中編3
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祖母の不思議な能力

もう亡くなったけど、祖母がちょっと不思議な能力があった。

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その能力とは、予知夢をみることだった。

とはいっても、身内限定の話なのであんまり役に立たない。

いつからその能力があったのかと聞くと、う〜ん。と何かを思い出すように考えながら、「子供の頃からかしら…?」と言っていた。

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子供の頃から周囲の人に、自分が見た夢のことを言って、笑われたりしたこともあったけど、それが実現すると、周囲の人が婆ちゃんのことを怖がる人もいたり、誘拐されそうになったこともあったのだそうだ。

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話はそれたけど、その様々な予知夢のいくつかを取り上げると、

20年以上前のある日の朝ごはんの時だった。

「昨日、○美ちゃん(俺の従妹)が地震があったから、とブランドモノのバッグを抱えて逃げてくる夢を見た」と言った。

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従妹は当時、淡路島の実家に住んでいた。

それから数日後、阪神大震災があり、実家が半壊したため従妹は実際、ルイヴィトンのバッグに貴重品や着替えなどを詰め込んで、我が家にやってきたので家族が、婆ちゃんの言ってたことをすぐに思い出して、驚愕した。

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他にも、それから数年後のことだった。

「昨日、○○君(俺の従兄)が魚連れて挨拶に来る夢をみた」と言った。

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従兄も淡路島で猟師をやっていたので、何か事故でもあるんじゃないかと思っていたら、それとは別で友人と海に泳ぎに行って溺れて死んでしまった。

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さらに、東北の震災の前も

「昨日、A子さんの家が地震でユッサユッサ揺れてた。でも大したことなかったけどね」と言った。

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A子は母方の親戚で山形に住んでいた。

家族は、また婆ちゃんが何かを言い始めた…。と、心配になった。

親がA子に電話をかけて、「気をつけてね」と、心配したりした。

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その後、東北の震災があり、山形に住んでいたA子さんの家も実際に揺れたが、たいしたことは無かった。

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これ、もっと広い範囲の夢を見られるなら、役に立つと思うんだ。

そしたら、多くの人が助かったかもしれないのにな、て。

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A子の家は山形だからあんまり揺れなかったが、その同じ時間帯に宮城や福島の方では偉いコトになってたわけだし。

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それを婆ちゃんに言ったら「でも、見ようと思ってみてるわけじゃないしねぇ」と困った顔をしていた。

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そんな婆ちゃんですが、自分が死ぬ数日まえに、ある日突然、「出かけてくる」と言って、一張羅の着物を着て出かけた。

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家族も一体どこへ出かけたのだろう?と思ったが、誰もそこまで気に留めてなかった。

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それからしばらくして婆ちゃんは脳の血管が切れて病院にいってそのまま亡くなった。

その時婆ちゃんが撮った写真が遺影になった。

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写真屋さんでも「これが遺影になるから、キレイにとって欲しい」と言っていたらしいが、冗談かと思って気にしなかった写真屋さんも、婆ちゃんが亡くなったと聞いた時はとても驚いていた。

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どういう夢をみたのか、それとも夢じゃなかったのかはわからんけど、死期はわかったらしい。

荷物も整理されていて、自分の資産も全部ノートに一覧として残してくれていた。

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実は今度、婆ちゃんの命日だから、ふと、婆ちゃんのことを思い出してたんだ。

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