music:4
俺の実家には空いてる部屋がある。
その部屋には布団が敷かれており、小さな液晶テレビが置いてある。
その部屋は自分も含め、家族もあまり利用しない。
たまに自分や姉が寝る程度だ。
寝心地は何故か自分の部屋より良い。
のにたまにしか利用しないのは訳がある。
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すこし昔、高校2年生の秋雨の降る日。
学校から家に帰って、部活で疲れていた俺はその部屋に向い、すぐに眠りについた。
夕暮れ時で部屋の中は暗かった。
体を横にして窓のほうを見るように寝ていた。
何か寝苦しかったので目が覚めた。
…いや、目だけが覚めた。
体を動かそうとしても全く動かない。
こうゆう特殊な環境に立たされたとき人間は、いろんな感覚が研ぎ澄まされる。
こんな状況で研ぎ澄まされた感覚が捉えたのは、布団の重さだった。
いや正確にいえば布団の上の物体の重さだった。
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その物体は4つの足があると感覚的にわかった。
犬だ…中型犬くらいの…
sound:2
と見えてはないが何故かわかった。
しかし犬に関しては全然身に覚えがなかった…
恨みを買うようなことはしてないし…
とにかく寝ぐるしいので「どこかにいけ!」
と心の中でその犬に言ってみた。
何回か言ってるうちに次第に重みはどこかに消え去った。
気配もなくなって体の自由がきくようになって携帯で時間を確認しようとした。
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携帯を開くと友達から何件か電話がかかっていた。
何事かと思い、折り返しの連絡をしてみると
友達が先輩と帰っている途中に道路を渡ろうとしている犬がいたらしい。その犬が渡る瞬間に車がきていてそのまま轢かれたらしい。まだ生きてはいたのでどうにか友達は助けようとしたらしい。しかし友達は犬が苦手で触れないので犬が好きな俺に助けてもらおうと電話をかけたらしい。電話を何回かかけてる最中に犬はもう一度轢かれて息を引き取った。
という内容だった。
music:5
「そうか、あのときの犬は…」と思いながらも少し悔しかった。
そういう思い出がその部屋にはある。
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music:4
しかしこれだけが理由ではない。
どちらといえば今から話すほうが本当の理由かもしれない…
これはすこし前の話。
また例の部屋で俺は寝ていた。
夢を見ることもなく熟睡していた。
shake
寝ていたら突然、「おいっ!!!!」と枕元で
怒鳴られた。
music:2
ばっと起きて声のした方向を見たけど誰もいなかった…
背筋がぞくっとした…聞き覚えのない女の人の低い声だった…
それからあの部屋には何かがいるような気がする。
暗い暗い暗闇の中にまたあの声が…
作者じゅん
実家であった実話です。