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中編5
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人形の森 X-7

人形の森 X-7

music:2

グールの襲撃に応戦する二人だったが

アーロンは、グールの異変に気付いていた。

「こいつら、野生のグールじゃないな」

アルはナイフで次から次へと襲いかかるグールの頭部を切り裂いていく

「はぁ?どういうことなんだっ!」

アーロンは銃で最後の一匹であるグールの両足の腱を撃ち抜き身動きを封じた。

「見てみろ…こいつの首筋」

「髑髏星のマーク?」

アーロンは髑髏星のマークを確認すると

身動きを封じられたグールの頭部と心臓に銃弾を撃ち込む。

「魔人ネケン、あいつも髑髏星のペットってことか…」

アルはナイフに付いた血を拭き取り

「なんで、この森に?何が目的だ?バジリスク?」

二人はグールの死体の山に火を放ち燃やす

「この森には髑髏星にとって重要な何かがあるに違いない」

アルは死体の山の火を見つめ

「厄介なことにならなければいいけどな」

グールの襲撃から2時間後…

「それにしてもバジリスクの痕跡は見つかっても、肝心のバジリスクが見つからん」

「取り敢えず痕跡を辿ってみるしかないだろ」

二人は微かに暖かい焚き火に水を掛け歩き出す

「髑髏星が絡んでいるなら、それなりの部下を送り込むはずだ…だが、雑魚中の雑魚のグールだけを野放しにするのには理由があるのか?」

アルはナイフを回転させながら

「奴らは、この森を大きな実験場としか思っていないんだろうさ」

静かで物騒な森で二人は月を見上げる

その頃、レイモンド達は…

不気味に蠢く人形達が目を覚ます

月明かりで不気味さが増したソレは一斉にレイモンド達を襲う。

「どうするんですか!」

狼狽えるバーキン博士を庇いながらアイボリーが青く光る液体を飲み干し構える

「やりますよ!レイモンドさん!」

レイモンドは上着を投げ捨て体制を整える

「言われなくてもなっ!」

ツリードピープルの群れに圧倒されながらも

確実に一体、また一体と倒していく。

「ハァ…ハァ…残りはデカブツだけか…」

そのツリードピープルには本体となる花が5箇所

「アイボリー。お前は背中、俺は頭をやる」

アイボリーは泥だらけの上着を脱ぎ

「あれを試すんですか?」

レイモンドは黙ったまま頷く

「お前の実力を発揮してみせろ!行くぞ!」

レイモンドが真っ直ぐ巨大なツリードピープルに向かって走り出す。

アイボリーは小さな声で詠唱を始めると

小さな青い光がアイボリーの周りに漂い始める

「円卓の名において、解放。」

小さな光が輝きを増し全身を包む

「さあ、血が滲む訓練の成果を今!」

アイボリーは小さな一歩を踏み出した瞬間に

ツリードピープルの背後を取り

何もない空間から青く光る剣を取り出しツリードピープルの本体を切り刻むのと同時に蹴り上げ空中に浮かす。

「これで終わりだ!」

右拳に力を入れ頭部に密集した花を吹き飛ばす。

ツリードピープルは数分間、痙攣しながら動きが止まる。

静か過ぎる夜に虫の囀りだけが響く

小さな波が砂浜を濡らし、そこ月明かりが照らすようにツリードピープルの死体を現す。

「ここまで不気味な死体を見るのは5年ぶりか?

いや10年ぶりか?」

何かを破壊しながら進む衝撃音が辺りに響く

それがまるでチャイコフスキーが奏でる音楽のように。「序曲ー1812年」をイメージ。

不快な臭いが漂い始め無意識に肺が空気を拒絶する。むせ返るバーキン博士を他所に二人は泥濘んだ道を突き進んでいく。

「これが仕事って大変ですよね…」

アイボリーは笑いながら鞄を漁る

「この仕事するまでは何も知らない青年でしたからね、刺激満載って感じで楽しいですよ」

バーキン博士は納得した様子で

「それは私も同じですよ、まあ部屋に引きこもって研究してるだけですからね、君は若いのに強いですね」

レイモンドは何も言わずに立ち止まる

「止まれ。目測150m先に何かいる」

アイボリーは黙ったまま頷き構える

不気味な横風が木々を揺らす音に寒気を感じる

冷たく鋭い強い意思を感じる存在感

それをレイモンドは察知した。

「な、なんですか?」

バーキン博士の口をアイボリーが塞ぐ

レイモンドは後ろを振り返り二人に視線を送り

"ここにいろ"とアイコンタクトを図る。

幸いにも発見が早かった。

毒々しい色の茂みに人型の怪物が佇んでいた。

レイモンドは上着を静かに泥濘に置き

全身の筋肉に集中すると胸の術式が緑に光る

それが両脚、両腕に流れるのと同時に怪物との距離を一気に縮めるが

怪物はレイモンドの死角からの攻撃を軽やかに避ける。

「おっと、いきなり殴りかかってくるとは」

その怪物は流暢なイギリス語を使いながら、自信があるのか構えることすらせず棒立ちしている。

「奴ら以外にも、ハンターがいたか」

レイモンドは攻撃を繰り返しながら弱点を探る

「自己紹介がまだだったな、私は魔人ネケン」

レイモンドは鼻で笑いながら

「俺はお前を退治するハンター、レイモンドだ」

予備動作の無い強烈な蹴りを放つが魔人ネケンは軽く避ける。

「おいおい、力み過ぎだ。バレバレだよ」

だが、レイモンドの右拳が魔人ネケンの頬を捉える。

魔人ネケンはフラフラしながら後退し、赤い爪を強調しながらレイモンドを挑発する。

「こんなもんか?」

魔人ネケンは一歩前に踏み出すが、レイモンドの無慈悲な拳が目と鼻の先に現れ、顔面を捉えた拳はそのまま魔人ネケンの頭部を逃さず後方にある木々に衝突させる。一瞬、レイモンドは力んだ後、魔人ネケンを130mも吹き飛ばした。

レイモンドは久々の解放に息を切らしながら

「ふぅ〜。魔人って割には、こんなもんか?」

レイモンドは拳を開いては閉じてを繰り返し

少し安堵した瞬間に、足元を覆う霧が発生する。

「なんだ?この霧は…」

その場で、レイモンドはしゃがみこみ霧に触れるとピリピリとしていて且つ、ラズベリーが焦げた匂いがする。

「そろそろ本気で殺す」

「レイモンドさん!後ろ!」

魔人ネケンはいつのまにかレイモンドの背後に立っていた。

魔人ネケンはレイモンドの背中を蹴り飛ばすと

その威力が分かるほど、レイモンドは吹き飛ばされた。

「今のは、かなり効いたぜ」

レイモンドは倒れた状態から一気に魔人ネケンとの距離を詰め攻撃するが受け止められてしまう。

魔人ネケンは鋭い爪でレイモンドの脇腹を切り裂いていく。

レイモンドは敢えて魔人ネケンの懐に入り両手を掴みあげる

お互いに両手が使えない状態になると、レイモンドは頭突きで攻撃する。

「こうなりゃ自慢の爪は使えないなっ!」

レイモンドは何度も頭突きを繰り返す

「いい加減、離れろぉぉ!」

魔人ネケンの瞳が赤く光るとレイモンドの腹部を蹴り飛ばし距離を置いた。

「もう殺す…すぐ殺す」

To be continued

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