今日で20年たった。
神様や仏様のお使いが迎えにきてくれた。
だけど、動かない僕を連れていってくれない…
お願いだから僕に触って一言『こおり』と呟いてくれれば…
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僕が死んだのは20年前、友達と公園で遊んでいた。
『こおり鬼』で…
身体の弱かった僕は無理を言って皆と遊んだ…
皆は心配してくれたが最後には「皆で遊ぼう!」言ってくれた。
凄く嬉しかった…
鬼に捕まりそうになった僕は寝た状態で『こおり』と宣言し動かなくなった。
後はゲームが終わるか、他の方に助けてもらうまで寝てれば良いだけ…
だけど…僕の心臓が止まってしまった。
誰も近くにいなかった…
気が付かれたのは10分後…
慌てる友達…
駆けつけた大人たち…
救急車に乗せられ運ばれていく僕の身体…
『こおり』と言ってもらえないから動けない僕…
だけど、身体だけは運ばれていく…
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2日前、僕の頭から伸びていた紐が切れた…
お父さんもお母さんも公園の前を泣きながら通っていく…
だけど…僕に気がつかない。
5年…
10年…
過ぎていく季節…
公園のスピーカーから流れる放送が時の流れを報せてくれる。
友達も成長していく…
僕にも弟と妹ができた。
お父さんとお母さんが報せに来てくれる。
お花とお線香と一緒に…
だけど…
僕には気がつかない。
お父さん…
僕に触ってください。
お母さん…
『こおり』と言ってください。
僕はまだ…
ここにいます。
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20年たった。
昨日、公園が無くなってしまった…
大きな建物が建ってしまって誰も来なくなってしまったのだ。
神様、僕は悪い子でしたか?
やっぱり両親にも心配させてたのがいけなかったですか?
もう、僕の場所には誰も来ません。
これないんです。
だれか…
おねがいです…
ぼくにさわってください…
ひとこと『こおり』と…
つぶやいてください…
たすけてください…
かいほう…
してください…
…
…
…
…
…
…
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おねがいします…
作者まー-3
コオリオニ…知ってますか?