【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編5
  • 表示切替
  • 使い方

花をアナタに①

全部、全部全部アイツらが悪い。

私は何も悪くない。

アイツらと出会わなければ、私はこんな事にならなかったのに……

------------

幼なじみの真奈美とは小学校からの付き合いで、中学卒業後は同じ高校に進学した。

1年の時はクラスは別だったけど、2年で同じクラスになれて嬉しかった♪

真奈美は内向的な私とは真逆で、誰とでもすぐ仲良くなれて、男勝りな性格。

自分にはないものを持ってる真奈美を、私は尊敬していた。

1年生の時に出会った澄田亮太くん。

クラスは違ったけれど、何かと目立っていた彼にいつしか惹かれ、夏休みが終わる頃には付き合うまでの関係になっていた。

「杏花はいいな〜、イケメン彼氏がいて。」

「真奈美こそ、亮太くんと同じクラスの子と仲いいって噂聞いたよ?」

「ただ、部活の部員とマネージャーっていう関係で、それ以上のことは何も無いよ(笑)」

「そうなの?好きな人、いないの??」

「好きな人はねぇ……澄田亮太くん!!!」

「えっ?!」

「あっはは、ウ ソウソ冗談だってば(笑)お互い一目惚れで、もうすぐ付き合って1年になる仲は、さすがの私でも引き離せないって!!」

「も〜、そういう冗談はやめてよ〜(笑)あ、そうそう、今日は生徒会の集まりあるから一緒に帰れないんだけど…」

「いいよ、クラスで待ってるからさ♪」

「ありがとう、終わったらすぐ行くから!!」

真奈美はこんな冗談言ってくるけど、亮太くんの事好きになったって相談した時は親身になってくれて、付き合うことになった時は自分の事のように喜んでくれた。

その日の委員会は夏休み前という事もあり、書類の整理や明けにある文化祭の経費の確認等でかなり忙しかった。

「あー、委員会やっと終わった〜。真奈美、さすがにもう帰っちゃったかな?」

外を見るともう日が暮れかけていた。

念のため真奈美にLINEしたが既読がつかない。

何かあったのかと私は駆け足気味に教室に向かった。

教室には真奈美の姿があったが、誰かと話しているようだった。

よく見るともう1人は亮太くんのようだ。

私たちが付き合うようになってから、3人でお昼ご飯を食べたり、休日に遊びに行く事だってあったから、2人が仲良さそうに話していても違和感はない。

でも、その時の2人の姿には違和感しかなかった。

(何で、亮太くんの膝の上に真奈美が乗ってるの…)

真相を確かめようと扉に手をかけたが、真実を知るのが怖かった。

私は黙って先に帰った。

夜、真奈美から『何で先帰っちゃったの〜??ずっと1人で待ってたんですけどー😡』とLINEがきていたが無視した。

(亮太くんといたのに1人で待ってたって、やっぱりそういう事なのかな…。)

翌日、真奈美といつも待ち合わせしているところには行かず、1人で登校した。

「ちょっと杏花!!何で何も言わずに1人で行っちゃうわけ?!昨日も今日も酷くない??」

「酷いのはそっちじゃない!!!!!!!

私が何も知らないと思ってるんだろうけど、昨日の事だって……嘘つき!!!!!!!」

これが最初で最後の真奈美とのケンカ。

この出来事以降、真奈美とは話さなくなった。

ある日のお昼休みに

「杏花、何で真奈美ちゃんとケンカしちゃったの?」

そう亮太くんに聞かれた時は、怒りや憎しみよりも悲しさが勝った。

「亮太くん、私に隠してる事あるよね…?」

「隠し事??してるわけないじゃん。」

「昨日、真奈美と2人でいたよね…?」

「えっ、あぁ、確かに2人でいたけど、ただ杏花の委員会が終わるのを待ってるって言うから、1人じゃ可哀想だと思って一緒に話してただけだよ?」

「それだけなのに、真奈美を膝の上に乗せる必要あったの…?」

「そ、それは……」

「私が知らないと思って2人して嘘ついて、私が2人に何したっていうのよ……」

泣きながらそう問いかけた。

実際、2人に何かした覚えはないし、真奈美は嫌なものは嫌だとはっきり言ってくれる。

亮太くんにだって、付き合ってから今までひどい態度をとったり、他の人と違う態度で接したことはない。

「今、真奈美も呼んだ。本当のことを話すよ。」

今まで付けていた"ちゃん"がない事で私は察した。

数分後に真奈美が来て、これまでの事を話された。

亮太くん曰く、一目惚れしたのは私ではなく真奈美に対してで、私と付き合ったのはただ、真奈美に近づくためだったという。

2年になる前に亮太くんは真奈美に想いを告げたが、最初は怒鳴られたらしい。

でも、その日から毎日のようにアタックして、真奈美もとうとうその熱意に負けたという。

あとから聞いた話では、真奈美も亮太くんに一目惚れしていたが、先に私が好きだと相談したから断ったんだって。

よくある恋愛小説か昼ドラのような展開に私は、涙すら出てこなかった。

「正直、杏花と付き合っている時も楽しかった。一目惚れの相手は真奈美だったけど、でも、俺のためにお弁当作ってくれたり、笑顔で手を振ってくれる杏花を本気で好きになっていったのは事実なんだ。だけど、やっぱり大人しすぎた…かな。」

所詮は男。

手を繋ぐだけの関係は無理だったという。

初めて好きになった人。

初めて付き合った人。

初めて手を繋いだ人。

亮太くんは私にいろんな初めてをくれた人だったから、だからこの瞬間を大切にしたいと思ってたのに。

「杏花とは付き合ってるのに手しか繋いでもらえなかった。でも、真奈美はキスもしてくれたしS〇Xだってしてくれた。俺が求めてるものはそういう関係なんだよ!!!」

初恋の人からそんな事、それ以上の事は聞きたくなかった。

「分かった、もういいよ。私が縛り付けていたんだね。もう、2人には関わらないから。」

「待って、杏花待って!!!!私がいけないの!!!杏花の気持ちを知っていたのに、私が自分の欲に勝てなかったのが…」

「さよなら。」

それだけ言って去った。

後ろで聞こえるのは真奈美の泣きじゃくる声だけ。

あっという間に冬が来て、もうすぐ3年生になろうという時、私は父の仕事の都合で転校することになった。

続く

Normal
コメント怖い
1
3
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

初めまして(^-^) 今のところ怖くないけど今後の展開がめちゃくちゃ気になります。
自分も今月から書き始めましたが、やっぱり読む方が面白いですね。(笑)
それに続きものを書けるなんて凄いです!自分には出来ないかもしれませんが今後の為に勉強させて頂きます(/ω\)  
自作はいつ頃の予定でしょうか? 期待しております!

返信