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中編3
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残り物

あるとき、オカルト好きの友人と込み入った話をしていたときの話だ。

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「生き霊って分かるか?」

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そう、訪ねてくる友人。

「そりゃ、まぁ聞いたことはあるよ。

生きた人の感情が幽霊みたいになって、

ストーカーみたいになるやつだろ?」

「まぁ、だいたいそんな感じだな。

あれはな、大体は作り話だ」

「・・・へー」

「・・・んで、それは本物でもある」

「・・・どういうことだ?」

「まぁ、いいから話をよく聞け」

そう言って姿勢を糺すと、友人は語り始めた。

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「まず幽霊ってのは二パターンあるんだ。

まず浮遊霊ってやつだな。

これは、人の霊魂が抜け出たもの

っていわれていて、

移動できるから、色んな場所にいる。

・・・今、お前の後ろにもな」

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・・・・・・。

「ふーん」

「・・・お前、バカにしてるだろ。

まぁいいや、んでもう一つ。

言葉にするなら・・・

痕跡霊ってやつ。

人の感情自体がその場に残ったものだ」

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「痕跡霊・・・。

あと、ってこと?」

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「そうそう、痕跡化石ってあるだろ?

サンドパイプとか、恐竜の足跡とか。

あれを思い浮かべればいい。

例えばある人が、ある場所で車に轢かれたとする。

轢かれる前、もし自分を轢く車が見えていたら強く何かを思ったりもするだろう?

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例えば、

「危ない!」だとか

「なんだっ!?」とかな。

・・・ぶつかられてから「痛いっ」ってのは、流石に思う暇もないか。

んで、そういった強い思いってのはその場所に痕となって残るんだ。

痕は人の形を保ち、その思いを反復する。

驚いた後、轢かれてぶっ飛んだなら、

そのぶっ飛ぶ姿を、延々と、繰り返すだけだ。

他の感情にさらされ、風化して消えるまでな。

だからこそ、痕跡霊は絶対に移動しないし、

一つの動きしか取ることはない。

そこに誰かへの悪意とか何だとか、

そういった意思が、生まれることはない」

「ふーん・・・なるほど」

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「・・・んで、生き霊の話だ」

「あぁ、・・・そういえばそうだった。ちょっと待ってくれよ。

・・・・・・・・・、今の話だと、

生き霊は浮遊霊ってのになるのか?」

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「いや、違うな」

「え?」

「生き霊は痕跡霊だ」

「いや、痕跡霊ってのは動けないんだろ?

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生き霊は本人が離れたところで生活していて、

その想いが、霊みたいに相手の家の中に入ってきたり、つけ回したり・・・夢に出てきたり・・・、

かなり色んな行動をとる・・・」

「・・・・・・」

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「下手をしたら殺されるとかなんとか、

そういった話もあったはずだ」

「まぁ、・・・あるな」

「だから・・・、痕跡霊は移動できないって、

意思もなく、ただ繰り返すだけだって・・・。

部屋に佇むだけの奴が、

意思も何もない奴が

人を殺そうとするわけないだろ、

矛盾してるじゃないか!」

「いや、矛盾はないさ」

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「矛盾以外のなんだってんだよ!

ただ繰り返すことしかできない、ただの、

意思のかたまりが、

一体どうして・・・」

友人は答えない。

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「・・・人にも、その痕ってのが残るのか?」

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「・・・・・・・・・、

難しいな。

痕跡霊は人の感情で上塗りされて、

時間が経てば経つほど、分からなくなる。

だからそもそも感情の塊みたいな、人の本体にそれだけ強い痕を残すのは

あまり現実的じゃないな」

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「現実的って・・・、・・・ならどうやって。

どうして生き霊ってのは、

目線を向ける度に必ず目が合うんだよ!

なんで毎夜毎夜!

俺の、

部屋の中に出てくるんだよッ!」

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叫ぶように問いただすと

友人は

ただ無機質に口角を上げた。

「簡単だろ。

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残してるんだよ、人間が」

Concrete
コメント怖い
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