これは、私が小学校三年生のときに体験した話です。ちょっとばかり、不思議な出来事があったんですよ。そこまでパンチの聞いた話でもないため、その点ご了承ください。
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私は学校で、掃除をしていました。私の担当は、教室の掃き掃除で、その時は丁度雑巾がけ担当の子がやっていたので、掃き掃除の子は友達と雑談していました。数少ない友達は別の掃除担当だったので、ぼーっと教室の隅の方に立っていました。
ところで、私の教室には一つ、余っている机がありました。三年生になって初めて教室に来たときからずっとありましたし、うちのクラスに在籍する予定のはずの子が転校した〜、なんて話も聞いたことがありません。なのに、誰もそのことについて触れていないのです。私もどうしてか、触れてはいけないような気がして、黙っていたのです。いや、正直言ったらどうでもよくて触れていないのかもしれませんが。
私はちょうど、教室の隅にあるその机の前に立っていました。突然、立っているときにふらりとしたため、しゃがみこみました。そして、ふっと、目の前の机を見ました。すると、その机には「たすけて」と、書かれていました。
手でなぞると、凹凸を確かに感じられました。ただ、彫られているところは机の天板ではなく、横の鉄の部分。明らかに彫刻刀でほったもののように感じられませんでした。彫刻刀を購入するのは小学校四年生からだったと思いますし。針金でガリガリ削ったのでしょうか。小学校六年生の机にはよく、彫刻刀で自分の名前などを彫る人はよくいますが、小学校三年生の机にたすけて……小学校六年生のものだとしても何故、「たすけて」と彫ったのでしょうか。
そう、心に疑問を抱きながら、五時間目の授業を受けました。算数の授業で、正直言ってつまらなかったのですが、授業中ずっとずっと、私の頭の中に声が聞こえるのです。想像でもなく、頭の中に否応なしに響くのです。
「ごめんなさい。ごめんなさい。もう、叩かないで。殴らないで。蹴らないで。言うこと、聞くから!嫌だ!嫌だ!ごめんなさい、ごめんなさい。誰か、誰か助けて!!」
いや、私が助けてもらいたいんですけど。五月蝿いんですけど。っていうかあなた、何されてるんですか。え?虐待?虐待か何か?それに、途切れ途切れに、「お母さん」という単語が聞こえる。虐待、かぁ……。
そうぼんやりしながら授業を受けていましたが、授業中、ふっと、その叫び声が聞こえなくなったのです。
結局、何だったのでしょう。誰かに話してはいけないと、何故か私でない誰かが強く、呼びかけているようで。今まで、誰にも話していなかったのですが、それから何年かが立ち、その感情が唐突に掻き消えて、なにか不安を感じたため、こうして綴らせていただいた次第です。
皆さんは何故か、分かりますか?
作者久間莉衣亜
どうも、久間莉衣亜です。
予知夢やらデジャブ、自分が死ぬ夢、幽体離脱くらいしか体験したことがなかったのですが、私にしては珍しく謎の出来事になりました……。
ちなみにその後は普通に家に帰って宿題して寝ました。
結局、何だったんでしょうね。