***怖さもショートショートです。
ご了承下さい。***
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『和み⚪⚪』
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この前電車でさ。寝かけてうつらうつらしてたんだけどさ。
拙い声で、
『ママにチューしたい』
って聞こえたんだよね。
可愛くて和んだよね。
顔あげて見てみたら、電車内におっさんしかいなかったんだけどさ。
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『メアリーちゃん』
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もしもし?
わたしメアリー。
今からそっちに行くね。
メアリーちゃんは恐ろしい。電話があるかぎり逃げられない、旧き悪き亡霊である。
そして追い討ちをかけるように、メアリーちゃんから掛けてきても通信料はこっち持ちである事実に、私たちは震えざる終えない。
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『なれそめ』
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この前両親と飲みに行ったんだよね。
大分酔って、悪乗りして二人の馴れ初めを聞いたんだ。そしたらビックリしたわ。
『お互いに自殺しようと思って入った樹海で出会い、そこで盛り上がってお前ができてこりゃ自殺できねえと結婚して今に至る』
なんて言われるもんだから、酔いも覚めたわ。
そういえば私の名前って⚪樹っていうんだけど、樹海から由来してるのかもしれない。
笑えないねえ。
一番笑えないのは、私を母親が産んだ年をとっくに越えてるんだよね。私って。
両親を見習って樹海でも行こうかな。
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『靴ひも』
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クラスメイトのAちゃんはよく靴ひもが取れている。結ぶの苦手なの?と聞いたら首を横に振った。
「引っ張られるの。」
「なにに?」
「私の後ろで歩いてたら、時々見えるよ」
Aちゃんがそういうので、その日の放課後に後ろについて帰り道を歩いた。
そうしたら、Aちゃんの足元に白い手首が現れた。手首は靴ひもを引っ張って、喋々結びをほどいていた。
私は本当に驚いたがそれより驚いたのは、おしとやかなAちゃんが容赦なくその手首を踏んづけたことだった。
手首は痛そうに震えてから消えていった。
後から聞いたことによると、いつも手首は靴ひもをほどくだけで何もせず、踏まれると消えていくらしい。
「Aちゃん、怖くないの?」
「怖くないよ。ウザいだけ」
涼しくに答えるAちゃんは、かなり格好良かった。
あれから十数年経つが、手首はいまだに現れるらしい。
しかしハイヒールの日に間違って現れて、痛い目を見たことから、頻度は減っているのだとか。
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『じどりますたー』
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同僚のBさんは、自撮りマスターって言われてる。
Bさんと一緒に写った人が大体心霊現象で手とか顔の一部とかが消えて写っていて、Bさんだけまともに写るから。
Bさん曰く、チョー盛れるぅということなので問題はないそうです。
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『じじばば』
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今はやりのが⚪ばばやろうとしたんだわ。
間違ってじじばばって打っちまって。
そしたら父方のじいちゃんから電話きてやんの。
ウケるわーとか思ってちょっと話してから切ったら、去年じいちゃんの葬式あげたの思い出したんだわ。
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『野風』
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「昨日、全身に口がある化けもんに襲われてさ...死ぬ気で逃げてきたんだ...」
「またかよ...霊感がある奴は大変だな」
「ヤバかった...。覆い被されて、喰われるかと思ったわ」
「おお...」
「...そんとき口当たったんだけど、ファーストキスに入るかな...」
「...男っぽかった?女っぽかった?そこから話し合おうぜ」
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『ご近所』
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いじめが原因で引きこもっていたご近所の息子さんが、最近外に出るようになったらしい。
五寸釘と藁人形を持って、神社までお散歩だ。
彼のお母さんが説得したのだそうだ。家の中で鬱々と恨んでないで、アクティブに恨んでみようぜと。
これからどうなるかわからないが、私と情報源である私の母は静観する所存である。
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『メアリー』
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ねえ知ってる?
メアリーちゃん、違法ユーザーとして携帯会社から訴訟起こされたんだって。
作者はーこ
色々なネタを書かせて頂きました。なんだよこれ!怖くねーよ!といわれても仕方ないなと思いつつ投稿します!
少し下世話、下ネタよりですので、不快に感じた方は申し訳ありません。
でも正直野風を一番楽しく書いていました。よろしくお願いいたします。