初日から、それはもう彼を気遣い、あれよこれよと話しかけて見た。

そんな事を一週間続けて、僕は気付いた事がある。

恐らく彼は人と接する事を得意としない。

いや、むしろ嫌っていると言えると思う。

休み時間の度に来夢の元へと訪れる女子達。

矢継ぎ早に質問を浴びせ、目をキラキラさせながらその答えを待つ。

だが、来夢はそんな女子達にいつも素っ気ない態度を見せ、まともに質問に答えているのを僕は見た事が無い。

まぁ、毎日毎日、質問責めにされればそうなってしまうのも無理は無い。

それでも懲りずに来夢の元へとやって来る女子達。

君達のメンタルに乾杯!!

と、最初は僕もそんな風に考えていたのだが、どうやら違うらしい。

毎日懲りずに現れる女子達に素っ気ない態度を取るのは分かる。

だがそれは、隣席である僕に対しても同じなのだ。

今勉強中のページを教える時、今までの授業でとって来たノ―トを見せて上げる時。

彼は僕の親切心に対しても、女子達と同じ態度を取って見せる。

来夢が転校して来て三日。

来夢自身が人との関わりを嫌っていると感じ始めた僕は、その日から来夢に関わるのを少しずつ止めていった。

来夢に対して、愛想が尽きたとかそう言う事じゃない。

彼の気持ちが僕には良く理解出来たからだ。

彼も僕と同じ様に、付かず離れずを望んでいるのだ。

そして、もう一つ僕が気付いた事。

気付いたと言うより、気になる事がある。

それは、転校して来てから一度も外された事の無い左目の眼帯。

最初は目に傷を負ったか、物貰いか程度に考えていたが、それにしては長すぎる。

周りのクラスメイト達はその容姿に惑わされ、眼帯の事は気にかけていない様だった。

まぁ、気になるとは言え、それをわざわざ確認する程、興味も無かった僕は、来夢に対して眼帯の事は触れずにいた。

そして丁度一週間が経ったその日。

「カイ?」

?!Σ(゜Д゜)

余りに突然の事に、椅子から腰を上げて驚く僕。

転校から一週間。

僕から話しかける事はあっても、来夢から話しかけてくる事は無かった。

ましてや名前を呼ばれるとは思ってもいなかった僕。

驚愕の余り、目を真ん丸にして来夢を見た。

「お前…良いヤツだな…。」

?!Σ(゜Д゜)

またまた驚愕する僕。

間違い無く、この時の僕はとんでも無い顔をしていたと思う。

それほどに来夢の言葉に衝撃を受けた。

だが、そんな僕を余所に来夢は話を続ける。

「カイは、僕が余り皆と関わりを持たない様にしているのを察して僕から距離を取ったんだろ?

ありがとう。

お前、良いヤツだな。」

来夢はそう言うと、少し笑みを浮かべた。

僕は、話し掛けられた事が無かった来夢から話し掛けられた事と、その来夢から不意に誉められた事に何となく恥ずかしさを感じ、ぎくしゃくした返事をする。

「な、なんや急に…。

べ、別にええヤツちゃ…」

「もう二度と僕に関わらないで欲しい。」

?!Σ(゜Д゜)

新手の飴と鞭か?!

僕の話を遮り来夢が放った言葉…。

良いヤツと言っておきながら、二度と関わるな?

僕には来夢が理解出来ない。

すぐにどういう事か確認しようとしたが、来夢は既に前を向いており、話し掛けるタイミングを逃してしまった。

だが、関わるなと言われれば、関わら無ければ良いだけの話し。

僕はその日から来夢との関わりを一切絶った。

「よし!

