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私が見た夢の話❂知らない友達

中編7
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私が見た夢の話❂知らない友達

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 今日もまた、私が見た夢の話を綴っていこうと思います。

 友達って、人って、女って、怖いですよね。一緒に笑い合っておきながら、裏では嘲笑ってその人の悪口を言う。

 そういうのって、凄く、悔しいですよね。

 でも、悪意を行動に起こされるよりは、まだ悪意をもたれる方が、いいと思いませんか?

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 私は、女子高校生を見ていた。

 四人組で、それぞれ「親指姫」「白雪姫」「眠り姫」「シンデレラ」と呼び合っていた。

 女子高校生って、違うだろう。何か、違うだろう。もっとこう、可愛らしい名前というか、いやまぁ、可愛いんだけどな、普通にあなた達可愛いんだよ?ただ、こう、なんと言うか、とりあえずその御伽噺チックな名前本名じゃないだろ、というか本名だったら両親どんな名前つけてんだよ、お姫様だったらなんで高校の制服着てんの!?しかも膝丈とか童話だったら凄い破廉恥!とツッコミが渋滞していた。

 しかし、しかし。その呼び名は彼女たちの本名らしかった。

 放課後、すれ違う人々が彼女たちのことを「親指、こんどデートしようぜ!場所?あ〜、御伽噺町のとこの映画館、日曜日に十一時!時間厳守な!」だの「白雪〜、ひっさしぶり〜!元気してた?」やら「眠りん、授業中寝てた罰のトイレ掃除終わったの?」とか「おお、シンデレラ!この間は先生の手伝いをしてくれてありがとうな!」などなど、声をかけていた。

 って親指とかいうやつ、リア充かよ!リア充爆発しろ!というか眠りん?は眠り姫という名前のとおり、眠るのが通常装備なんだな……。

 そして、会話をしている彼女たちを見ている途中に気がついた。「私」は白雪なのだと。というか、何で私空から自分を見ているんだ、いや、これが通常装備か。周りの皆は、目で見ているけれど、私は空から見ているからな!

 ……いや、違う!絶対、違う!……え、何?幽体離脱?っていうか私、凄い明るいけど私インキャだし、見た目もそんなに美少女じゃないし、けど私って……は?何?

 さっきまで暢気に見ていたはずの景色が、唐突に恐ろしく見える。怖い。どうして。私はあの子を私だと認識した?……けれど、私だ。全てが違っても、あれは私だ。身体は違えども、何かが違う。私、何だ。

 そう見ていると、白雪が私を見た。ふっと、何ともなしに、顔を上げたわけではない。

 私を、見ようと顔を上げたんだ。そして、私を見て。唇を歪めた。友人に見せる可愛らしく爽やかな笑顔ではなく、いやらしく、自慢をするような。そう、表すならば。「ざまあみろ。」だろうか。だが、私は他人に嫌われるようなことをした記憶はないし、「ざまあみろ」なんて言われるようなことをした記憶もない。なのに、親の敵を見るような目で、私を見た。

 何、これ。あなた、誰よ。そう、言いたかった。けれど、私だ。彼女も、私だ。双子とかそういうことじゃない、私自身なんだ。二重人格とかそういうわけじゃないだろうし、何なんだろう。

 そして、顔を下げて友達と一緒に踵を返す。あの子たちも、友達じゃない。何も知らない。誰?……ふわりと翻った白雪の漆黒色のセミロングの髪を見て、思う。私は水泳で脱色した茶色がかった黒のふわふわした、ショートボブの髪をしている。完全に、違う。私じゃない。なのに、何で私なの?私だと思うの?

 また、あの子が私を見た。でも、彼女は特に表情も変えずに顔を背けた。不快感を表すように。

 ああ、私は「また」彼女の中から消えるんだ。そう、思った。けれど、私は二重人格じゃない。じゃあ、何?

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 彼女たちは、ショッピングモールで買い物をして、眠り姫の家で泊まることにした。私と眠り姫の家は隣だから、別に家に帰る必要はない。ただ、親指姫とシンデレラは十分くらい離れているところに家があるため、一度家にお泊りセットを取りに行くらしい。

 二人で駄弁りながら家に入り、眠り姫の部屋に入り、眠り姫がお茶を入れてくると席を立ったところで、ふと、違和感を感じた。

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 え?これ、何?私は手を動かす。すると、「白雪」の手が動く。髪に触れる。セミロングの、漆黒の髪だ。

 どうやら私は、「白雪」の中に入ったらしい。じゃあ、白雪の中にはいっていた「私」はどこにいったの?きっと、私みたいに空中を漂っているのだろう。そう考えて、ぐるりと部屋を見渡す。うん、青系の色でまとめられた爽やかで少女らしさを感じさせる、可愛らしい部屋だ。そこの水色から青へのグラデーションがかかったシンプルなカーテンの裏にでも隠れているのではないかと思って、カーテンをめくる。では、地中に埋まっているのではないかと、空色のカーペットをじーっと眺める。生活感を感じさせない、埃や毛の一つも落ちていないカーペットだ。

