わがまま【Uレイらいふ】

中編3
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わがまま【Uレイらいふ】

私が変な拾い物と同居することになってから早一ヶ月──。

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すっかり順応してしまった浮浪霊のレイコとは違い、繊細な私は一向に慣れずにいる。

強引とは言え、合意の上で死人と同居なんて誰がするものか。

帰る度に新妻みたいに出迎える様は、死人とは思えぬテンションである。

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ハードでタイトな仕事を終えて帰宅する道すがら、遅い夕食をどうしようか考えていた時に見かけた居酒屋に足を止めた。

3秒くらい考えた結果、翌日が休みだったこともあり、ちょっと寄っていくことにする。

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軽く引っかけてから、いい気分でアパートへ帰ると、最近は騒々しかった玄関が水を打ったように静かになっていた。

ついに逝くべきところへ行ったか!

そう思い、小躍りしながら狭いリビングに入ると、暗闇の中でボゥ……と座る髪の長い女の背中が見えた。

「おわっ!!ビックリしたっ!!まだいたのかよ!!」

まんまと上げて落とされた私に、女が振り向いて言う。

「U子さん、遅かったじゃないですか」

「別にいいじゃん……ちょっと呑んできたんだよ」

私が部屋の明かりをつけると、ヤツはおもむろに立ち上がって詰め寄ってきた。

「心配するじゃないですか!わたしはU子さんが事故にでも遭って、てっきり……」

「縁起でもないこと言うんじゃねぇよ!あんたじゃあるまいし」

私が何時に帰ろうと、赤の死人にとやかく言われる筋合いはない。

でも、レイコは軽くエキサイトしかけた私の遥か上をいった。

「電話一本くらい入れてくれてもいいじゃない!」

お前は同棲中のカノジョか!!

そもそも女の私にカノジョはいらない。

しかし、うかつにもレイコの剣幕にちょっとビビってしまった私。

「いや、うちは固定電話ないし……」

家主の私が迷惑な居候に言い訳することに、はなはだ納得してはいないが、この家に固定電話がないことと、あったところで電話に出られないレイコは、一瞬言い淀む。

「……せ、せめて鳩を飛ばすとか!とにかくわたしに連絡する気概を見せてくださいよ!!」

「嫌だ!そんなめんどくさいことする義務はない!」

そもそも鳩を飛ばすとか、いつの時代だよ!

私からの反論に、レイコは膝から崩れ落ち、ヨヨと泣き崩れた。

また始まったよ……。

「わたし、今夜はU子さんの大好きなカレーを一緒に食べるテイで待ってたんですよ?……せっかく美味しくできた気分だったのに……」

結局、作ってねぇんじゃねぇか!

そんなにカレー好きでもねぇし。

「とにかく!あんたは置いてやってるだけなんだから、私のことに口を出すな!」

「……ごめんなさい」

私が強く主張すると、レイコはシュンとして押し入れに入っていった。

……なんか、私が悪者になってねぇか?

その夜は、何となく腑に落ちないまま風呂に入って寝た。

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翌朝、何だかいい匂いで目が覚めた。

何の匂いだろう……。

鼻を鳴らしながらリビングに入ると、どうやら台所からのようだ。

コンロの上に小鍋が置いてある。

匂いの元はコレらしい。

ふたを開けると、中に味噌汁が入っていた。

ほのかに温かい味噌汁に鎮座する豆腐が半丁。

いや、豆腐切れよ!

ってか、私の朝はいつもパンなのに何故、味噌汁なんだ!嫌がらせか?

いや、そもそも作れたのか!!

朝っぱらからいろいろなことにビックリした。

私は鍋を温めなおし、お玉で豆腐をカットしてトーストを焼いた。

豆腐はデカいが味はよかった。

食べていると、押し入れから音もなく、のっそりとレイコが出てきた。

「おはようございます」

「……おはよう」

私はトーストを頬張り、味噌汁で流し込むと、席を立った。

「昨日は……」

レイコが微かな声で何か言おうとするのを私は遮るように言った。

「今夜はボンゴレか何かのスパゲティーを買って帰る……そんなに遅くはならない」

何を思ったのか私がそう言うと、レイコは死人らしからぬ笑顔になった。

「はいっ!」

笑顔は笑顔だけど血色はよくない……当たり前だけど。

そそくさと支度をして、姿は薄いがキャラは濃い同居人に見送られながら私は仕事に向かった。

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こんな調子で、わがままな同居人に気ままで自由な私の生活は少しずつ壊されながら過ぎていくのだった。

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とっても面白かったです!! レイコが可愛いです!!!
スゴいですね~!!私もこんなに書けたらいいのに···
頑張ってください!!

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