中編7
  • 表示切替
  • 使い方

ななしさん。(0)

これからお話する内容についてのご注意事項です。

ご不快な思いをさせてしまう場合もあるのでちょっとネタバレにはなってしまいますが、これからお話の中で少し女性同士の恋愛感情(?)のようなものが出てきます。

きっと中にはそういう類が苦手な方もいらっしゃるかと思うので、苦手な方は戻って下さい。

ご覧頂ける方は3回ほどタップ、クリック等をして先にすすんでください。

因みに怖いというお話でもないので、そこもお読み頂ける場合、ご了承ください。

それでは、カウントダウンです。

【3】

nextpage

【2】

nextpage

【1】

nextpage

・・・・・

私には姉が一人いました。双子の姉です。ただ、双子とは言っても二卵性双生児のため、顔は全く似ても似つかない状態です。色も、何もかも。

色と強調していったのは姉がアルビノだからです。私は普通に色素があります。

本当にただ普通。普通過ぎて、私は何もない。顔も姉とは違います。

姉は通り過ぎる人みんなを虜にしてしまう程の美人でした。

すっと通った鼻筋、大きい目。いつもサラサラと風にそよぐ綺麗なロングの髪。小さい顔。とても長い睫毛。そして何よりも透き通るほど白い肌、白い髪、赤い綺麗な瞳。虜にならない人などいません。

私もその虜の一人でした。

separator

「今日は暑いねぇ・・・。」姉はアイスキャンディーを口に咥えながら私にもアイスキャンディーを渡してくれた。

「31度だって、今日。」そう言って私は姉からアイスキャンディーを受け取って、口に入れた。事前に袋を開けてくれる。姉はいつも気が利いて優しい。私には勿体ないくらい優しい姉だ。

「そりゃ道理で暑いわけだ。ヤになっちゃうね。この暑さ。」そう言って私に凭れ掛かる姉。余計暑くなると思いながらも内心は脈が速くなるのを感じていた。

姉は私の好意に気付いている。家族としてではなく、一人の人間、恋愛対象として見られていることに。それなのに、いつもこうして引っ付いてくるのだ。

姉は基本人懐っこい。いろんな友達がいる。異性は大体姉が恋愛対象で好きで近づいてくる者ばかりだった。だが、姉はいつも告白されても断っているので、まだ誰とも付き合った事等ないのだ。こんなにも綺麗で異性からもとても好かれるのに。

「どした?なんかついている?」姉はそう言って私の顔を不思議そうにのぞき込んできた。

「ん、なんでもないよ。」私はそう言って、アイスがとけて落ちてしまう前に食べた。

separator

私は姉と共同部屋だ。よって、私は姉が寝ると静かに起きて、姉にキスをする。

それ以上は望めるはずがない。だが、私にも異性が姉を好きになる様に私もとても姉を愛している。それがどうしても溢れてしまって行動に出てしまう。

とても悪いことをしている感覚はある。なんたって血を分けた姉妹だ。普通なら許されない事。だが、私はどうしても他の奴に姉の初めてのキスを渡すのが許せないのだ。

姉に近づく者全員死んでしまえばいい、父も、母も、みんなみんな。私と姉だけの世界だったらどんなに良かっただろうか。

ああ、とても愛しい、私の姉。私は、姉以外要らない。そう思いながら、姉にキスをし、私は自分のベットに戻った。

separator

「ねぇ、ちょっと話があるんだけど、いい?」姉は真剣な表情で私に話掛けてきた。

「うん。いいけど、何?」

「もし、私が死んだらどうする?」

私は姉の唐突な質問に驚いた。何を言っているんだろうか、と少し怖くなった。

「なんでそんな事突然聞いてくるの?死んだら悲しいに決まってるでしょ?何かあったの?」

そう言って私は姉に何故そのような事を聞いてくるのか問いただしてみた。

「特に理由はないよ。ただ、聞いてみただけ。」薄く微笑み私にそう言った。姉がそういう顔をするときは少なからず嘘をついているときだった。

「ねぇ、本当の事言って?どうしたの?悩みがあるなら聞くよ。」

「悩みなんてないよ。もう、悩みが何かすらわからない。」そう言ってにこりと笑う姉。私が話そうと口を開けるのを塞ぐ様すぐさま話し続ける。

「私が死んだら、あなたと一つになれるよ。それでも悲しい?」私は姉の言葉に一瞬心臓が凍り付くような感覚に襲われた。だが、その言葉を聞いた瞬間、嬉しくもなった。

私と姉が一つに?なんという素敵な事だろう。今まで、真逆の二人、一つになったら・・・なんて思っていたが、口先では「悲しいに決まってる。姉さんは姉さん。私は私よ」と言っていた。

