短編2
  • 表示切替
  • 使い方

隣の部屋の人

何年か前の出来事。夫、私、息子、娘の4人家族の私たちはアパートに住んでいた。

そこで起こった奇妙な出来事のことを書こうと思う。

nextpage

先に言っておくがこの話は直接姿を見たものではないのでそこはお見知り置きを。

このアパートに引っ越してきたときは隣の家に人が住んでいるときいていた。

私たちの部屋は鍵をかけているのに何故かよく開いていることがあった。

nextpage

ある日、雨が降っていて私の夫が私より先に仕事が終わり家に帰った。

そこで奇妙なものを見たと言う。

足跡が私の家の前にあり、帰った足跡が無い。

つまり入ったのに出ていないのだ。

nextpage

鍵も開けられていた。

家の鍵を持っているのは夫と私の2人だけだ。

もちろん合鍵でも作らない限りいかなるものでも家の中に入れるはずがない。

よって家の鍵を開けることはできない。

nextpage

なのに、開いているのだ。

夫は自分が家に入る前には既に開いていたという。

nextpage

そんなことがあってから何ヶ月かしたとき。

私は家族全員で遊びに行った。

もちろん鍵をかけて。

nextpage

家に帰り着いたときは鍵は開いていなかった。

さらに足跡もなかった。

しかし。

nextpage

押入れの屋根裏につながるハッチなようなものが少しずれていたのだ。

風でずれたとは思えない。屋根裏だから。

nextpage

誰かが触らないと動かない。

その後、夫が元に戻しても何度もずらされていた。

私「屋根裏のやつ触った?」

夫「触って無いよ。」

今考えると夫が触るはずもないのにそのときは聞いてしまった。

nextpage

私たち家族は夫が帰宅するまで下で待っているときにふと上を見上げるとカーテンの隙間から豆電球だろうか、明かりが漏れていた。でも物音一つしない。

何日か後不動産屋さんに隣の人の姿は見たことあるのか?と聞かれた。

nextpage

隣の部屋はというと家賃は落とされているのだが、

なぜか水道と電気は止まっていた。

まるで生活感が無い。とても人が住んでいるようには思えない。

nextpage

でも確かに誰かが住んでいる。

ベッドが部屋の隅にあり、そこから壁を介して隣の部屋につながっている。

nextpage

さらに時々、夜寝ていると異臭がしていた。

人の死臭なのかなにかが腐って発生した臭いなのかはわからない。

私がこのアパートに来てから引っ越すまで隣人の姿は一度も見たことが無い。

ハッチがずれていたことや、足跡なども誰のものなのかわからない。

nextpage

足跡...。あれは隣人のものだったのだろうか?

ハッチを開けて屋根裏で私たち家族を監視していたのだろうか。

あの異臭は何だったのか...。

未だにわからない。

nextpage

身の毛がよだつ出来事だったが何もされなかったのが不幸中の幸いだ。

そして間も無く私達は引っ越した。

Concrete
コメント怖い
1
3
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