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長編9
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オーバーオールのうさぎ

これは、私と兄が小学生の時に体験した話です。

文才がなく長くなると思うので、お暇でしたらお付き合い下さい。

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確か、小2か小3頃の夏に祖母の妹続柄で言うと大叔母でしょうか??の家に遊びに行くことになりました。

その日は、母方の祖父母と叔父(母の弟)と兄と私の5人が叔父の運転する車で遊びに行きました。

大叔母の家には長女のあっちゃん、長男のけんくん、次女のよっちゃんの3姉弟がいました。

私たち兄妹とは年が離れているのと、お正月や不謹慎ですが葬儀の時など、何かしらがない限り個人的に会おうとしなければ顔を合わせる機会が無いため、正確に何歳離れているのかは分かりませんが、当時の私たちからしたら中高生くらいだった印象があります。

3姉弟と私たちは家の中で本を読んだり、かくれんぼをしたりして夕飯時まで遊んでいました。

今はそれ程でもありませんが、当時の私はうさぎがめちゃくちゃ好きだったようで母から貰ったお気に入りのうさぎのぬいぐるみをどこに行くにも抱えていました。

もちろん、その日もうさぎのぬいぐるみも一緒に大叔母の家に連れて行きました。

夕暮れ時、もうすぐご飯が出来ると祖母に言われたため、次でかくれんぼを中断しリビングへと向かいました。

夕食時、うさぎのぬいぐるみを隠れていた場所に置いてきてしまった事をふと思い出しましたが、祖母からご飯中は行儀が悪いからぬいぐるみは後で取りに行きなさいと言われ渋々ご飯を食べました。

兄が最初に食べ終わり、その後続々と食べ終わっていく中私だけが最後まで食べていました。

その日は私たち兄妹はお泊まりの予定だったので、順にお風呂に入り遊び始めていました。

私も何とかご飯を食べ終え、お風呂に入り、うさぎのぬいぐるみを迎えに行きましたがどこにもいません。

私『お兄ちゃん、私のうさぎさん知らない??』

兄『知らないよ〜、放ったらかしにしたから山にでも逃げたんじゃない??笑』

あっちゃん『どんなぬいぐるみだっけ??』

私『白いうさぎで、首に赤いチェック柄のハンカチしてて、肩の所でボタンパッチンってやる青いズボン履いてるの…』(当時はスカーフとオーバーオールという名前を知らなかったため、身振り手振り交え曖昧な表現で伝えました)

家中探し回りましたが、結局うさぎのぬいぐるみは見つからず、もしかしたら先に帰った祖父母たちが持って帰ったのかもということになり、その日は泣きながら寝ました。

ただ、探している最中なぜか兄とけんちゃんがニヤニヤと笑っていたのを覚えています。

翌朝、お昼ご飯のあと家に帰る予定だったため先に身支度をし朝ご飯を食べました。

ご飯中に何かが焼け焦げる臭いがし、火事かとあたふたしていたら大叔母の旦那さん(大叔父??)が裏庭にある焼却炉で落ち葉を燃やしているとの事でした。

その時も兄とけんちゃんが顔を見合わせながらニヤニヤと笑っていました。

帰りは駅まで大叔父が車に乗せてくれ、そこからは兄と2人で電車に乗る予定でした。

自宅の最寄り駅までは乗り換えが1度ありますが、乗車時間もトータル30分程の距離というのと何事も経験と教えられてきていたため、小学校低学年ではありましたが、電車で帰ってきなさいと言われていました。

