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短編2
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イトスギ駅

これは多分、夢の話です。

と言うのは、あまりにリアルだったので、夢か現実か分からないのです。

私は、電車に乗っていました。

その電車には、私とお婆さんしか乗っていませんでした。

そして、私とお婆さんは、話をしていました。

何の話をしていたのかは、覚えていません。

ですが、そのお婆さんがやけに優しかったのを覚えています。

そんな中、アナウンスが車内に流れました。

『次は〜、イトスギ駅〜、イトスギ駅〜、お出口は右側〜』

このアナウンスは、ごく普通ですね。

しかし、突然アナウンスの声に抑揚がなくなり、変なセリフが流れました。

『次の駅は、降りたらもう戻れません。保証も致しません。あなた方の責任です』

このアナウンスが流れている間は、なぜか声が出ませんでした。

アナウンスが流れて、10秒後、お婆さんが言いました。

「次の駅で、降りてみようか」と。

他の言葉はあまり覚えていないのに、この言葉は色濃く覚えています。

私は拒否したと思います。私の性格的にそうですし、何よりもう戻れないというのが嫌だからです。

けれどお婆さんは私の腕を引き、電車を降りてしまいました。

誰もいなくなった電車は、すぐに走り出すと、闇にゆっくりと溶け込んでいきました。

このイトスギ駅に改札はありません。そのままホームを降りると。

そこは一面、焼け野原でした。

ところどころには人がうずくまり、苦しげな声をあげている人もいます。

お婆さんはまた言いました。

「今から、絶対に何も考えたり、何かを見たりしてはいけないよ。何も考えずに、わたしの背中だけを見ているんだ」

その理由は分からなかったけれど、お婆さんの言う事を聞きました。

30分くらい経ったのでしょうか。

お婆さんは私を地下シェルターに案内しました。

そしてシェルターの中にある棚をどかします。

とても重そうなのに、お婆さんは軽々と横にずらしたのです。

そこには扉がありました。

お婆さんは、私が扉から出るように促してくれました。

扉から出る時、聞こえた言葉は、今も忘れられません。

『くそぉ!逃がしたァァァァ!!!』

あのアナウンスの声でした。

Concrete
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@あんみつ姫
「きさらぎ駅」、拝読致しました。
いつか読んだ事があった気がしました。
もしかしたら、いつか読んでいて、それが夢?として現れたのかもしれません。

追伸
あんみつ姫様のコメントや、お大事にという言葉、とても嬉しく思いました。ありがとうございました。

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