中学生の頃の焦った話
工事の騒音と担任の嫌がらせでバファ○ンを乱用した
兎に角少しでも痛くなったら服用すること三ヶ月、とうとう病院送りになった
もらった漢方薬を服用するが悪化
次第に苦しくなっていき
とうとう変なものが見え始めた話
separator
「…ッ………」
それは床についてすぐ現れた
何かが私の足元を掴んだ
shake
___ガシッ
私は、また夢か、と無視した
しかし手は離れなかった
もういい加減覚めないかな、とか思っていると
「……ァ…」
nextpage
声が聞こえた、かすれた声だった
ん?と首をかしげて目を開けようとした
が、開かない
なんだこれ、金縛りか、じゃあこれは?
手は徐々に太股、腰、腹、胸、そして肩まで来た
「………ァ」
nextpage
この時やっと理解した
あ、これ夢じゃないんじゃね?
もしかしてガチのやつかな
「………」
目を開こうとするが開かない
だが、何故だか分からないが
私にはそいつが女に思えた
結局最後まで見えなかったが
separator
普通幽霊とかだともっと迫力あると思ってた
と中学生の私は思った
だが、どうもこの幽霊の女は
自分の胸を私に押し付けてくる
(うわぁぁー、貧乳じゃん…)
思春期の私はもっとグラマーな幽霊がいいと思っていたが、今考えると何を考えていたのか恥ずかしいことだ
だが、これでもかと女は胸を押してくる
私も流石にこの女は随分しつこいなと思っていた
(あー、早く終わんないかな…)
二十分ほどすると、女の重みはスーッと消え
金縛りも解かれる
nextpage
女はそれから週に三回やって来た
日に日に女の体は重みを増していき
私も女を恐れるようになった
その頃、担任から「私のせいで病院行ってないわよね?そうじゃないでしょ?違うわよね?」と毎日言われて半ノイローゼ状態になった
それと女がどう関係しているのかは知らないが
separator
「……ァ…」
一ヶ月が過ぎ去ろうとしたある日唐突に思った
そういえば、この女
なんか前から言ってるけどなんだろう
nextpage
「……ぁい」
む?愛だって?
自分の名前かな?それとも娘とか?
shake
「ゆるさない」
nextpage
はっきり聞こえた
全身に鳥肌がぞくぞくっと広がる
今まで貧乳だ、とか馬鹿にしてた自分をぶん殴りたくなった
(これ副作用じゃない、ガチだ)
nextpage
女は今まで「ゆるさない」と私に言っていた
許さないだって?何?私が何をしたんだ?
私はこの女を知らない、それに見たこともない
仮に幻聴だったとしても、この重みはなんだ?
頭の中で疑問がぐるぐる巡る
今まで変なものにあってきたが
まさか寝室にいるとは知らなかった
これが中学生の頃の率直な感想だ
separator
ある日、私は友人にこの一件を話した
私「てことなんだけど、なんか策はないかな?」
友人「幻覚じゃない?」
「そこまでバファリン強くないよ」
「本当に知らない人なの?」
「知らないし胸はまな板だし」
「じゃぁ、聞いてみなよ、名前でも」
名前でもって…まぁ幽霊も人間だったから
聞いてみるのも悪くないと思い
またあの女が来たらそうするかと考えていた
それがまさか、めんどくさいことになるとは
separator
「ゆるさない…」
あの、と口を動かそうとするが、動かない
女は普通の人間と変わらないくらいの重さになってた
手足はガリガリだったが
私は頭の中で問うことにした
(私、Kと申しますがあなた様のお)
shake
nextpage
「ゆるさない…ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない…あはははははは!」
nextpage
女は、私の上で笑いだした
そして胸を強く押し当て、私の腕をぐいっと掴み
耳元で話続ける
shake
「ゆるさない…ゆるさない…ゆるさない」
女の重さは増していった
謝罪の言葉を頭に浮かばせつつ、
なんとかこの女の名前を聞こうとしていた
この時は何故か必死だった
私は金縛りでがくがくする唇を
無理やり開け、パクパクさせながら言った
nextpage
「あなたのなまえは、なんですか」
nextpage
「あああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
nextpage
女が突然絶叫した
私も叫びたいがもう口が動かなかった
だが、女はパチン!と弾けるように
絶叫と共に消えた
辺りはひっそりと静まり返っていた
私は金縛りから解かれると、止めていた呼吸をした
北部屋の夏の深夜、私の苦しそうな息だけが音をたて「もう幽霊は嫌いだ」
そう言いながら、枕を整えて寝た
separator
nextpage
以上が私の中学生の頃のあまり怖くない話
まぁ結局あの女が何を言いたかったのか分からない
それに、何故私に「ゆるさない」と言ったのか
全く心当たりがない
もしあなたの寝室にあの女がいたら是非聞いてほしい
彼女の名前、そして何がしたかったのか
何故「ゆるさない」のか
実は数年前彼女と再会することになったが
その話は次回に、ではまた
作者退会会員