駅につき、大叔父に挨拶をしていざ電車に乗り込もうとした時、兄が突然立ち止まりました。

私『お兄ちゃんどうしたの??電車行っちゃうよ??』

兄『いや、次の電車に乗ろう…』

なぜかか細い声で一点を見つめながらそう言いました。

駅員さんに○○駅に行くには次はどれに乗ればいいのかを聞き、その電車を待ちました。

10分ほどで次の電車が来て、それに乗りましたが兄の様子が変で朝ご飯食べすぎてお腹が痛いのかと思い声をかけますが、

『見てる』『そんなはずはない』

としか言いません。

ボックス席に座っていたため、向かいにいたおばあさんも心配して声をかけてくれたのですが、それでも同じ言葉の繰り返しです。

急行に乗れば次の停車駅で乗り換えでしたが、1本見送って電車に乗ったため各停だったようで、乗り換える駅まで4駅挟みました。

ある駅で停車して、あと3つだねなんて幼いながらに兄を気遣おうと話しかけますが、兄は窓の外を見て車内にも関わらず大量の汗をかいていました。

ただ事ではないと思ったのか、向かいのおばあさんが次の停車駅で自分が降りる際に駅員さんに声をかけたようで、3駅目で降ろされました。

その時は、真夏だといつのに肩を震わせ歯をガタガタとさせていました。

駅員『僕、お腹痛いとか頭痛いとか、どこか具合悪いのかい??』

兄は首を横に振るだけでしゃべろうとしません。ただ、一言だけボソッと

『アイツが見てる』

そんなような事を言ったのを私は聞き逃しませんでした。

私『お兄ちゃん、誰が見てるの…??』

兄はただただ泣き続けました。

それを見てなぜか私も怖くなり一緒に泣きました。

困り果てた駅員さんは私に家の電話番号を聞きその時家にいた叔母(母の妹)に現状を伝え、叔父が車で迎えに来てくれました。

その日の夜、私と兄に何があったのか説明しなさいと母に言われましたが、私には兄に何があったのか分からないため知っているところまで話し、あとは兄が話し始めるのを待ちました。

思い出し泣きしていた兄がついに口を開き話し始めました。

兄『最初はアイツが電車の中からオレを見てたんだ。だから○○(私の名前)に次の電車に乗ろうって言った。』

母『それで??』

兄『それで違う電車に乗ったのに、次の駅でアイツがオレを待ってたんだ!!』

泣き叫ぶ兄を見かねて母は最後に

母『分かった、それから先のことは聞かないけどアイツっていうのは誰なの??お母さんの知ってる人??』

兄『みんな知ってる。』

最初は意味がわかりませんでした。

みんなが知ってるけど兄がこんなになるほど怖い人物など私は知りません。すると兄が続けます。

兄『…ぎの……ぐ…み………』

母『なんて言ってるのか分からないよ。』

兄『○○(私の名前)が持ってたうさぎのぬいぐるみ!!!!!!!!!!』

泣きながら、しかしキレ気味に叫んだのはなんと、無くなったと思った私のぬいぐるみだと兄は言いました。

そこからは兄は泣きじゃくり話どころではなくなったため、きっと疲れて幻覚でも見たんだとその話はお開きになりました。

翌日、大叔母から電話があり何かと思ったら私のぬいぐるみが焼却炉から出てきて、大叔父が気付かず落ち葉と一緒に燃やしてしまったという謝罪の電話でした。

ぬいぐるみは買えばいいよと、母たちと話しその時の会話は終わりました。

ただ、何故ぬいぐるみが焼却炉から出てきたのか分かりません。

ただ、兄への恐怖はこれだけでは終わりませんでした。

そして、その恐怖に私も巻き込まれるなど思ってもいませんでした。

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それから数週間経ち、ぬいぐるみへの未練もなくなり、あの電車での出来事を忘れかけていた頃、ある事件が起きました。

夏休みが開け学校から帰ると、家には誰もいなかったようで鍵がしまっていました。

私は母子家庭で母の実家に住んでいたので、家には必ず誰かしらいるため、いわゆる鍵っ子ではありませんでした。

しかし、急用で不在になってもいいようにと兄だけは鍵を持っていたので、私は兄の帰りを家の前で待つ事にしました。

やっとの事で帰ってきた兄と家に入り、私は宿題兄はゲームをしている時

『ピンポーン』

誰かが来ました。

特に地域の治安が悪いという訳では無いですが、知らない人からの電話や来訪は出なくていいと言われていました。

モニター付きのインターホンを見ると誰も映っていません。

私『お兄ちゃーん、ピンポン来たのに誰もいないよ〜』

兄『じゃあ無視しとけば〜』

なんていう会話を交わし、私はまた宿題を始めました。

しかし、そこからは数分起きにインターホンは鳴り、その度にモニターを見ますが誰もいません。もしかしたら兄の友達がイタズラでピンポンダッシュをしているのかもと思い無視し続けましたが

