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短編2
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せめて流させてくれ

まだ小学校の頃のそんなに怖くない実話

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滅茶苦茶トイレに行きたかった

膀胱が破裂するんじゃねぇかってぐらいトイレに行きたかった

終礼が終わるとダッシュで長い廊下の奥にあるトイレのドアを開けた

そこは高学年用で男女個室ごとにドアがついていた

その間漏れるな漏れるなと念じていた

(しめた!奥が開いてる!)

トイレには男女各4つある

しかし、洋式は奥のみ

運よく4つとも全部空いていた

私は迷わず洋式に飛び込んだ

(ふぅー、危機一髪だったなぁ…)

ホッとしてトイレットペーパーに手をかけた

スタタタタッ…

(あ、誰かトイレに入ってきた)

コンコン…

(あれ、ここのトイレ全部空いてい…

shake

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ガタンッ!

(おわぁああ!なんだ?なんだ?!)

パニックになりそうだった

トイレに入ってきたそいつは一番手前の誰も入っていないトイレをノックし

豪快にバンッ!と開けたのだった

私のさっきまでの安堵はどこかへいった

(おいおいそりゃないだろ!だってそこ空いてるじゃん!)

コンコンッ

shake

ガタンッ!

(まて…これは私のところに向かって)

一方の私は今すぐ出よう、と促す

がもう一方の私は妖怪かと胸おどっていた

人間とは、恐怖になると訳がわからなくなる

私は何故か流すのを忘れているのにも気づいて更にパニックになった

コンコン

shake

ガタンッ!

(ヤバイ!次だ!)

私は内側の鍵を必死で掴んだ

人間でも幽霊でも頼むから開けないでくれ!

まだ流してないんだよっ!

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コンコン!

息を潜めた、そして

shake

ガチャガチャガチャガチャ!

(ダメだ!開けるな!流してない!)

ものすごい力でそいつは外から開けようとした

いや、違う

壊そうと、破壊しようとしている

shake

ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ

(うぉぉおおぉぉお!!!………あれ?)

いきなり静まり返った

ここで私はまさかと思い天井を見た

(なんも、、、いない、、、)

おいおい、普通ここは髪の長い女とかがぶら下がってるとかないのかよ、とか考えながら流した

そのあとも普通に何もイベントは起こらず、

恐る恐る洗面器の鏡を覗いても何もなかった

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「って今日あったんだよね」

次の日の学校でその話を友達のSにした

Sはふぅーんとあまり興味がなかったようだ

だが、最後に、ん?と顔を歪ませた

「おかしくない?」

「何が?」

Sは、だってさ、とトイレの方向を指差していった

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「そいつ入るとき足音あるのに、なんで帰りは消音なの?」

Concrete
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