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短編2
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上半身だけの女

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もう20年くらい前の話です。当時俺はかなり霊感の強い女の子と付き合ってました。

ある日、彼女を家まで送るため深夜に単車2ケツで県道を走っていました。平日の深夜3時も過ぎてる頃だったと思います。

周りに車はいないし信号も点滅してたりしてました。

普通に街灯がポツンポツンとある直線で見晴らしの良い通りを走っていると、前方30mくらいの左側歩道を人が歩いているのを確認しました。

別に人がいてもおかしくないので気にせず走って行きます。

肩越しにチラッと後ろを一瞬見たら彼女の頭もその人の方に向いてるので彼女も見ているんだなぁとか思い、その人を視界の端で見ながらだんだん距離が詰まっていきます。

そろそろ5mくらい前方に来た時、よく見ると長い髪を後ろで束ねた上下黒い服装の女性だと分かりました。

その人と2人の乗ったバイクの距離が歩道と車道をわける縁石を挟んで2mくらいだったと思います。すれ違う時に左側を向いて何気なく見てみると

上は胸の膨らみも分かるので黒い服を着ているのが分かりましたが、腰から下は歩道のアスファルトしか見えません。

えぇっ!と思って思わずアクセルを緩めながら振り返って確認しようかなと思ったその時、ヘルメットをガンガン叩かれました。

後ろの彼女が自分の被っているヘルメットで俺のヘルメットの後頭部を頭突きしていたのです。

俺は彼女の行動の意味をとっさに判断してスピードを上げて、その場から走り去りました。

しばらく進んだ先のコンビニに入ってさっき見たものを彼女に確認すると

『駄目だよ 〇〇(私の名前)あんなどう見てもこの世の者じゃない奴の近くで止まろうとしちゃ』って怒られました。

内心ゾーっとしながら苦笑いすると彼女が更に言いました。

『じゃあ あの上半身の後ろに居たのも見たんだね?』

俺は彼女の頭突きに驚き、急いで前に視線を移してアクセル全開したので気付かなかったのですが、上半身から数歩ほど後ろに

右足が逆に向いて足を引きずるように歩く、黒いスカートを履いた下半身が上半身に着いていくように歩いていたらしいです。

それを聞いて鳥肌立ちまくりました。

今現在、その場所は道沿いにコンビニが出来て夜でもかなり明るい場所になりましたが、今でもその場所を通ると脳裏に鮮明に思い出して鳥肌立ってしまいます。

埼玉県の某ネギ市の県道での実話です。

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