「そう、そっか。わかった。」そう言って姉はこの話をやめた。

nextpage

朝私はいつもより早く眼が覚めた。なんだかいやな夢を見たのだ。

姉が、私から離れていく夢を見たからだ。それも、『一緒になれるよ。私もあなたの事好きだよ。』と言いながら、遠くに去っていく夢だ。

私は台所に向かって水を飲もうとした。自分の寝ている二段ベットの上からあまり音を立てず、ゆっくり降りる。いつも下の段には姉が寝ている。はずだった。

いつもいるそこに姉の姿はない。

私は先ほど見た夢もありとても不安になった。

自分の部屋を出てある物音がしている事に気付いた。

何やらギリギリを音がしている。何の音だろうか、と音がする方に向かった。

私は初めて、人がぶら下がる、というものを見てしまった。姉だった。

最愛の姉が鴨居にぶら下がっている。少し揺れている為、ギリギリと音がしていたのだろう。

私は声が出なかった。あまりの恐怖に、姉を失ったという感情に。その場で腰を抜かし数分白く揺れる姉を少し綺麗とも思った。

姉は決して汚れる事なくこの世を立ち去る事が出来た。完璧な存在だ。やはり姉は素晴らしい、きっと天使になれた、と。

ただ、このままではいけない、と冷静になったときには急いで両親を起こし、姉が死んでいる旨を伝え、鴨居まで連れてきた。

だが、両親は姉の事を全く知らない様だった。私は一生懸命説明するも、「貴女は一人っ子よ?どうしたの、夢でも見ているの?」という信じられない言葉だった。

夢?そんなはずはない、姉は生きていた、私と一緒に居た。だが、自分のお腹を痛めた子を母が忘れるだろうか、私はとても混乱した。

「もう寝なさい、こんな夜中に起こさないで頂戴。夢は夢なんだから。もう子供じゃないんだし。それじゃあね。」そう言って両親は自分の部屋へ戻っていた。

私も自分の部屋へ戻っていた。落ち着かない頭で一生懸命に考えても私はずっと混乱していた。落ち着けるはずがない、最愛の人を亡くし、しかも元々いなかったような状態、ぶら下がっていた姉の死体も忽然と消えている。私は何が何だかわからなかった。

nextpage

私は眠れずそのまま朝ご飯も食べず制服に着替え学校に向かった。

そこで姉の話をしても誰も覚えていない。

なんで?あれだけ好きだ好きだと告白していた異性も全く覚えていない。

姉の存在を覚えているのは私だけ。そうして一日の学校が終わり、私はお風呂に入り、味のしない夕飯を食べ、寝る身支度、明日の学校の準備をして眠りについた。

そこで私はまた夢を見た。

separator

「ごめんね。突然いなくなって。でももう一緒になれたよ。」そう言ってにこりと笑った。と思う。表情がわからない。姉はなぜか狐のお面をしていた。

「なんで?なんでいなくなったの?」私がそう言っても姉はその問いに対しての返答はせず、そのまま再度遠くへ行った。

「姉さん・・・。」私はふと目が覚め、目から涙がこぼれている事に気付いた。誰も姉の存在を覚えていない。とても悲しいのと嬉しさが同時に来てとても気持ち悪い感情だった。

そうして私は姉と現実世界では会えないが、夢の中では逢える。

いや、会えるというより、私は時々姉の視点で夢を見ている、というべきだろうか。姉の声が頭に響いてくる、とても心地よい声。

だが、いつも見える景色は別々の場所だった。学校であったり、不思議な小屋。

姉が見ている景色だと確信できるのは、見える手が、姉の手なので姉だと私は思っている。

本当に一つになれたのだ。そうして私は夢で逢える私だけの姉をとてもとても愛おしく思いながらいつも眠りにつく。このままずっと夢の世界だったらいいのに、と思いながら・・・。

separator

「ご苦労様。今日はどうだった?」そう言って翁のお面をつけながら話しかける小さな子供。

「まぁ、それなりに面白い話を聞けたよ。」と狐面の女は返事をする。

「はは、毎度毎度、すぐに実行すればいいのに何でそんなに人間の話を聞くかね。」と子供は少し呆れたように言った。

「面白いですよ。人間の話は。それにいい話があれば私はそれを試して人間になれるかやってみたいですしね。とても気持ちよさそう。」くすくすと笑いながら狐面をした女は返した。

「流石ヘドニスト。本当、気持ち悪いね。まぁ、君がそれでいいならいいんだけどね。こちらとしては、君の罪は一生償えるものでもないし、働き手が多い方が助かるしね。」

「ええ、わかっています。私は一生老いない、死なない身体ですからね。人魚の肉を食べ、不老不死を手に入れたは良いけど後悔しているのでもう一度人間に戻りたいですよ。」そう言って狐面の女はにこりと笑った。

「おいおい、不老不死を手に入れてもなお人間に戻りたいか。不思議な奴だ君は。」翁面の子供は呆れたように言った。

「戻りたいですよ。いままでいろんな方法を試しても死ねないのはやっぱりつらいですからね。いつか、戻れるなら死にたいのです。死は人間に与えられた最高の幸せ、快楽ですから。それを味わいたいのです。」

「ほんと君は変わっているね。そこが私は好きで連れてきたんだけどね。それじゃあ。戻れるように頑張ってね。時間は無限にあるのだから、ね。」そう言って手をひらひらと振りながら去っていった子供を見送った。

「ええ、そうですね。時間は無限です。」そう言って女は手を振り返し、手元にある本を開いた。

Normal
コメント怖い
11
10
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

@鏡水花 様

コメントと怖ポチありがとうございます。
こちらでお礼申し上げる事、お許しください。

文章が綺麗とは…とてもくすぐったい言葉です…!
鏡水花様のご理解頂いてる事で全く問題ないです!
もっと分かり易い文を作れるよう心掛けます…!

返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

???
難しいお話でした。
結局、お姉さんはなんだったんですかね?
愛情まではともかく綺麗な物やカッコいい物には男女関係無く憧れるし好きになるものだと思います。
妹さんがお姉さんの影響から抜け出せる事を祈ります。

返信

@むぅ 様

コメントと怖ポチありがとうございます!
投稿後にちょいちょい直すという私のダメな点…
本当に申し訳ないです…!

因みに妹は今後どうするか考えておりませんでした…!!
ちょっと可哀想なので出すように検討します!

返信
表示
ネタバレ注意
返信