ジリリリリリリリリリリリリリリ

突然鳴り響く大きな音に驚き、急いで外に出ようとしましたが玄関の扉が開きません。もちろん鍵を開けてからドアノブを回していますがどれだけガチャガチャと回しても開かないのです。

私『お兄ちゃん、ドアが開かないよ!!』

兄『ンなわけあるか!!』

そう言い兄もドアを開けようとしますがやはり開きません。

そんな時

『ピンポーン』

こんな時に誰が来たのかとモニターを見ると、そこにはメラメラと燃え上がる炎だけが映し出されていました。

これでは外に出てもそこから先は進めず、また家も戸建てではなくマンションの7階だったため、逃げ道は玄関の扉しかありません。

どうしようかと兄と2人で泣きそうになりながら、とりあえず大声で叫べば誰かしら来てくれると思い家の中から叫び続けました。

『ピンポーン』

家の前は燃えているにも関わらず鳴り響くインターホンの音。

恐る恐るモニターを見るとそこには…

何と"アイツ"が映っていました。

『やぁ、ひさしぶり。ボクのことおぼえてる??』

私たちは恐怖で声も出ず、またその場から動くことも出来ず、それでもモニターに映し出されている"アイツ"から目が離せませんでした。

『ボクだよ、あのひ、もやされたうさぎだよ。どう??あついでしょ??ボクもね、あのひあつくてあつくてたまらなくて、タスケテってきみたちみたいにさけんでたんだよ〜』

『でも、だぁ〜れもボクのことみつけてくれなくて、けっきょくもえちゃったんだぁ〜』

『だから、キミたちもボクとおなじにしてあげようとおもって。…○○(私の名前)ちゃん、これでずぅーっといっしょにいられるね。』

"アイツ"はニヤリと不気味に笑いながらそう言いました。

兄は《やっぱりいた》《見間違いじゃなかった》そんな言葉を繰り返し放心状態。

私はどうしたらいいか分からず泣くだけ。

そんな時、家電に電話があり見ると祖母からでした。これでおばあちゃんに助けを求めようと電話に出ると、無事か、今おじいちゃんが消火器持って火を消してくれるからと言ってくれました。

なんとか消火してもらい、祖父が家の前で燃え尽きた"アイツ"を持って家に入ってきました。

それを見て確かに数週間前に大叔母から焼却炉で燃やしてしまったという話を確かに聞いたはずなのに、なぜ家の前で燃えていたのかと気味悪がっていましたが、とりあえずは私たちが無事でよかったと言って念のため病院に連れて行かれました。

モニター越しに見た炎は大きく見えたものの、さほど広がってはいなかった事と、家の中にいて玄関から少し離れていた事が幸いして、火傷も怪我も煙を吸うこともなく、何ともなかったようでそのまま家に帰されました。

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その後のことは当時は聞かされておらず、こちらは後日談なのですが、火事のあった日の翌日昼頃、祖母から母に火事のこと、アイツが家の前で燃え尽きていたことを話してくれたようで、今はもうしていませんが、当時はお水の仕事をしていて、そこのお客さんで霊感のあるという方からお祓いをしてくれる方を紹介してもらい、燃え尽きたアイツを祓ってもらったそうです。

今ではもう出てくることもないですが、今でもあのモニターに映る不気味な笑みをしたアイツの顔を忘れることが出来ません。

メンタルが強いのか私がアホなだけなのか、または神経が図太いのか、あんな事があってもうさぎ自体を怖いとは思いませんし、近くの地域で火事があったり、そういった場面に立ち会っても当時の事がフラッシュバックするような事もありません。

ぬいぐるみも可愛いなと思えば買いますし、むしろ家には小さな物から大きな物までたくさんあります。

しかし、お店で見て可愛いなと思ってもうさぎのぬいぐるみだけはどうしても買う気にはなれません…笑

あの出来事から心霊体験をよくします。

これはアイツの呪いなのでしょうか…??

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

Concrete
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