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中編3
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深夜

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これは10年程前友人が体験した話です。

その頃大学生だった彼はよく飲み会に参加し終電で帰る時や、終電を逃す時があったそうです。

その日も終電帰りとなったらしいんですが、気づいたら寝てしまっていたらしいです。

駅員さんに起こされたそうなんですが、降りてから全く知らない駅だと気づいたそうなんですね。

周りを見渡しても畑か山か閉まっている店か…

とりあえず、駅名を確認しようと思ったらしいんですが、駅名が酷く汚れていて読めなかったそうです。

次に線路図で自分が乗った電車の終着駅を調べたそうです。

すると多分ここかな?って駅を見つけたそうなんですが、こっちの方向へは来る事も全く無かった為、帰り方がわからなかったそうです。

知ってる駅までは5駅程で遠いですが決して歩けない距離でも無さそうでした。

そこで本当はダメなんですが、彼は酔っていた勢いもあり線路の上を歩いて帰ろうとしました。

その頃はガラケーで今みたいにグーグルマップ等も無く、線路の上を辿ればいずれ着くだろうと考えていたそうです。

30分程歩いているとトンネルに差し掛かりました。

最初、正直入りたくないなぁ…と思ったそうなんですが、ここまで歩いて来て戻るのもどうかと思いそのまま入っていったそうです。

まぁ、案の定とても薄暗く、携帯のカメラのライトを使って少しずつ進んで行ったそうです。

そして歩き始めて少し経った頃…5分か10分か…そんなに時間は経ってなかったそうなんですが、前から複数の足音と、懐中電灯のような明かりが見えてきたそうです。

彼は咄嗟に「やべっ…怒られる…」と思い偶然横の壁にあった窪みに身を隠したそうです。

ジャリ…ジャリ…

複数の足音が明かりと共にゆっくり近づいて来ました。

ジャリ…ジャリ…ジャリ…

彼はしゃがんでいたので最初足元が見えたそうなんですが、ブーツの中に作業着を入れており、おそらく鉄道会社の作業員の方かな?と思ったそうです。

似たような服装の人が2人…3人…4人…

どんどん歩いて来たそうです。

5人…6人…7人…

さすがにおかしくないか?となり、彼はふと前方を見上げたそうです。

すると、彼ら作業員の顔は火傷をしたように酷く爛れており、この世の者とは思えない形相だったそうです。

思わず声を上げそうになりましたが、グッと堪えその何かの集団が過ぎるのをジッと待ったそうです。

何秒なのか、それとも何分なのか…気づけばその何かの集団は居なくなっていました。

ホッとした彼はこれ以上先へは進めないと思い来た道を戻って行こうとしたそうです。

そして、線路へ一歩足を踏み出した…その瞬間でした。

踏み出した彼の足を無数の手がいきなり掴みかかって来たそうです。

・・・・・・・!!

声にならない声を上げ彼は薄暗い中必死に来た方向へ走ったそうです。

そしてトンネルを抜け、最初の駅へ戻った彼はそこにあったベンチで朝が来るまで待つ事にしました。

だいたい深夜の2時半頃だったそうです。

ベンチに腰掛けボーっとしていると、サァーっと風が出てきたそうです。

少し肌寒さを感じ身震いした時でした

後ろからすーっと皮膚の爛れた顔が現れ、耳元で囁いたそうです。

「ドコヘイクンダイ…」

その場で気を失った彼は、早朝駅員さんに起こされたそうです。

あの場所で過去に何があったのか、あれが何だったのか、何も分からないそうですが…

今でも彼の脳裏にはあの掠れた声が残っており、フッとした時恐怖を感じる事があるそうです。

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