酔いつぶれたらしい部下とタクシーに乗り込み
彼女の家に着いた私は部下をおぶり指定された部屋へ行くためにアパートの階段を登る。
妻がいてこの状況はよくないとわかっていながらも
部下の面倒をみるのも上司の仕事、と言い訳を心で呟きながら部屋の鍵を受け取り鍵を開ける。
そして部下を降ろそうとすると
「申し訳ないですがベッドまで連れていってくれませんか?」と言われ
了承した私は部下をおぶったまま部屋に上がりました。
いかにも女の子という感じの部屋で
でもどこか落ち着いた感じだった。
そして寝室にいき部下をベッドに降ろす。
そして私は「それじゃあ、俺は帰るからちゃんと風呂入って風邪引かないようにして寝ろよ」
といい部屋を出ようとした瞬間、部下は私の裾をつかみ
「スーツを脱がせてくれませんか?このままでは寝れないのですが脱ぐ気力がなくて…申し訳ありません。」
正直この時点で全く下心がなかったわけではないが
言われた通り部下のスーツを脱がした時私の理性はとっくになくなっていた
そして一線を超えてしまったのです。
後から知った話では、私が妻と結婚する前から私に好意を寄せてくれていたらしい。
一線を超えたのはこの時が最初で最後。
部下もその日以来私にアプローチすることなく
日々仕事に勤しんでいる。
(もしかしてあの時彼女にそんな気はなくて私の勘違いだったのかもしれない…それで私を憎んだ彼女が何かしらの方法でベッドの下に髪の毛を呪術として置いておいたのか…)
と考えていると義妹は
「まー、それもあの神様が食べちゃったから平気なんだけどね!」
「食べた?髪の毛を?」
「ちがうよ!呪いそのものをだよ!」
「そんなことができるのか、それで鉄壁ということか」
「そう。まあ、神様の事は我慢するしかないね!それよりもその呪いをかけようとした人を見つけてなんでこうゆうことしたのか聞かないとだよね」
私は心当たりがある。とは言えず
「そうだな。」と言うのが精一杯だった。
妻は相変わらずスマホを見ていた。
そんな話をした後、義妹は帰ると言い、妻が車で送ることになった。
妹は遠慮していたが妻は「美容院予約してたしついでだから」とのこと。
月一で美容院に行く妻は全身のケアを怠らない。
自慢の妻だ。
「あ、そういえば」と言い義妹は私に紙を手渡した。
「なんだ?」と聞くと
「一応あの神様がどんな感じの子か書いておいたよ!絵は得意だから!それじゃね!」
と言い残し妻と出ていった。
私は「ありがとう。またいつでも来いよ」といい
寝室へ行きベッドに腰掛けその紙を開く。
紙は2枚あり1枚目を見ると寝室の入り口から寝室をデッサンしたものだった。
よくみるとベッドの下に何か書いてある。
嫌な汗が吹き出るのを感じながら恐る恐る2枚目を見ると、そこには
玩具などを入れている衣装ケースの横に平行するように女の子の絵が描かれていた。
その女の子、もとい神様は両腕をぴったりと脇腹につけ気をつけの姿勢のまま横向きになっていた。
髪の毛は自身の身長よりも圧倒的に長かった
表情は虚ろで顔や腕、足など所々に黒いボヤが描いてある。そこを矢印でひっぱり
「泥」と書かれていた。
私は貴重品をもち一目散に外に出かけた。
続きます。
作者fatal