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中編4
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歌が聞こえる(SとNサイド)

青白い光が眩しく輝いたと思うと、今度はあまりの無音に耳がキーンと痛くなる。

「Sちゃん、これどうなってるの!?」

「 N!?」

なぜか泉のほとりに私とNの2人がいた。

これはあいつが死んでしまってからの、私たち4人の話。

「えっ!?えっ!?どうなってんの!?」

ギャーギャーNは騒いでいる

「Nうるさい!ちょっと待って!!」

制した私に「はい…」とショボンとしたNが黙り込んだ、私達が2人になっていて、泉に、あいつら男達はいない、私はすぐに村の方へと走り、村中を見て回ったが1人もいないのだ、どうなってるんだ?

考えているとNがしゃべっていいですかと言わんばかりに上目遣いで見ているので、どうぞと手を向ける。

「あのね、ここ、多分さっきまでの世界とは違う世界なんだと思うの、ここは精神世界的なものだと思う……。」

さすがオカルトコミュの管理人だ。

こういった事への対応力はかなり頼りになる。それで納得がいく、私が2人に分かれていることもね。

「あら、随分飲み込みが早いのね。」声をかけられる、泉の方を見ると人魚が座っていた、それは髪の長い、すらっと綺麗な身体をしていて透き通るような声をした人魚だった

「あなたはMさん?」

と、聞こうとした私を押しのけNは

「うわぁ!人魚姫だ!!」と駆け寄り人魚と話し込んでいた。

「こらこら、Sちゃんにまた怒られるよ?」

人魚は優しく微笑み、私の方を向いた、

「この世界は自分が思うままに変えられるのよ。」

また優しく微笑む

「だからあなたは人魚のようになってるし、私達は2人になってるのね。」

人がいないのもまだあなた達が誰も求めていないからと説明された。

そして、人魚は指を差す「ほらNちゃん……」

やわらかい声と一緒に彼女の指差す泉のほとりにAが立っていたのだ

「良かったNちゃん!!いなくなったかと思ったよ」と、アホ面全開でAはNを呼ぶ。

Nは何も怪しむこともなく、「良かったA君」

と抱きついていた

「ちょっと待ってよ、あんたMさんだろ!?」

人魚はピクッと私を見る。

「ならなぜあんたは、Yさんといないんだ!?」

私が投げかけると人魚は水の中に飛び込み、どこかへ行ってしまった。

やはり腑に落ちない私はAを捕まえ

「さっき私達消えただろ!?どうなってんだ、そっちは!?」

聞いてみたもののAは、「さあ、わからないよ、とにかくNちゃんも疲れたし帰ろうか?」そう言ってNを連れて行ってしまった

「おい、危ないから離れるなよ!!」

私の声は、彼らには届かないのかようだった。

困り果てた私はとりあえずこの世界から出る方法を考えなくてはと、泉のほとりで1人頭を抱える。

いつまでたっても月は動かないし、夜が終わる気配などない

「どうなってんだこりゃ……」

考えていると近くから嗅ぎ慣れた懐かしい煙の香りがした

「相変わらずニッチもサッチもいかねえって顔してんなぁハハハ」Aの兄貴に当たるあいつだ……

「あんたもAの中から出てきたっての?」

そんな訳は無いことは分かっていた、なぜならさっきのAも偽物、この世界自体が作り物なのだから。

「まぁ細かいことはいいじゃん、久々にこうして2人で会えたんだし」

近づく彼、細かいこと?私はすぐに引っかかった

そして彼は「そんなことより……ずっと触れたがっていた俺がここにいるんだぞ」と近寄り、私は木と彼に挟まれる形になった、近づく彼の懐かしいタバコの香りと温もりに包まれる

彼の目は色気があり、今にも吸い込まれそうになる、唇を重ねようとする彼のスマートさに、私は自分を取り戻す。

確かにあいつは適当なやつだった、ものぐさで雑で、でもAやN、そして私のことは絶対にほっとかないし、守る。

そんなやつだった

気がつくと私の頬に冷たい一筋の涙が流れ、フルスイングのグーパンチをその幻影にぶちかましていた。

「あいつとして私の前に現れるならもっとブッサイクで不器用に現れろってんだ」

自分で言いながら久々に見た彼にドキドキしていたのだと感じた。

ポケットからタバコを出して深く吸い込んで、フーと吐き出した煙は、月と交わってすぐに消える。

こら!N!!帰ってきなさい!!

心の中で強く思うと、左ポケットの携帯が鳴り出した、

「あれ??もしもし??」

電話に出ると、

「こらSちゃん!!あなたのイメージの私ってあんなアホな子に見えてるの!?」

Nが怒っていた、話を聞き、よくよく考えていると、ここはイメージ世界、あのNも私をここにとどめるためのまやかしにすぎなかったのだ

「もう私のこと少しは信用してよね」

Nはへそを曲げている、ごめんごめんと軽く受け直してから

「ではオカルト狂のNさん、ここはどうしますか?」

と尋ねた、彼女は「そうだねー……」と少し考えてから「まず月を消さなきゃダメかも。」といった

でもここは人魚の作った世界、まずはMさんを説得することから始ようとなったのだった。

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