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短編2
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A死んだ

知り合いから聞いた話

(以下、知り合いを○とする)

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「A、死んだ」

は?と私は発した

今何時だろうかと時計を見ようとした矢先に電話がなった

待て、今相手は何を言ったんだ?

Aが…?

「A、死んだ」

「ちょっと待ってくれ、Aに何があった?」

その声は聞いたことがなかった

それより、Aが何故死んだのか分からなかった

Aは私の肉親の一人の親戚だしAの娘はまだ中学一年生だ

それに、冬にAを訪ねて東北へ行ったとき娘さんと一緒に元気だったじゃないか

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「A、死んだ」

無機質な声が耳の奥で響く

電話の向こうの声は暗いままだ

突然の死に人は驚くが、私は冷静さを保って尋ねた

「死因は?」

「A、死んだ」

「なんで」

「A、死んだ」

「どこで?いつ?てかあんた誰?」

「A、死んだ」

声はそれしか告げなかった

「何で死んだんだよ…」

喉の奥に何かが詰まったような声を出し、

私の受話器を握る手も震えだした

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そこで目が覚めた

夢だと知っていたが、念のためAに電話した

「もしもし?○です」

「おう、どうした?」

なんだ、Aは生きているじゃないか

Aにそれがさぁとさっき見た夢を話して電話を切った

(あれ?あいつは誰だったんだろ?)

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が、その一週間後

日本を震撼させたあの東日本大震災が起こったのは言うまでもないだろう

その時私は上のパニックになる大の大人たちをおとなしくするのに手がかかった

(Aたちは…)

Aたちは生きている、生きていると信じていた

流石にこのときばかりは神を信じた

いや、最悪な結果を考えるより無事を祈った

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電気が繋がったのはそれから一週間後のことだった

「もしもし?○です、Aさんですか?」

「○、今電気が通った、ありがとう」

Aの娘が隣で電気通った!と泣くのが聞こえた

二人とも無事か、ほっと息をついた

「いや娘さんは大丈夫ですか?」

「うん、ありがとうありがとう」

生きていたことに私も涙声で話していた

が、さっきからAは何度もありがとう、と繰り返すことに違和感があった

そしてAはただ一言言った

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「○、あれは『死んだ』じゃない。

『地震だ』」

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東日本大地震はホントに怖かったです。

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