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短編2
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コードブルー

私が研修医の時の話です。

その病院では「コードブルー」というのが主に患者の急変と院内で手の空いている医師の集合を呼びかける隠語でした。

例えば全館放送で

「コードブルー、コードブルー、A病棟お願いします」

の場合、A病棟で患者の急変があり、医師の応援が必要、という意味です。

その日は朝の勤務時間開始直後に

「コードブルー、コードブルー、救急室お願いします」

とあり、私は研修医ではありましたが救急室にかけつけました。

コードブルーがかかるとかけつけた医師などで、現場は混雑します。

急変している患者は20歳過ぎの女性で救急車で運ばれたばかりでした。

症状は、よく原因がわからないが呼吸が止まりそう、というものでした。

半分眠ったように意識がぼんやりとしていて呼吸が浅く弱くなり、止まってしまう、

強く呼びかけると思い出したようにハァハァ激しい呼吸をするが、しばらくすると再び呼吸が止まってしまう、

放っておくとSpO2という血中酸素の濃度が低下して死んでしまいかねない状態でした。

緊急で各種検査をしましたが特に異常な結果はありませんでした。

付き添いのお母さんに事情を聞くと、

前日の夜友達と関西のとある心霊スポットに行っていた、

深夜に帰ってきてからずっと「怖い、怖い」と言っていて、

お母さんと同じ布団で寝ることにした、

朝方意識がぼんやりしていて呼吸の様子がおかしかったため、救急車を呼んだ、とのことでした。

原因不明でしたが、まずは救命を最優先とするため、

気管挿管と人工呼吸を開始しました(機械の力で呼吸補助を行う治療)。

これによってとりあえずは呼吸は保たれ、命は守ることができたため、コードブルーは解除されました。

ただこの救命処置の最中、私を含めたくさんの医療スタッフが異様な声を聞いていました。

それは「オラ!」とか「この!」とか医療現場にふさわしくない声です。

そしてその声は、表現しにくいのですが、たくさんの人がせーので言っているような割れた声でした。

誰の声だろう、と医療スタッフを見回してもそんな声を出している人は見当たりません。

声の発生源を探すと、それは女の子の持ち物のかばんから、でした。

個人の持ち物なので、かばんを開けてはいませんが、携帯電話からだったのでは、と思っています。

そして人工呼吸管理がはじまって、とりあえずヤレヤレ、という雰囲気になった時に、

かばんから

「なんで死なねぇんだよ」

と聞こえてきました。

私だけでなく、複数のスタッフがその声を聞いており、救急室は騒然としました。

後日その女の子は回復し、無事に退院しましたが、

結局呼吸異常の原因も、異様な声の正体も不明です。

心霊スポットなんて絶対いかんとこ、と思った出来事でした。

Concrete
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@あんみつ姫 様

はじめまして。丁寧にありがとうございます。
医者をやっていますが、幽霊を見たことは一度も
ありません。
これが唯一の実際に体験した怖い話です。
同僚に話すとみんな怖い怖いと言ってくれるので
ここにも紹介してみました。
話を盛らずにありのままを書いたので
迫力に欠けるかと思いますが。

看護師さんたちからはよく幽霊の話を聞きます。
聞いた話ではありますが、あと2つここに
載せられそうなきちんとしたエピソードがあるので
また書かせていただきます。
よろしくお願いいたします。

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