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中編3
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いじめ

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小学校の頃、私はいじめられていました。

理由は『おばけが見えるから』

幼い頃から霊が見えてしまうことに対して否定も

肯定もされて来なかった私にとって霊が見えてしまうのは日常の出来事でした。

だから学校にいる“人成らざるもの”を日常で口にしてしまえば普通ではいられなくなってしまうのです。

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ー放課後

『稲荷ちゃん、理科室で先生が呼んでるよ』

クラスメイトの女の子に言われた一言を真に受け私は理科室に向かいました。しかし当然それは嘘。

理科室の中に入っても先生はいません。

気付くと理科室の出入り口にはいじめっこが立っていて『一生理科室に閉じこもってろおばけ女!!』

と、叫ばれました。

勢いよく扉は閉まり中から開けようとしましたが

開きません。そう、私は閉じ込められてしまったのです。廊下では私を閉じ込めた子達の笑う声がしました。

どうあがいても開かない扉に私は諦め理科室の角に腰をおろしました。

次第に暗くなってくる理科室は昼間の活気溢れる表情とは正反対にとても寂しくただただ私の不安な心を煽るだけでした。

外はすっかり暗くなり私は助けを求める意味でも

理科室の明かりを点けました。

しかし明るくなっても人の気配すらせずただただ

涙をこぼすばかりでした。

すると…

突然理科準備室の扉が空いたのです。

助かった…と思いました。

理科準備室から出てきたのは見たこともない白髪頭の白衣を着たおじさんでした。

『いやいや、準備をしていたら遅くなってしまったよ。おや、まだ残っていたんだね』

その優しい微笑みに私は知らない人なのに安堵しました。

それからその男性に私はいじめられていて理科室に閉じ込められてしまったことを話しました。

毎日毎日上履きを隠されたり突き飛ばされたり悪口を言われたり無視をされたり…学校に来るのが嫌だという話もしました。

その男性は嫌な顔ひとつせず私の話や愚痴を聞いてくれました。

そして男性は突然立ち上がり私にこう言いました。

『もう直ぐお母さんが迎えに来るよ』

気付くと真っ暗な理科室で眠ってしまっていました。上半身を起こした所で母親が理科室に飛び込んで力一杯抱き締めてくれました。

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ー後日

私を理科室に閉じ込めた子達が家に親と一緒に謝りに来ました。

そして私はずっとあの白髪頭の白衣を着たおじさんが気になり担任の先生に話をしてみました。

『そんな先生はこの学校にはいないな。やっぱり夢でも見たんじゃないのか?』

担任の先生が言った後近くで話を聞いていたその小学校出身の先生が口を開きました。

『私が子供の頃の話になるけど白髪頭で白衣を着た先生ならいたけど。とっても子供好きのおもしろい先生でね、私が先生になりたいなって思ったのもその先生の影響なの。でも私が子供の頃の話だから稲荷ちゃんが知っているわけないものね』

残念ながら写真などは見せてもらえず事実確認は出来ませんでしたがきっと私はその先生だったんだと思います。

最後に白髪頭の白衣を着たおじちゃん先生が話してくれた中でもずっと今まで引っ掛かっていた話がありました。

『悪いことをするときっと報いを受ける』

『“むくい”ってなんですか?』

『罰だよ?今すぐじゃなくても大人になってからもその罰は一生付きまとう。だから人には優しく親切な心を持ってね。稲荷ちゃんならきっと痛みを知っているから優しく出来るね』

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2007年8月小学校の頃の同級生に偶然近所で会いました。

『ねぇ、Sくん(当時私をいじめていた子のひとり)下半身不随になっちゃったの知ってる?バイクの事故だって。今は車椅子の生活らしいよ?』

その時よぎったのは白衣を着たおじちゃん先生の

話でした。

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