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中編4
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一番の親友

~♪~♪~♪

スマホのアラーム音で、今日も目が覚めた。

手探りでスマホ捜索し、慣れた手つきでアラームを止める。

眠気眼(ねむけまなこ)でスマホの画面を眺める。

そこには由奈の姿があった。

壁紙といううわけではない、壁紙はデフォルトの物を使用する主義だ。

かといってアプリでもない、携帯固有の機能でもない。

それは由奈そのものだ。

由奈はホームに置いてある、アイコンを器用に避けながらスキップしていたが、ふと視線に気が付くとこちらに顔を向け、

「おはよう、明日香、なんか眠そうな顔しているね。悩み事でもあるの?」

と屈託のない笑顔で、こちらの顔を覗き込んできた。

「そういえば、明日香が寝てる間に愛美からチャット来たから、適当に返しといたよ。後でチェックしといてね、傑作だから!」

そう言うと、由奈はより一層笑顔になった。

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由奈は私にとって、一番の親友だった。

幼稚園、小学校、中学校、そして現在の高校とずっと一緒にすごした幼馴染だ。

由奈は明るくて、可愛くて、でも少し天然なところがあって、周りから少し浮くような所もあったが、少なくとも私はそんな彼女が大好きだった。

だから、そんな由奈が死んだと聞かされた時は、強烈な眩暈と精神的なショックからその場に倒れて意識を失った。

それからの私は学校にも行かず、楽しかった頃の由奈の写真をスマホで見返しながら、茫然自失とした生活を送った。

両親もそんな私を不憫に思ったのか、そっとしておいてくれた。

そんな生活を一体何日過ごしたのだろう?

いつもどおり、由奈の写真を見ながら何百回目かの回想に浸っていたとき、それは突然起こった。

写真の中の由奈が少し動いた、ような気がしたのだ。

始めは、見間違いかと思ったが、そうではなかった。

由奈は、写真の中から抜け出すと、スマホ画面の中を自由に歩き回った。

私が、訳も分からず画面を見入っていると、由奈も気付いたのか画面越しに私を見つけると。

「&#%?*_-.$+!@**?@!&==。」

何事かを笑顔で何度も呟いた。

「&#%?*_-.$+!@**?@!&==。」

「#/+?/.%@@+=#$-%。」

「%&-#?/+%#/+=@@./$%。」

その時になって、私はようやくスマホから音が出てないことに気づいた。

そこで、スマホの音をオンにすると。

「私悲しくなんてないよ!こうしてまた、明日香と一緒にいられるんだもん!」

そう笑顔で話す由奈の声が聞こえた。

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あの由奈との再会から、既に数日が経っていた。

「ねぇ、由奈。一つだけ聞いていい?」

私は、いつも通り登校しながら、携帯に呟いた。

「なに?何でも聞いて」

由奈は楽しそうにこちらに振り返った。

因みに、スマホの中の由奈は私以外には見えないらしい。

お寺の住職や、霊能者は、由奈を見たり、お祓いをする事はできるのだろうか?

ちょっと試してみるのもいいかもしれない。

「どうして私のスマホに、由奈は現れたの?」

「明日香と楽しく過ごしたかったから」

「そうじゃなくて、どうしてスマホなの?」

「それはね、たぶん明日香のスマホが私の思いを一番受け取っているからじゃないかな?私は生きていた時、この嬉しい気持ちも悲しい気持ちも、すべて明日香に届いたらいいのにって、思いながらチャットしてたから」

「つまり、一種の言霊の集まりが今の由奈なのね」

「ええ、そうだと思う」

その時、私の肩を叩く者がいた。

「明日香じゃね?」

そう声かけてきたのは、クラスメートの愛美だった。

「お、おはよう。」

少なからず私はびっくりしながら返事をした。

おそらく、由奈がサプライズで愛美を呼んだのだと思う。

由奈らしいイタズラだった。

「昨日のチャットの話の続きでもしながら、一緒に学校行こうぜ」

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その日、私は学校が終わってからも用事があり、帰路に着くのが遅くなった。

私は自宅近くの公園のベンチに腰おろして、スマホを取り出した。

ロックを解除して画面を見る。

おそらく私はぐちゃぐちゃに泣いた顔をしていたに違いない。

「あれ?明日香どうしたの?なんで泣いているの?」

由奈は相変わらず笑顔で私に話しかけてきた。

「お願い由奈。謝るから、もう勘弁して」

「えー、なにをーwww」

「とぼけないで!!グループチャットでわざと空気読まない発言したり!愛美に喧嘩売るようなこと言ったり!私を孤立させるような由奈の行動全てよ!!」

「あれれれぇ?ひょっとして、愛美にヤキでも入れらちゃった?あの子相変わらず手加減しないんだねー、私もあの時は辛かったなー」

「お願い……許して……」

「あれも辛かったけど一番辛かったのは、親友に裏切られたことだったかな。私は返事の帰ってこってないメッセージを明日香に何度も何度も送った、ひょっとしたらまた前のように一緒に喋ったり遊んだりしてくれるかもしれないと期待を込めて。」

「ごめんなさい……でも由奈を無視しないと……私もいじめられて……」

「私が飛び降りる前に、最後に送ったメッセージ覚えてる?……

アナタダケハゼッタイニユルサナイ」

由奈は私にとって、一番の親友“だった”。

Concrete
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