短編2
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同居人

事故物件って聞いたことあるだろうか?

じつは僕は昨年夏まで事故物件で二年間ほど暮らしていた。別に事故物件に住みたくて部屋を選んだのではない。たまたま気に入った物件に空きが3部屋あり、それぞれ2階、6階、8階だった。見比べると8階はダントツで素晴らしい。まず、部屋がほかに比べて真新しかった。次に見晴らし。最後に家賃が一番安い。普通、上の階に行くほど家賃は上がるものだけど、このアパートは値段順が、8階、2階、6階の順に高くなっていた。不動産の仲介業者に理由を聞いたがわからないとの事で次回会うまでに調べておきますとの話だった。

後日、仲介業者に会うと、

(すみません!あの物件はいわゆる事故物件だった時期があり、それで安いらしいです。)

との事。どうも自殺があったらしい。

仲介業者は、

(代わりの部屋探しますね!)

との事だったが、

僕 (いえ。あの部屋で良いです。僕気にしないから)

と伝え、そのまま契約した。

(だいたい、アパートは繁華街にあり夜中でも賑やかだから大丈夫だろう。それに毎晩午前様だし。)

くらいの気持ちだった。

引越しして初日から奇妙な事が始まった。

まず、

ラップ音。

次にクローゼットがいつも朝起きると半開き。

また、寝ている時に玄関の鍵を開けだれかが入ってくる音がするが誰もいない。

トイレットペーパーが大量に便器に捨てられている。

掃除機をかけると長い髪の毛がたくさん落ちている。

寝てる時、誰かに足を掴まれ引っ張られ飛び起きたこと数回。

ただ相手の姿は見えないので気のせいで済ましながら二年間住んだ。

二年後、部屋の荷物がいっぱいになり少し広い部屋に引越すことに。

新居は前のアパートが見える30m先の13階。

前のアパートには友人がそのまま引き継いで済むことになった。

とある日

ベランダでタバコを吸っていたら前のアパートに住んでる友人が、(おーい) と声をかけてきた。

近いし夜だからすぐ気付いた。

彼もベランダでタバコを吸っていたらしい。

タバコを吸いながら片手で挨拶。

そして気付いた。

(あ、若い女性だったんだ。自殺した人。。。)

なぜわかったか?って。

それは、彼の真横から髪の長い若い女性が彼を見上げるように睨みつけていたから。

怖がりの友人には今だにその事を伝えていない。

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