あたしゃは猫である。
1000年生きた猫である。
正直、生物としての猫なのかはあたしゃも疑問だけど…
あたしゃという呼称はあたしゃの10代目の餌係の遊女が言っていた呼称だ…
気に入ったから使っている。
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世の中には人が見えない世界が有る…
これは人が捨てた力であり膨大な情報の中から不要だと判断したから捨てた力…
それは幽霊や化物などの異界を認識する力だ。
この力は時代が進むほどに無くなっていったみたいだ…
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人間暦20○○年○月…
あたしゃは困っていた。
人間界と異界が重なる箇所が増えているのだ…
人間は異界を認識できない訳だから異界に紛れ込んだ人間も認識できない…
だから失踪事件が多発してる。
その数は1ヶ月で100人…
世界中で100人だから人は気付かない。
これから語らせてもらうのは、そんな100分の1…わたしゃの餌係(最新)の話…
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「ただいま~」 にゃ
私は学校から帰ってくると、いつもの通り玄関を開けて違和感を感じた…
まずはお母さんの声が聞こえない…弟の声も聞こえない…
今日は学校から帰ったらデパートに買い物に行く予定だから家にいるはずなのに…
「お母さん?駿くん?いないの~?」 にゃ
居間にも台所にも寝室にも何処にもいない…
何処にもいない…
何処にも…
「舞?帰ったのかい?…舞?帰ったのかい?…」
お父さん?何でお父さん居るの?
お父さん…会社の時間なのに…
お父さん…会社で頑張ってるからプレゼント買いに行こうって…
「舞?台所にいるから来なさ~い!お母さんも駿もいるよ!早く来なさ~い」
………
…… にゃ
…
怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…怖い…
知ってるはずなのに知らないお父さんの声…
お父さんの声のはずなのに気持ちが悪い…
「舞~?逃げられないよ~?早く来なさ~い?」
体が動かない…勝手に動く…台所の方に…勝手に動く。
「やっと来たのかな?お母さんも駿も動くなっちゃたぞ?」
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shake
お母さん?
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shake
駿?
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…
shake
… にゃ
shake
… にゃ~
shake
…何で?何なの?
お父さん?何で?
お母さんと駿は…
何で血だらけなの?
何で動かないの? にゃ
お父さん…
「舞?ごめんな…お父さんな病気治らなかったんだ…」
病気?
「お父さん?病気…なの?」
「そうだよ…お父さんは病気なんだ…お母さんにも駿にも謝ったよ?悪い事したんだから謝んないとな…」
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にこやかに笑いながら近寄ってくる…
鉈をかまえながら…
「駿も脅えないで待ってなさい…お姉ちゃんもすぐに連れていくよ…」
連れていくよ…
お父さんとお母さんと駿とお姉ちゃんと皆で暮らすんだ…
ここで一緒に暮らすんだ…
ここにいればお父さんの病気も治る…
お姉ちゃんも…舞も…舞も…舞も…
shake
ま~い~も~~~~~~~~
shake
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私は降りおろされる鉈を見ながら意識が途絶えるのを…
………
……
…
にゃ~!!!
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間に合ったかにゃ?
ギリギリかにゃ?
人間は愚かだにゃ…
何で異界に入って気がつかないかにゃ?
舞ちゃんはわたしゃの餌係として大事なんだからにゃ…
まったく…
困ったもんだにゃ…
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誰かが私の顔をなめる…
そして私を呼ぶ声も…
「舞ちゃん…起きなさい?」
「舞ねーちゃん?デパート行くよ~」
にゃー
にゃー
にゃー
私を呼ぶ声…私が望んだ声…私を助けた声…
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私は家族とデパートにいる…
お父さんの『父の日』のプレゼントを買う為に…
私と駿はお小遣いを貯めてネクタイを買った。
喜んでくれたら嬉しい。
先ほどの夢は何だったのか…
私の腕や脚に『ぽんた』に引っ掛かれた傷が無数についていて絆創膏だらけ…
お母さんには『ぽんた』と喧嘩でもした?
と笑われた…
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あたしゃは頑張った…
物凄く頑張った…
異界の家族は親父さんに皆…殺された…
精神疾患から狂ったらしい…
本来なら『舞』はいなかった…
親父さんが『舞』を望み…
引きずりこんだ…
馬鹿な親父さんにゃ…
まあ、これで餌の心配はなくなったにゃ~
『舞』には絆創膏位は我慢してもらう…
にゃ?
作者まー-3
深山さん…
無理でした…
あと、色々な方々…無許可で画像使いまくりです。
すいません。
ちなみに各所の『にゃ』は間違いではありません。
故意です。
『にゃ』一回に舞ちゃんの傷は増えております(笑)