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これは、私が未だ若い、独身の頃に体験した話しです。
(フェイクなしの完全実話です。)
・・・
私の姉は離婚をし、実家のすぐ近くのアパートの一室を借り、当時2歳に満たない甥っ子と住んで居ました。
住んでいたと言っても実家が拠点で、偶にそのアパートに行ったりするくらいでした。
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古いアパートで、間取りはと言えば、玄関から部屋を正面に見て、玄関すぐ左側にキッチン、右側はトイレ。
玄関の真正面に、続けて6畳の和室が二つ。
手前の部屋は窓もなく、奥の部屋は、玄関から真っ直ぐ突き当たる一面が窓になっていました。
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なので、奥の部屋は雨降りの日でも明るく、手前の部屋の暗さを気にしてか、姉は両方の部屋の仕切りになっていた襖を取り外し、たまにアパートに帰って過ごす時も広々と使っていた様です。
と、言う物の…
私がそのアパートに行ったのは2回だけで、姉が引越した時の荷物運びと、もう1回は…
前置きが長くなってしまいましたが、これからお話しするのは、その2回目にアパートに行った時の話です。
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その次の日は、姉と甥っ子と姉の友人夫妻と、C県にある海水浴場に行く予定で、朝も早くに出発する為、私は姉のアパートに泊まりに行きました。
運転手は姉で、姉の友人夫妻は自分達の車で行く為、都内の環状線で待ち合わせをしていました。
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その晩は、次の日の海水浴が楽しみで、甥っ子が眠った後も姉と2人、並べて敷いたお布団の中に入ってからも、取り止めのない話しが尽きず、次の朝も早いと言う事も忘れて、いつまでも話しをしていました。
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そして、ふと時計を見ると、もう朝の4時近く。
姉は『ちょっと!もうこんな時間だ!2時間くらいしか眠れないじゃない!』と、慌てて肌掛け布団を体に掛けて寝る体制に。
『随分長く話ししてたんだね。運転、大丈夫?』と、聞くと『事故りたくないからもう寝る。話しかけないでね。』と、仰向けに目を瞑りながら私に言うので
『分かった。早く寝た方が良いよ。』と言うと、『もう早く寝ても2時間しか寝れないけどね(笑)おやすみー』と、言って間も無く姉の寝息が聞こえて来た。
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余りの寝付きの良さに驚きながらも、もう数時間したら海に着いて、思う存分泳ぎまくる気でいた私も、早く寝ないとと瞼を閉じて眠る準備をするのですが、いくら頑張っても眠りに付けない。
そうこうしているうちに時間は過ぎて行き、もう1時間も眠れない時間になっていました。
外は既に明るくなっていました。
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眠れないまま体の向きを変えようとした時、体が急に動かなくなりました。
『えっ?何これ?』と、体に力を入れても全く動けない。
そう…
金縛りです。
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久々の金縛りに、焦って解こうとするのですが、指一本すら動かす事が出来ず、左隣りに寝ている姉が気付いてくれる事を祈って居ましたが、スースーと寝息を立てて爆睡している姉が起きる気配はゼロ。
体が動かせる様になるまで、仕方ない…
待とう。
そう諦めた時…
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小さい手が、私の左手の中指の先を握って来ました。
『甥っ子が起きた?』
(良かったぁ…
甥っ子が起きれば姉も起きるかもしれない。)
けれどそう思い、安心したのも束の間…
その小さな手はニギニギと私の指を握りながら、左手の中指の先端から指の根元の方へと徐々に移動して来る。
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私はと言うと、金縛りで仰向け姿勢。目を瞑っている筈なのに、見えてしまったんです。
私の左隣りに寝ている姉と、その向こう側に寝ている甥っ子の、僅かなその隙間に…
俯せでうずくまる様に
真っ白な産着を着た赤ちゃんを…
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―――――――
キャッキャ…
キャハハハ…
キャーーーッハハハ…
――――――――――
赤ちゃんの声で、その白いモノは笑っていました。
その白いモノは、姉と甥っ子の間に蹲りながら、姉の寝ている枕の後ろをぐるんと回って、私の左手の中指を握っていたのです。
異様な腕の長さで…
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そして、その頭がゆっくりと、少しずつ上がって行きます。
(顔を見たらいけない!!)
金縛りにかかり、目を瞑っているのに何故かその姿が鮮明に見えるのです。
―――――――
キャハハハ…
―――――――
そして、フッと意識が途絶えました。
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「夢?現実?」
目が覚めた私は、起こった出来事を頭の中で反芻していたのですが…。
起き上がろうとしても、未だ身体が動かない事に気付きました。
頭の中はパニック。
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すると、甥っ子が寝ている奥の半間分の襖が静かに開くと、そこから何かが勢いよく飛び出して来ました。
そして…
―――――――
キャハハハハー
―――――――
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狂ったような笑い声をあげて飛び回る顔だけの赤ちゃん。
私と姉と甥っ子の上を、グルグルと円を描く様に飛び回っていました。
それを見た私は、あまりの恐怖に気絶してしまったのか…
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次に目を覚ました時に確認すると、最後に時計を見てから、僅か10分ほどしか経っていない。
それからは、もう眠れませんでした。
姉が起きてから、その話をしましたが、そんなものは見たことがないと。
変な事を言うなと怒っていましたが…
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そのアパートに行ったのは、2回だけと初めに話したのは…。
大きな広い窓がある為とても明るい部屋だったのですが、何故か私には暗く感じ、居心地が悪いと言いますか、口では説明出来ない“嫌な感じ”がしたからなのです。
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そんな自己防衛の“第六感”。
皆様も大切にしてください。
…
でも
…
あれは、一対なんだったのでしょうね…。
作者鏡水花
2014年8月に投稿しました
キャハハハ…です。
以前の投稿時には端折っておりました部分を、この度は体験に忠実に改正しております。
フェイクなしの、完全実話です。
このアパートは、もう20年ほど前に白い綺麗なマンションに建て替えられております。
あの赤ちゃんが何か?
あの場所で何があったのか?
全く分かりませんが、強烈な体験になりました(;∀;)⤵
お子さんが身近にいる方や子育てを経験なさった事のある方はお分かり頂けるかと思いますが、生後1年に満たない赤ちゃんの、あの少し甲高い笑い声…。
時々思い出すと、ゾワッとします(T_T)