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大学に入りその日はサークルの先輩を含め飲み会をしていました。
お酒も入りほろ酔いの中気持ちが大きくなった先輩が言い出したのは『心霊スポットに行きたい』でした。先輩が言った事は絶対なサークルという事と私が霊感が強いという事が酔っ払った友達によってバラされ心霊スポットに行かざるを得ない状況になってしまいました。
向かったのは私の地元の心霊スポットでした。
その場所は私達地元民でもあまり近寄らない鬱蒼とした林…森でした。
かつてその場所ではバラバラ遺体が放置された現場でした。当時私は小学生でしたが沢山の警察の人、報道関係者が来ていてただ事ではないなと感じていました。
向かったのも21時過ぎ。
辺りにはお店などもなく街灯もないため正に真っ暗でした。
事前にコンビニで調達した簡易の懐中電灯を片手に森の中を進んでいきます。
するとある大きな木の根っこの所に枯れた花が横たわっていました。
『ここで事件があったんだな』
先輩は楽しそうに笑っていました。
その時私が感じたのは低い男性が唸るような声。
そんなに近くではありませんでしたが確かに感じていました。
それから私達は辺りを散策しましたが結局何もなく帰る事になりました。
『つまんなかったな』
再びあの“現場”を通った時でした。
『なんか聞こえない?』
友達のひとりが言いました。
先輩は首を横に振りましたが私はしっかりとその声が聞こえました。
確かに…
『帰りたい』と。
そして続いて先輩が叫ぶのです。
『うぁああああぁぁああ』
振り替えるとそこには左足、右腕のない男性が立っていたのです。
私達もしっかりとその姿を目撃しました。
どんな顔だったかどんな表情だったか今ではもう思い出せないですがただただ不気味だったとしか言いようがありませんでした。
走って私達は森を抜けました。
ようやく明かりが見えてきて私達は走るのを辞め、後ろを振り向きました。
『ヒッ!!!』
遠く遠く…真っ暗闇の中に左に傾いた男がこちらを
見ていたのです。
私達は直ぐに車に戻りました。
それから特に何もありませんでしたが恐怖だけが残りました。
地元に戻るたびにあの森の近くを通るたびにあの日の事を思い出してしまいます。
それから最後にひとつ…1回だけ真夜中にあの森の前を通った事があります。
男性二人、女性二人が森から叫び声を上げ出てくる所を目撃したことがあります。
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もしこれを読んでいるあなたの…そうあなたの近くに『近寄ってはいけない森』があったのなら素直にその忠告を聞き入れたほうがいいかも…しれません。
作者稲荷