ずっと気になってることがある。
僕の家から通りに出て駅とは反対方向にずっとまっすぐいくと、突き当たりの角に古いアパートがある。
そのアパートは誰もすんでいない、少しだけ殺風景な風貌はなんだか見ていると心寂しく感じる。
その場所に昔人が沢山住んでいたときに自殺があったらしい。
それから、その家には幽霊が出ると噂がたち始めるまでそんな時間はいらなかった。
近くに小学生や中学生の通う学校が隣接してたりしてすぐに「しんれいスポット」の座についた。
そんな場所がある。
人が来たりして中に面白半分で入っていくのを見てたことがある。
けれど、僕が見てたときに人が出てくることは一度もなかった。
それから、「人が出てこないのは何でだろう?」
と思い、気になり出した時にはそのアパートに自分も入っていた。
一階二階がある。
二階は扉が壊されて、中が見える状態だった。
キンチョールや古いテレビなとが埃を被ってるのが目についた以外は特になにもない。
しばらくしてくしゃみが出てきたから、一階にいくことにした。
右から数えて入り口まで三部屋あった。
そんな全部は入りたくなかったので、アパート入り口から一番遠いい三号室に入った。
鍵は空いていた、先程のようには明かりがうまく入らないのだろう、じめじめした空気が鼻を触る。
玄関まで入り込んで、扉を閉めたときに奥の部屋のガラスがちょっとだけ割れてる箇所があった。
それと、その部屋に行き着くまでに、トイレ、お風呂、キッチン、それとひどく荒れた寝室があった。
その奥部屋の中央に大きな穴がぽっかり空いていた。
真っ暗に開けたその穴は、大きな人が口をぱかりと
開けているような、気持ちの悪い感じがした。
家が古くなりすぎたんだろうか?
誰かが開けたんだろうか?
穴の周辺から中を覗きこむ。けれど、奥までは見えない。
何処までも深く感じた穴の中に、何か投げ入れれば
深さがわかるのでは?
と思い、近くにあった手鏡を思いきり投げ入れた。
それからいくら待っても落ちる音がしなかった。
何処まで深いんだろうか?という疑問は何故だかスーと落ち着いてきて、帰ろうと思った。
その瞬間穴の中に向かって空気が勢いよく流れ始めた。
スウーっと流れ始めた空気は、僕が唖然と突っ立てる横で次第に勢いをます。
ぼうぅっ、と唸り声をあげてきたときにはもう立てないくらいの勢いになっていた。
急いで何かにしがみつこうとして窓に手をかけた。
すると、穴の中から「おいてかないでぇぇぇっっ」って男の人の声が聞こえてきて、全身に鳥肌が立った。
声にならないから、必死で窓にしがみついて、空いていた窓の割れ目から、小さな体を生かしてなんとか這い出てこられた。
そこから後ろも振り向かないで、そのアパートの庭らしきところから走って家に帰った。
それからはその家に近づかないでおいた。
たまに学校でその話が出て、友達なんかが、「俺はいって肝試ししたことあるぜ!」といっていたので
穴はあった?と聞くと「そんなものなかったよ」といい、決まってそっぽをむく。
友達もみたのだろうか。
それとも嘘をついていて、虚勢を張ってるのがばれるのが嫌でそっぽを向くのか。
どっちなんだろうか。
作者瓦の後ろ
小さい頃「ドジョウの踊り食い」は食べる側が一生懸命にフラダンスなんかしながらドジョウを食べるのだと思っていた。