ほなお前ら、今日から頑張って山登るぞ!山!」

来夢の転校から十日。

僕の学校では毎年この時期に全校で登山合宿を行っている。

それも二泊三日の本格的なヤツだ。

何の理由で行われているのかは不明だが、有無をも言わさず全員参加のかなり迷惑な催し物だ。

現地に着くと、ただ黙々と山を登り、宿泊予定の山中にあるペンションを目指す。

何とか初日を乗り切り、その日の夜中。

僕は寝付きが悪い為、スヤスヤと寝息を立てるクラスメイトに紛れ、布団の中で暫く横になっていたが、どうしても眠る事が出来ずにペンションの周りを散歩する事にした。

玄関の扉を開け、一歩外へ踏み出すと目の前に広がる漆黒の闇。

山中に建てられたペンションの為、街中の様に街灯の灯りも無い。

そんな闇の中を、足元を確認しながらゆっくりと散歩する僕。

たまに吹き抜けていく風が心地よい。

そうして、ペンションの周りを歩き続け、丁度ペンションの真裏に辿り着いた時、前方に何かの気配を感じた。

僕の少し先。

間違い無くそこに何かがいるのだが、この闇のせいでそれが何なのか確認出来ない。

僕は気配を感じ、一瞬足を止めたが、再びゆっくりと歩き出し、気配の元を探した。

そしてそこにソレはいた。

「来夢??」

真っ暗な闇の中、石段に腰掛け真っ直ぐ前を見つめる来夢の姿。

来夢は僕の声に一瞬こちらをチラリと見たが直ぐに前を向き直る。

僕を見た来夢の青い目が、光を帯びた様に輝いたのが印象的だった。

僕は来夢の言葉を忘れてはいない。

彼は二度と関わるな。と言った。

だが、僕は図々しくも彼の横に腰を下ろした。

今思えば、僕はこの来夢と言う男性に何処か惹かれていたんだと思う。

僕が隣に腰を下ろすと、来夢が明らかに不愉快な表情を見せた。

「お前、日本語が理解出来ないのか?

それとも、理解する知能が無いのか?」

しれっと僕の心を傷付けてくる来夢の言葉。

「う〜ん…。

知能が低いのは認める!(笑)」

僕は満面の笑みで来夢を見たが、来夢は僕と目を合わせようともしない。

そして沈黙…。

特に話す事も無かった僕は何気なく来夢の視線を追う。

両脇を木々に覆われた一本道。

街灯も無く、生い茂る木々に遮られ月明かりも届かないその道。

朧気にしか見えないその道は、何処まで伸びているかも分からない。

来夢はそんな道を、ただじっと眺めていた。

僕も来夢と同じ様に、伸びているであろう道の先を見る。

?!

何かが見える!

僕は自分の目に映ったモノに意識を集中する。

黒く長い髪に真っ白なワンピースを着た女性。

そこまで見えた時、僕はその女性から視線を外す。

今の女の人…やんな?

え?けどこの暗闇で、あんだけ離れた人が見えるか?

?!

いやいや!無い無い!

髪の毛まで見えるとか無いやろ?!

僕は自問自答を繰り返す。

それほどに、今僕の身に起きている事は不可解過ぎる。

いや、やっぱりおかしいやろ…。

暗闇もそうやけど、あれ…かなり遠いで??

五百メ―トルとかあるんちゃう?

そんなん昼間でも見えんやろ?!

僕は更に自問自答を続け、単なる見間違いと判断し、もう一度さっきの場所に視線を戻した。

「ひっ!!」

その瞬間、僕は情けない悲鳴を上げた。

見間違いだと思い、視線を戻した先。

やはりそこに女性はいた。

それも、両目と口元から血を流し、何故か笑顔でゆっくりと本当にゆっくりと此方へ向かって来る。

直ぐに女性から目を離したかったが、恐怖で視線を外す事も出来ない。

そんな時、不意に横から視線を感じた。

その視線を感じた事により、緊張に緊張が重なり、上手くは言えないが、僕は女性から視線を外し横を見る事が出来た。

そこには驚きの表情を見せる来夢の顔。

その額からは汗が流れていた。

「か…カイ?

お前…アレが見えるのか?」

来夢の問いかけに、僕は無言でブンブンと首を縦に振る。

「そっか…。

見えるんだな…。」

この時、来夢は凄く悲しそうな表情を僕に見せた。

「カイ?

実は…僕には…。」

Concrete
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月舟様。

いや、特に何もないですよ?(笑)
な〜んとなく言ってみたかっただけだと思います(笑)

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むぅ様。

早い!締め切り早すぎる!
鬼の編集者みたいなってますよ?!Σ(゜Д゜)

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はと様。

すいません!
わたくしの事は忘れて下さい!(笑)

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セレ―ノ様。

ピッ◯ロ大魔王は今、炊飯器に閉じ込められてますので、もう少々お待ち下さいm(__)m

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珍味様。

カイ君のメンタルは半端無いです!(笑)

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