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短編2
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短編③④

幽霊

オカルト好きだが霊感のない友人のAが、嬉しそうに俺の肩を叩いた。

「ほら、さっきからあそこにいる女の子が『お母さん待ってー!』って交差点の向こうに手え振ってんだけどさー。どう見ても誰もいないよな?もしかしてあの女の子、幽霊に手え振ってんじゃねーか?なんてなw」

Aよ、俺にはその女の子の姿すら見えていない。おめでとう。おまえがいま見ているその女の子こそが…

近所のおじさんが娘夫婦と同居するために今住んでる家をおいて遠く、北海道に引っ越していった。

それから三カ月くらいして、おじさんが向こうで事故に遭い亡くなったと聞いた。明るい性格でとても楽しい人だったから近所の人たちもすごく悲しんでいた。

今日の夕方、不動産屋の人たちがおじさんの家に「売り家」の登りを立てて帰っていった。夜になり、犬の散歩をしながらふとおじさんの家を見上げる。

いつも、仕事から帰ってくるとあの窓から「おかえり〜」って手を振ってくれてたよな。と、思った次の瞬間、誰もいないはずの二階の窓にかけられた白いカーテンがシャッ!っと開いた。

「えっ?」と、反射で本能的に視線を逸らし、まだ考えが追いついていない状態でまた視線を戻すと、カーテンは何もなかったかのように閉まっていた。

一瞬、カーテンの向こうに見えたボンヤリとした黒い影。あれがおじさんだったのかは判らないけれど、ここにまた帰ってきてくれたんならそれでいいや、と思った。

でも、もう夜にこの窓を見上げる勇気は俺には無いけどね…

Concrete
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