 やけに綺麗だなぁ、と思う。さっきも言った通り、カーペットには埃や毛はついていないし、本棚には……って、これ問題集ばっか!?いやぁ、真面目だなぁ。ベランダ沿いに本をおいておくと、冬とかには結露がついて本が臭くなるっていう悲しい現象が起きるのだけれど、そんなこともない。……あれ、角度的に夏なら太陽の光があたって本の背表紙だって焼けて色が茶色っぽくなるのに……。まるで、今日昨日にこの部屋を用意して、物をおいたような……。

 人の足音が聞こえて、元いた場所に座り直す。

「あ、白雪ちゃん、待った〜?」

その暢気でちょっと眠たそうな声に、思わず気が緩んでちょっと笑ってしまった。私はちょっと笑いながら、眠り姫に返事する。

「ううん、全然待ってないよ?」

「そう?よかった〜。あ、はい、これお茶。これがお母さんと昨日作ったマドレーヌね。どうぞ!」

 それはすごく美味しそうな、貝殻の形をしたマドレーヌだった。普段からお菓子を作るのが趣味の眠り姫の作るお菓子は本当に絶品だ。何気に眠り姫のお菓子を食べるための裏取引もされているとかされていないとか……。

「うっわ〜、おいしそ〜!」

「よく味わって食べてね!」

 何か含みのある台詞に違和感を感じる。どういうことだ?何か、あるのか?

「?うん。……あ〜、おいしい!全部食べちゃいたいけど、シンデレラと親指のぶんも残しておかなくちゃ……。」

「ううん。大丈夫だよ。だってそれは………………白雪ちゃんのためだけに作ったんだから!」

「え?」

「……ふふっ。それね、即効性の痺れ薬を入れてるの。あ、入手経路は秘密ね☆」

 お菓子を食べる手を止める。え?そんなはずが。私と眠り姫は、小学校からの親友で。仲が良い、はずなのに。何で?

 いいや、ひょっとしたら、ほら。悪戯で…………んなわけないな。……あ、手が、自由に動かせない。本当に、薬が……?うん。何を、されるのだろう。だから、聞いてみる。口も満足に動かない。

「何、のために、わた、し、に毒、を……?」

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彼女は笑う。嘲笑う。ぼんやりと頭の隅で可愛いなぁ、と思う。そして彼女は、嘲笑いながら言った。心底楽しそうに。嬉しそうに。

「そんなの、白雪ちゃんを殺すために決まっているでしょう?」

 だろうなぁ。予測していたとはいえ、恐怖に身体を強ばらせる。

「だぁいじょうぶ。安心して。痛みなんて感じないくらい一瞬で、殺してあげる☆」

 唐突に右脇の下、胸の横あたりに包丁を突き立てられる。いや、何故にそこ。それを見ぬいたかのように眠り姫は笑う。

「う〜ん、まぁ、説明してもいいんだけど、物語の悪役ってさ、だらだら喋ってる間にヒーローが来て殺されちゃうからさ、私、悪役になりたくないんだよね。……ああ、親指ちゃんとシンデレラちゃんもあとから来るから、安心して☆」

 そう言われ、手に力を込めて眠り姫ちゃんは握った包丁を私の身体に突き刺さした。

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 痛くて痛くて仕方がなくて、意識が遠のいていって、涙を一筋流した瞬間、眠り姫ちゃんは呟いた。

「さようなら、『私』

 ……これで私は、悪役にならずにすむのかな?

 ……ごめんね、『私』。」

 そんなこと言われても、貴女を許したくない。そう、声に出さずに呟いた瞬間、眠り姫の顔を見ると、涙が一筋、流れていた。

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 以上で私が見た夢の話、終わりです。

 これ、小学校五年生のときに見たんですけれど、このとき人間関係がかなり複雑で……学年中がなんと言うか、恋愛臭がする空気だったんですよね……あれは、恋愛感情とかない私にしてみれば結構苦しかったですね……。

 それにしても私、人間不信にでもなっていたんですかね……友人に殺される夢を見るとか、どんな小学校五年生ですか。

 何故か部屋のカーテンやカーペットについて掘り下げてしまったのは、生活感がないっていうのがやけに気にかかったんですよね……。結局なんだったんでしょう。

 あとマドレーヌが嫌いになりましたね。何で痺れ薬を入れたし。美味しかったのに!美味しかったのに!普通に、もっと食べたかった!

 あと眠り姫ちゃんの最後の意味深発言が分かりませんね……。私が見る夢って、「私」が二人いるパターンが多いんですよね。だから映画を見ているような感じで見ていられるんですよ。でも、死ぬ瞬間だけは自分が体感するので、かなりキツイですね……。

 それでは最後まで読んでいただき、有難う御座いました。

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