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短編2
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だーれだ

「まだ11月の頭っていうのに真冬並みに寒いよ…」

私は文句を言いながら玄関の扉に手を掛けた。

ドアノブも氷のように冷たくなっていた。

「あれ、鍵空いてるじゃん」

両親も姉も出かけると言っていたのに。

時刻は14時を過ぎたところだ。

私はまだ帰ってきてないだろう、と思っていた。

「ただいま〜、もう冬みたいに寒くて嫌になるね〜」

いつもとは違うくて、返事は返ってこない。

私の家族は二階にいようと''おかえり''くらいは返ってくるものなのに。

「こたつこたつ〜」

すこし疑問に感じたものの、寝てるんだろうという結論に至った私は、寒くて耐えられず居間に向かった。

扉の向こうからは微かに聞こえるテレビの音。

返事も返ってこなかったことから、家族は私が帰ってきていることに気づいていないんだろう。

ふといたずらごころが湧いた。

テレビの前に座っているのは姉だ。

そっと後ろから私は近づき、

「だーれだ!」

声色を少し変え姉の目を塞いだ。

「やだなぁ、やめてよ」

「当てるまで離しません!!」

「冷たいよ、手」

「当てたらいい話だよ」

勿論家族の中でこんなことするのは私くらい。

それは姉も分かっていると思う。

「もう、こんなことするのはーーーー」

「ただいまー、もう外寒すぎ」

え…?

聞き間違えなどではない。

玄関から聞こえた姉の声。

私の目の前にいるのは誰だ?

いますぐこの場から離れたい。

助けて、すらの声も出ない。

静寂の中に、階段を上がっていく姉の足音だけが聞こえる。

「ひっ」

私よりも冷たい、姉のような誰かが私の手を掴む。

「だーれだ

当てるまで、離さない」

Concrete
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