「タンスを置くときは後ろの隙間が空かないように、ようしっかり壁につけるようにする。」
そう言ったのはおばあちゃんだった。
「何で隙間開けちゃいけないの?」と聞いた気がするけど、答えがどうにも思い出せなかった。
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暫くして家から出て独り暮らしをしたとき、
その日、会社が休みで一人でゴロゴロしながらお菓子を食べていた。
「暇だなぁ、猫でも飼えば多少変わるのかね」なんて言いながらムシャムシャお菓子を頬張ってるときに、
ガタン
音がした。割りと大きい音だったからそちらの方に目を向ける。
目の先にあるのは、五段くらいの引き出しだった。小さい頃から使ってるやつを引っ越しの時に持ってきたのだが、見た目はプラスチック仕様なのにいように重い。
そんな引き出しをずっと見ているとまた、ガタンと音がした。
危うく手に持ちかけていたコップを落としそうになった。
「隣の人でも暴れてるのか?」
と多少怖がりながら引き出しに近づいて裏側をみた。
するとそこは空洞があいて、丁度向こう側の壁の端まで見えてた。
そしたらその瞬間目の前に細長い男の顔が現れて
「遊ぼう」と声を発した。
全身に鳥肌がたち、急いで引き出しの前に回って思い切り後ろに押しやって隙間を埋めた。
おばあちゃんが言ったのはこういうことだったのかと一人息を切らしながら納得した。
それから、何も不思議なことは起きてない。
作者瓦の後ろ
やっぱり暗いところは薄気味悪い。